
ひとつ上のステージの作業や車種特有の作業をする際に、手元の工具セットだけでも工夫をこらしなんとかメンテナンスをすることができる。しかし、ここで紹介する工具を揃えることで、飛躍的に作業効率が上がる場面も出てくる。アストロプロダクツの店頭で見つけた、作業効率をアップする工具を紹介をする。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:アストロプロダクツ
フレキシブルプラグソケット:スリムな外径で汎用性をアップした、ユニバーサルジョイント一体ソケット
最初は指でねじ込んで、ネジ山が噛み合ってからプラグソケットを使うのが理想だが、雌ネジがプラグ穴のはるか深い位置にあるエンジンは工具に頼らざるを得ない。
またプラグ穴が狭いエンジンも多く、ソケット外径ができるだけスリムなことも重要だ。ユニバーサルジョイントを内蔵して作業の自由度をアップしたソケットは、プラグ交換作業の緊張感を和らげてくれる。
【アストロプロダクツ 3/8DR フレキシブルプラグソケット】画像にあるのは3サイズだが、絶版車の空冷エンジン定番の20.8mm(NGK製プラグならBプラグ)もある。吸排気バルブの挟み角が狭くコンパクト設計されたエンジンは、プラグ穴の小径化が著しく、昔のソケットは引っ掛かって使えないこともあるので、アップデートが必要だ。●価格:14mm 1749円/16mm 1859円/18mm 1969円
節度なくグラグラではダメだが、適度なフリクションのあるユニバーサルジョイントは、ネジ山がスムーズに噛み合う助けになることもある。このソケットのジョイントはボールポイントタイプでピンを使わないため、スムーズに回すことができる。
ソケット部分はプラグの金具にフィットしやすい12ポイントで、奥にはマグネットが内蔵されている。通常のエクステンションバーでは「逃げ」がないが、これなら状況に応じて傾けられる。ユニバーサルジョイントが一体化していることで、別途つぎ足すひと手間を省略できる。
ポケットバール:絶妙な反り角がポイント。ポケットに収まる使い勝手の良さに納得
こじったり持ち上げたり、大きな力を加える時に使うイメージが強いバールだが、小さくなっても出番があることを実感できる。
ポケットバールはスタンダードが全長115mm、ロングタイプは165mmの2サイズで、マイナスドライバーでも代用できそうだが、先端部分が鋭利で絶妙に反っているのがポイント。
【アストロプロダクツ ポケットバール / ロング】●価格:319円/ロング429円
手のひらサイズでも“こじる/開く/剥がす”作業に特化した工具だけあって、マイナスドライバーとは使い勝手が異なる。何より安価なので、遠慮なく使えるのが魅力。ガスケットが張り付いたエンジンカバーやウインカー/テールレンズなどを取り外すきっかけとして、隙間に滑り込ませると良い。
マグネットアダプター:スチールボルトの落下防止に効果的。いつものソケットがマグネット仕様に
ショートタイプのエクステンションのようだが、ソケット差込部先端のポール部分に小さな磁石が組み込まれている。このアダプターを差し込むと、ソケット底部に磁石が露出して鉄製のボルトやナットを吸着できるのがポイント。
形状はストレートタイプとユニバーサルジョイント内蔵の2タイプで、差込角は1/4/3/8/1/2インチがある。
【アストロプロダクツ ユニバーサルマグネットアダプター 3/8DR / マグネットアダプター 3/8D】ユニバーサルマグネットアダプター(左)はボールポイントタイプの首振り機構を内蔵するぶん、シンプルなマグネットアダプター(右)よりも大柄になる。ユニバーサルタイプは先端を引き出せば首振り、押し込めばストレート形状で使用できるので、利便性が高いのが魅力。●価格:1419円/759円
首振りが必要か否かは作業条件で決まるが、ユニバーサルタイプならどちらの作業も対応可能。ソケット開口部にフランジ部が引っ掛かるボルトやナットは、マグネットに届かないこともある。右は差込角3/8インチで72ギアのスイベルラチェットRHS417(4095円)。
ロッキングエクステンション:安全性アップのロック機構がソケット外れの悲劇を防ぐ
エクステンションバーを使うのはボルトやナットとラチェットハンドルとの距離が離れている場合で、手が届かないような場所でバーの先に取り付けたソケットが外れたら、回収に苦労する羽目になることも多い。
そんな災難を避けるために活用したいのが、ロック機構付きのエクステンションバーだ。先端のリングをスライドしないとソケットが外れないので、不意の脱落を防止できる。
【アストロプロダクツ 3/8DR ロッキングエクステンション】●価格:150mm 1419円/250mm 1529円
締め付けたボルトやナットにソケットが食い込んで、エクステンションバーを抜いた際にソケットだけ残ってしまうのは、ありがちなパターン。ラチェットハンドルにプッシュリリース機能付きがあるのだから、ロック機構付きのエクステンションバーを歓迎するサンメカも多いはず。リング部分が周囲に干渉することを懸念するかもしれないが、アストロ製12mmスタンダードソケット(外径17mm)をセットして邪魔になることはない。
ソケット差込部分のアクセントにもなっているリングを手前にスライドすると、ロックボールが引っ込んでソケットが外れる。リングが定位置にあるとボールを押し込めないので、ソケットを差し込む際にもスライドする必要がある。アストロプロダクツにはさまざまなエクステンションバーがあるが、ロック機構付きはありそうでなかった製品だ。
タイヤレバー :差し込みやすい滑らかな先端と手に優しいソフトグリップ
アストロプロダクツでは何種類ものレバーを販売しているが、新製品はスプーンのような滑らかなラウンド形状の先端部分と握りやすいグリップ、力を加えやすい全長380mmの本体サイズが特長となっている。
薄いヘラはビードを落とした狭い隙間にスムーズに挿入でき、充分に研磨した上でクロームメッキを施すことでリムに傷を付けにくいのが魅力。
【アストロプロダクツ タイヤレバー TL510】トラディショナルなタイヤレバーは両端がヘラ形状とストレート形状なのがポピュラーだが、不慣れなユーザーが使用すると、リムを傷つけたり、チューブタイヤの場合はチューブを破損させることもある。一方こちらのヘラ形状はラウンドタイプで、リムやチューブを傷つけづらい。●価格:1859円
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
メーカー自体が存在しない絶版車のメンテやレストアは難しい 日本のバイクメーカーは今でこそ4社に集約されていますが、1950年代には大小含めて数十社のメーカーが林立していました。第二次世界大戦で疲弊した[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
ユーザーからのリクエストで開発! ホイールの鉄粉をスプレーひと吹きで溶解 バイク/クルマを問わず、ディスクブレーキでもドラムブレーキでも発生するブレーキダスト。制動時にブレーキローターやブレーキドラム[…]
燃料キット開発時は現物確認と現物採寸が大前提 キースターでは、原付からオーバー1000ccモデルまで、500車種以上のキャブレターに対応した燃調キットを開発してきました。現在でもコンスタントに新製品を[…]
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
最新の関連記事(工具)
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
軍手は洗車道具たりえるのか みなさんバイクってどうやって洗ってますか? スポンジ? ブラシ? それとも高圧洗浄でしょうか。実は筆者は最近「軍手で洗車」に目覚めたのです。 きっかけは使ってたスポンジがボ[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
クニペックス製と瓜二つ!? アストロプロダクツの新製品「プライヤーレンチ」 ボルトやナットの2面を隙間なく掴める、平行に移動するジョー、グリップを握る力が増力される独自のジョイント構造、全長に対して著[…]
ユニバーサルソケット:手が届かないボルトやナットもナットグリップ機構でホールド スチールボールによるフリクションでボルトやナットをホールドするコーケン独自のナットグリップソケットと、ユニバーサルジョイ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! 世界的に知られるプレミアムカー用品ブランド・シュアラスターが、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで創業したのは1947年のこと。以来、カーシャンプーやワックス[…]
バイクの電装部品のひとつ、レギュレターってご存じですか? こういうの部品です。 車種によって場所はマチマチですが、だいたいがシルバーで、アルミ素材で空冷フィンがついていて、比較的バッテリーに近いところ[…]
メーカー自体が存在しない絶版車のメンテやレストアは難しい 日本のバイクメーカーは今でこそ4社に集約されていますが、1950年代には大小含めて数十社のメーカーが林立していました。第二次世界大戦で疲弊した[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
人気記事ランキング(全体)
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
3色すべてホイールカラーも異なる カワサキは欧州でZ650RSのニューカラーを発表。カラーバリエーションの全てが新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリックブルー[…]
国内規制に合わせてエンジンを再設計 ホンダのCB750フォア(1969年)の発売と前後して、大型バイクの事故の増加や暴走族が社会問題化し、国内では750ccを超える排気量のバイクを販売しない自主規制が[…]
KOMINE プロテクトフルメッシュジャケット ネオ JK-1623 フルメッシュで残暑厳しい秋口のツーリングでも快適さを保つジャケット。胸部・肩・肘・背中にプロテクターを標準装備し、高い安全性も両立[…]
最小限のカスタムでクルーザーをアドベンチャーマシン化 1200ccという大排気量の水平対向エンジンを心臓部に持つBMWのヘリテイジモデル、R12シリーズ。その新しいバリエーションとして2025年5月に[…]
最新の投稿記事(全体)
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
国産から海外、EVまで! 圧巻の車両ラインナップを見よ! 総展示台数350台以上を誇る東北最大級のバイクイベント「BIKETOBER FESTA」。新車購入を検討している者から、愛車のカスタムを考えて[…]
RA1250ST パンアメリカ1250ST:オンロードを制するためのニューマシン“ST”登場 アメリカで人気沸騰中のスーパーフーリガンレースでは、公式バイクとして位置づけられ、H-Dファクトリーのサポ[…]
フレキシブルプラグソケット:スリムな外径で汎用性をアップした、ユニバーサルジョイント一体ソケット 最初は指でねじ込んで、ネジ山が噛み合ってからプラグソケットを使うのが理想だが、雌ネジがプラグ穴のはるか[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
- 1
- 2