
●文:ライドハイ編集部(根本健)
ほどよく滑りやすく、ほどよく滑りにくい??
最新のスポーツバイクのシートには、座面にさまざまな素材が使われている。タックロールを入れてクッション性と滑りにくさを両立していた昔ながらの座面の、お尻が沈み込むような感触はいま減るいっぽうだ。
それはいうまでもなく、スポーツ性の高いマシンほど、シートが座る場所というだけでなく、体重を預けたり腰をズラして身体の重心をイン側へ移動したりと、アクションするための機能性を求められているからにほかならない。
しかしそれだけに、シート座面には相反するふたつの特性が求められる。
ひとつは、座面がスルスルと滑りやすいと、下半身がホールドできず、リーンなどマシンの操作に支障が出てしまう。
ところが、この逆の表面が滑りにくくグリップしやすいのも、腰の移動や荷重を預けた後のわずかな重心位置の微調整など、お尻やアウト側太ももが引っかかって、意図しない位置で移動が止められてしまう不都合も起きやすい。
MVアグスタ スーパーベローチェSに奢られたアルカンターラ製高級人工皮革シートを例に取ると、バックスキンだと見栄えは良いが、綿や皮革のパンツでは完全に腰を浮かさないと滑ってくれなかったところを、人工皮革で滑りとグリップの折り合いを高度な次元で調整した表面としていたりする。
何でもないようでじつは凝った工夫が
では、マシンの座面上でライダーがもっとも忙しく動く、最高峰MotoGPマシンのシートはどうなっているのだろう……
※本記事は2022年6月9日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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