世界初&日本初、二輪車技術進化の歴史
時代を切り拓いた革新のエポックマシン:ホンダVFR750R〈世界初・チタンコンロッド〉
- 2020/4/26
●文:沼尾宏明 ※本記事で取り上げる「初」は、公道走行可能な量産二輪市販車としての”初”を意味します。なお、その定義には諸説ある場合があります。
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’87 ホンダVFR750R〈世界初・チタンコンロッド〉ワークスのメカを忠実に再現
’85年に投入されたワークス耐久レーサー・ホンダRVF750は猛威を奮い、’85~’86年の鈴鹿8耐を連覇。世界耐久や、スーパーバイクの前身であるTT-F1世界選手権でも優勝した。’87年、その公道バージョンであるVFR750R(RC30)が突如発表され、大きな衝撃を呼んだ。パッケージはまさにワークスマシンの忠実なレプリカ。新設計V4ユニットにクロモリ鋼カムシャフト、アルミタンク、FRP外装などを贅沢に奢った。高出力に直接影響するコンロッドの軽量化を推し進めるため、チタン合金製を市販車として初採用。従来の浸炭処理した鉄系コンロッドより15%の軽量化に成功し、開発目標である「プライベーターでワークス勢の戦いに割って入れる」性能に大きく貢献した。
【’87 HONDA VFR750R】■車重180kg(乾) 水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 748cc 77ps 7.1kg-m ■当時価格:148万円 ※国内仕様
価格は148万円と高額ながら、バーゲンプライスと思えるほどの造り込みで国内限定1000台が瞬く間に完売。’92年まで世界に向け4885台が生産された。サンマルでなければ勝てないほど強く、8耐におけるホンダのシェア率は急増。RC30登場前は20%弱だったが、’90年に48.4%(31台)と約半数を占めた。さらに’88年以降、RVFは30がベースとなり、世界で勝利を重ねていく。その名は究極の公道レーサーとして今も二輪史に刻まれている。

【レースでも当然強かった】RVFは’88シーズン以降、RC30のエンジンがベースに。’89、’91、’92年の8耐を制覇したほか、’88、’89年の世界耐久、’88、’90、’91年の全日本TT-F1でもタイトルを獲得した。’94年にRC45へバトンタッチ。 [写真タップで拡大]

90度V4は、直押し式バケットタイプのバルブリフターで、ヘッド周りのコンパクト化と動弁系の軽量化を達成。トラクションを追求するため、クランク角は360度とした。輸出仕様は113psを発生。 [写真タップで拡大]

リヤシリンダーを抱きかかえるアルミツインスパーフレームに、RVFと同じ砂型鋳造プロアームを採用。フロントフォークはRVFと同じφ43mmでクイックリリース機構も備える。ワークスと同等の品質を実現するため手作りで生産され、フル稼働しても1日10台が限界だった。 [写真タップで拡大]
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