ハーレーダビッドソンは、優れたカスタムビルダーのみが参加資格を持つ世界最大のコンテスト「King of Kings(キング・オブ・キングス)」を開催。日本からは’19年3月の日本版「Battle Of The Kings」で優勝したハーレーダビッドソン静岡が、アジア唯一の招待を受けエントリー。結果はなんと世界4位! その渾身の1台をお見せしよう。
●文:青木タカオ ●取材協力:ハーレーダビッドソン静岡、ハーレーダビッドソンジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
2020年モデルとして『ファットボーイ30周年記念モデル』が登場。ナセルと一体化した異径LEDヘッドライトや、鋳造アルミ製レイクスターホイールといった唯一無二の装備をスタンダードモデルから踏襲し、エン[…]
オリエンタルムード漂う装い。時代や文化を超越し、自ら”神話”へ
カスタムの腕を競うディーラーコンテスト、それが「バトル・オブ・ザ・キングス」だが、ハーレーダビッドソン本社より招待を受けた12カ国18ディーラーで世界ナンバー1=頂点を決するのが「キング・オブ・キングス」だ。
アジア唯一のエントリーを果たしたのは、バトル・オブ・ザ・キングス2年連続の栄冠に輝いているハーレーダビッドソン静岡。ベースはスポーツスターと指定され、制作チームを率いた渡辺廣彬氏はフォーティーエイトを選んだ。2018年に優勝した「DALI(ダリ)」もまたXL1200Xがベースで、H-D静岡が得意とするモデルのひとつと言っていいだろう。
今回は車名を「MELVILLE(メルヴィル)」とし、完成度が一段と高い。渡辺氏に話を聞いた。
「アジア代表ということでプレッシャーを感じましたが、構想するイメージをうまく形にできれば必ずカッコイイものができると自信はありました。過去の大会のカスタムレベルをベースに見れば、十分に世界で戦えるバイクではないか、と個人的には感じています」
世界の十大小説のひとつとも称され、映画化も度々されている『白鯨』。その著者、ハーマン・メルヴィルからそのモデルネームは付けられた。
「捕鯨小説という枠組みを優に超えて、神話的で壮大な物語として知られていることから、今回のカスタムバイクに当ててみても悪くないな、という結論に至りました。仮に意味を持たなくても“メルヴィル”という音もバイクに馴染むかっこいい音ですし……。というわけで、特に深い意味はありません」
外装のグラフィックスは、東洋的な文様のような印象で、彫金にも見える。
「アジア代表なので、リーフ柄を取り入れています。流行りのダークカスタムは小細工が効かないものだと認識しているので、エアクリーナーにしてもシンプルで小型なものを使用して、印象をタンクやグラフィックに向けさせるよう工夫したつもりです。インスパイアを受けたのは神話性。ペイント業者さん独自の技術とアイディアを盛り込んでオリジナリティを出すため、光度が増すとバー&シールドのロゴが浮かび上がるようにしていただきました」
神話……。自然や社会現象を神や英雄などと関連させる説、物語。古来より人々によって絶対のものと信じられ、称賛や畏怖の目で見られてきた事柄。
「つまり、最初の物語です。神話的なモチーフを描こうと考え、アラベスク文様のデザインをとり入れました」
“アラビア風”であることを意味し、モスクの壁面装飾などに見られるイスラム美術の一様式だ。幾何学的で、植物や動物がモチーフになることも多い。
息をのむ美しさである。異彩を放ち、まさに神話的。一度見たら忘れない。
ディーラーカスタムコンテスト日本一を2年連続で達成しているH-D静岡。当然ながら経験値が高く、つまり引き出しを数多く持っている。
「過去の経験から際立たせたいパーツを考えて、フォーティーエイトのシックススポークホイールに照準を合わせました。このホイールは明らかにダークカスタムをするうえで重要パーツです。基準ができれば、選定パーツはおのずと出てきます。エッジカットシリーズ(H-D純正)を統一するだけでなく、エアクリーナーも小型タイプにすることで全体的な主張を抑えています。そのことでホイールやタンク、スプリンガーフォークに意識が向くように工夫し、純正のマフラーを使用しても十分カッコよくなっていると思います」
ヘッドライトステーは溶接加工し、5cmアップされている。
「細かい印象の違いですが、そのままだと純粋なボバースタイルとなるため上げています。ボバーとエレガントの中間のような印象を見る人に持ってほしいと思います」
タイヤを剥き出しにしたテールエンドも軽快で、インパクトが強い。
「純正リアホイールの美しさとメッツラータイヤの文様デザインを強調する意図があります。タイヤとタンクグラフィックがマッチし、そこにスプリンガーとヘッドライトバイザー、レバーやミラーのエッジカットのダークカスタムが合わさり、細部が全体の完成度を後押ししています。それでいて細部が全体的なフィットにつながっていると思います」
そして、渡辺さんは最後にこう言う。
「バイクはただ単純に移動するためのものではなくて、アイデンティティを表現するもの、日常の喧騒を離れるもの、自由であろうとすること、その付き添いをする使者みたいだな、ということを再認識しました」
『キング・オブ・キングス』は世界中のハーレーダビッドソン・ファンの投票により決まる。ハーレーダビッドソン静岡が手がけた「メルヴィル」は、世界第4位という快挙を成し遂げたのである。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
ハーレーダビッドソンの公式カスタムコンテスト「バトル・オブ・ザ・キングス」で、2年連続で優勝したハーレーダビッドソン静岡。彼らがXL1200CXロードスターをベースとしたカフェカスタムを製作した。上質[…]
ハーレーダビッドソンが世界規模でおこなっているカスタムコンテスト「Battle Of The Kings(バトル・オブ・ザ・キングス)」をご存知だろうか。その日本ラウンドで2年連続優勝を果たしたハーレ[…]
「愛鷹亮」はリングネームである。出身が静岡で、愛鷹(アシタカ)の地名から取ったものだが、読み間違われることが多いので、「アイタカリョウ」がリングネームとなった。 ハーレーダビッドソン静岡の渡辺廣彬店長[…]
現行CVOでは117ci(1923cc)を搭載するが、このストリートグライドは114=1868ccで十分と言わんばかりの力強さで、車体をグイグイ前に進めていく。全域でスロットルレスポンスに優れ、強烈な[…]
バイクは常に美しくありたい、そう考えるのがハーレーオーナーのNさんだ。学生時代から日本製のバイクを乗り継いできたが、40歳になった時にハーレーを購入。以来、スチール物置をガレージ代わりに利用し続けるこ[…]
最新の記事
- スズキ「Vストローム250SX」と「Vストローム250」は何が違う? 身近な兄弟車を比較!
- 【2024年11月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- SHOEIがシステムヘルメットのド定番モデル「ネオテック3」に新グラフィック「ANTHEM」を発表!
- SHOEIが「Z-8 YAGYO」を発表! 百鬼夜行をイメージしたバイクパーツ妖怪が目印だ!!
- 【SCOOP!】ついに「GB500」登場へ?! ホンダが海外で商標を出願!
- 1
- 2