
バイクいじりが大好きで、いわゆる分解整備や継続車検も個人で行っているというサンデーメカニックは少なくない。その一方で、整備や車検はショップに任せているというオーナーにとっては、どこまで信頼できるかがお店選びの基準となるはず。こと絶版車の整備や車検となるとさまざまな難関やハードルがあり、時にはあいまいな判断で進めてしまうこともあるかもしれない。そうした風潮を変えるべく、モトジョイ(三重県鈴鹿市)は、指定自動車整備事業の指定を受け、高い技術で整備と検査を行っている。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:モトジョイ
絶版車ユーザーにとってメリット大。正しい整備と車検技術をアピールできる指定工場に
道路運送車両法における「分解整備」とは、原動機/動力伝達装置/走行装置/操縦装置/制動装置/連結装置を取り外して行う自動車の整備または改造をいう(第49条第2項/同施行規則第3条)。平成7年の法改正により、サンデーメカニック個人が行う分解整備やユーザー車検の敷居は大幅に低くなった。
一方でプロショップが商売で点検や整備を行うには、「認証工場」や「指定工場」といった基準が存在する。どちらも国土交通省の地方運輸局が指定するもので、とくに自社内で継続検査まで行える指定工場となるには厳しい条件がある。
そうしたハードルを越えて、モトジョイ(三重県鈴鹿市)は2024年1月より指定工場となった。2023年に移転した新店舗(元自動車ディーラー)が指定工場に必要な設備を備えていたことから、以前からの認証工場に加えて指定工場認証の準備を開始。継続検査を自社内で行うことで、ブレーキ/スピードメーター/ヘッドライトテストについて合否だけなく数値が明確化できる利点がある反面、これまで以上に公明正大さが求められる。
旧車や絶版車にとっては諸刃の剣にもなりかねないが、モトジョイには「とことん車検」で築いてきた実績がある。絶版車整備の安全と安心を推進する上で、指定工場認証は大きなメリットとなるはずだ。
絶版車販売&整備/バイクレンタル事業に加えて指定工場にもなったモトジョイ。オレンジ色の標識が認証工場、青色の標識が自社内で継続検査、保安基準適合証を交付できる指定工場の証となる。
車検場の検査レーンでは○か×でしか表示しないブレーキ検査も、具体的な制動力が数値で表示され、整備記録に記載される。認証工場も最終的に車検場に車両を持ち込むが、指定工場になると持ち込む必要がない分、ショップの責任はこれまで以上に重く、厳格な仕事が求められる。
「指定工場の認証を受けているショップは少数で、絶版車だとなおさら難しい面があるのは事実です。しかしお客様に安全と安心を提供するという意味で、私たちが率先して指定工場となる意義はあると思います」とスタッフが語ってくれた。
自動車ディーラー時代から埋設型のブレーキ/スピードメーターテスターがあったのは幸運で、0.1km/h単位まで表示されるテスターによってユーザーに車両のメーターとの誤差まで知らせることができる。車検は現行車も扱うので、排気ガステスターも完備しCO/HCの数値を記載する。
車検は検査時点の車両状態で判断するものだと理解していても、ヘッドライトテストは毎回緊張するもの。モトジョイはバイク用テスターを導入して、車検場と同じ基準で光量/光軸を測定し、カンや目見当ではない整備を行い、必要に応じてLEDバルブへの交換などもアドバイスしている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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