
国内で人気のナンバープレートの抽選が有料になるかもしれない、そんなニュースが吹っ飛ぶような売り物がオークションに登場しました。1960年代のイギリスで発行されたナンバープレートが、なんと2億4000万円(落札予想額)。現在でも登録可能なナンバーとはいえ、クルマどころか邸宅が買えそうな値段になるのは一体全体どういうわけがあるのでしょう。
●文:石橋 寛ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotheby’s
1903年以降、ナンバーはずっと使い続けることができる英国
ナンバープレートがオークションなどの売り物になること、じつはイギリスではさほど珍しいものではありません。
イギリスでは一度登録したナンバーを買い取って、自分のクルマに付けて再び登録することができます。
1903年にナンバー制度が取り入れられてからこっち、登録料を支払ったナンバーは廃棄処分をしないかぎりずっと使い続けることができるのだとか。
すると、クラシックカーのように古いナンバーはプレミアが付いて珍重されるという次第。今回のサンプル「1F」でいえば、数字1桁、アルファベット1文字ということから1903年のナンバー制度が導入された最初期、あるいは1940年代という可能性があります。
ちなみに、数字は登録順、アルファベットは地域をあらわすとされ、詳らかにはされていませんがイギリス6番目の都市「マンチェスター」かもしれません。
予想落札価格2億4000万円というイギリスのナンバー。数十年前に登録したものでも、継続料金さえ支払っていれば現在でも登録できる仕組みがあればこそ。
貴族が乗ってそうなロールスロイスのナンバーにご注目。5の並びに、RRはロールスのイニシャルですから、ナンバーだけでも相当な価値がありそう。
1桁ナンバーを産油国の王様が8億円で買った例も
100年以上昔のナンバーが今でも登録できるとは、クルマ文化の高さを物語る証拠に違いありません。が、どうしても注目してしまうのは目玉の飛び出るようなお値段でしょう。
じつは、これまでもイギリスでは高額ナンバープレートは頻発しており、2006年には「M1」が8000万円、どういうわけか1桁だけのナンバーが産油国の王様によって8億円で買い取られたという例もあります。
また、かつてイギリス領だった香港でも「8」や「888」といったナンバーは末広がりの縁起の良さから数千万円で取引されていたこともあります。高級ホテル「ペニンシュラ」の送迎車も「8」を付けたロールスロイスがありました。
WOはベントレーの創始者、ウォルター・オーウェン・ベントレーのイニシャル。しかも1番で、登録は由緒あるディーラーとくれば4300万円で売れたのも納得です。
1930年代は黒地にシルバー、あるいは白い文字がデフォルトで前後とも同じ配色となります。
イギリス国王の公用車のナンバープレートは…
ちなみに、イギリス国王の公用車にナンバープレートは付いていません。私用の際などに使われるクルマはナンバー付きだそうですが、これは天皇陛下の御料車が「皇」の文字のみ、他は品川ナンバーというのと似ていますね。
ともあれ、ナンバープレートの売買システムは興味深いものですが、抽選とはいえ希望ナンバーが用意されている日本は恵まれていると言えるはず。
たとえ、有料制となろうともまさか数千万円は取られないでしょうから。
この売り物ナンバーも2の一文字でなく250GTOだったら億越え間違いなしだったはず。それでも、指し値は6000万円という驚きの価格です。
イギリスのマニアによれば、ナンバープレートだけでクルマの来歴が計れるというほど奥深いストーリーがあるようです。
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