
オーヴァーレーシングとモトジョイの共催で、鈴鹿ツインサーキットを舞台に春と秋の年2回開催されている『アストライド』。ビギナーからベテランまで、現行車からクラシック、レーサーも幅広く楽しめるイベントとしてすっかり定着し、事前エントリーでA〜Dの4つのクラスがフルグリッドとなることも珍しくない。お宝級の名車やレア車を間近に見ることができ、十分なスポーツ走行と模擬レースまで楽しめるアストライドは、サーキットイベントとしてとても魅力的なコンテンツである。次回は、2025年5月31日/10月25日を予定している。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:オーヴァーレーシングプロジェクツ、アストライドHP
- 1 走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き
- 2 チームクラシックスズキが油冷エンジン車を作ったら的マシン〈HARRIS F1 750RK ライダー:Oさん〉
- 3 マニアックな技を駆使したGSFで5年ぶりのサーキット走行〈SUZUKI GSF1200 ライダー:嶋内充さん〉
- 4 30年間ガレージで寝かせた愛車を憧れのレーサースタイルにカスタム〈SUZUKI GSX-R400 ライダー:中崎聡さん〉
- 5 純正パーツ流用が流行った1990年代初頭のカスタム車を再現〈SUZUKI GSX1100S ライダー:田中宣典さん〉
- 6 Cクラス(2ストローク車/F-1&F-3クラス)エントラント
- 7 先輩のひと声で突如オーナーに。メンテするほどに愛着もアップ〈Laverda 3C ライダー:小川光平さん〉
- 8 Dクラス(1972年以前に生産されたクラシッククラス)エントラント
走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き
絶版車やクラシックマシンでサーキットを走行してみたいが、レースに参戦するほどではない。あるいはクラシックレースにエントリーしているが、現行車に混ざってスポーツ走行するのは難しい。さらにはカスタム車や旧車の動態確認を行いたいライダーにとっても“ちょうど良い”のがアストライド。
現行車からクラシックまで、パドックには同好の士と呼ぶにふさわしいバイク趣味仲間が集まり、マシン製作やセッティングの話題で話が尽きることはなく、珍しいマシンのまわりには人の輪ができて、ひとりで参加しても自然に友人が増えていく雰囲気の良さがある。
初心者向けのAクラス、中級車向けのBクラス、2ストロークやF1/F3マシン向けのCクラス、1972年以前に生産されたマシンのDクラスと、年代やキャリアが異なるライダーやマシンが交流できるのも特長で、現行車のライダーがクラシックマシンのオーナーに話を聞きに行く様子も当たり前。
ネットやSNSでさまざまな情報が簡単に手に入る世の中だが、半世紀以上前のバイクのエンジン音やリアルに走行する様子は実際にサーキットを訪れないと体感できないだけに、アストライドのようなイベントはモータースポーツや文化の裾野を広げる上でも重要なのだ。
次回の開催は、2025年5月31日/10月25日。場所は同じく鈴鹿ツインサーキットだ。さらに、11月15日には『B.O.S.T.』を開催する。こちらは、シングル/ツインが主役の走行会&模擬レースで、対象車両は4ストローク単気筒と2気筒車、ホイール径が16インチ以上であること。往年のレーサーからガレージに眠っている昔の愛車を引っ張り出して参加するライダーも多いそうだ。詳しくはアストライドのホームページにて。
チームクラシックスズキが油冷エンジン車を作ったら的マシン〈HARRIS F1 750RK ライダー:Oさん〉
オーナーであるOさんがイギリス・ハリスパフォーマンス社からF1 キットフレームを輸入し、GSX-R750RK用エンジンを搭載したマシン。
組み立て作業は行きつけのバイクショップに依頼したが、各部のワンオフパーツはOさん自身が図面を描いて製作した。
hifibre社製XR69 タイプアッパー/アンダーカウルやカラーリングは「もしチームクラシックスズキがRKエンジンでマシンを作ったら」を想像しながらチョイスしたのだそう。じつにセンスの良い仕上がりだ。
カウルの隙間から見えるのはキャブではなくFIのスロットルボディで、カワサキZ1000用純正パーツを流用。そのためのハーネスやGSX-RのシリンダーヘッドにZ1000用インシュレータを取り付けるアダプターも、Oさんが設計。ギヤメーカーのNOVA、サスペンションメーカーのMAXTONも英国ブランドで、GBスズキが展開するチームクラシックスズキテイストを徹底している。マシンは完成したばかりで、燃調セッティングのためエントリーした。
マニアックな技を駆使したGSFで5年ぶりのサーキット走行〈SUZUKI GSF1200 ライダー:嶋内充さん〉
NK-1レースが盛り上がっていた時代の人気機種の1台だったGSF1200でアストライドに初参加した嶋内さん。マシン自体は長く所有しているものの、仕事が忙しく、サーキットに来られるのは数年に1度ぐらいしかないとのこと。
Aクラスでエントリーしたが、4回のフリー走行で勘を取り戻したようで、模擬レースまでたっぷり楽しんだ。見れば見るほど完成度の高いマシンだ。
インナータンクにFRP製アウターシェルを組み合わせた燃料タンクからしても、本気度満点のGSF。エンジンはブリーザータワーなしの軽量ヘッドカバーやマグネシウム製オルタネーター、イナズマ用パーツによるワイヤークラッチ化などこだわりが満載。
30年間ガレージで寝かせた愛車を憧れのレーサースタイルにカスタム〈SUZUKI GSX-R400 ライダー:中崎聡さん〉
1988年に中古車で購入したGSX-R400は4年ほど乗って別のバイクに乗り換え、その後海外で暮らしたこともあって30年間放置状態で保管していたという中崎さん。
復活させる際にモチーフにしたのは、1980年代後半のヨシムラ共石シエットGP-1カラーだった。スラントカウルなど当時モノのパーツか!? と思わせながら、じつは完全ワンオフによるFRP製というから驚き。
短冊状に切った段ボール紙をガムテープでつないで半面のフォルムを決めて、アウトラインを針金でトレースして反対面を製作。その段ボールの上に直接FRPを積層してカウルを製作。「やればできるんですよ」と本人談。
純正パーツ流用が流行った1990年代初頭のカスタム車を再現〈SUZUKI GSX1100S ライダー:田中宣典さん〉
日本製のオーバー750cc空冷4気筒車が逆輸入され始めた1990年代初頭のカスタム手法としてポピュラーだったのが、レーサーレプリカモデルを筆頭とした他機種用純正パーツの流用だった。
田中さんのGSX1100Sカタナは、倒立フォークやGSX-R用スイングアームなど、その時代を彷彿させるテイストで製作。50代以上のライダーなら「懐かしい!!」と感じる仕上がりとなっている。
アフターマーケットのホイールやサスペンションが簡単に入手できなかった時代は、Z1/Z2/CB900/1100F/カタナのカスタムにはGSX-R750/1100/FZR750/1000用パーツを流用するのが定番だった。ニッシン異径4ポットキャリパーやCSタイプウインカーも懐かしい。
Cクラス(2ストローク車/F-1&F-3クラス)エントラント
先輩のひと声で突如オーナーに。メンテするほどに愛着もアップ〈Laverda 3C ライダー:小川光平さん〉
3気筒1000ccのラベルダでサーキット走行を始めたばかりの小川さん。保安部品を取り外してやる気に満ちあふれているようだが「バイク仲間の先輩から“君はこれに乗るとイイ”と言われて、断る術もなく乗り始めたんです」とまさかのエピソード。
ラベルダもサーキットも様子見の段階だが、シングルシートカウルを補修するなど手を加えることで、徐々に愛着が沸いてきているそうだ。
カワサキW1に乗っていることもあって、右チェンジ左ブレーキの扱いに違和感はなかったが、他と比べようのない180度3気筒エンジンのフィーリングなど、よく分からないことも多いそうだ。純正のデロルトキャブは入手時からFCRに換装され、マフラーも左出しの集合が装着されていた。
Dクラス(1972年以前に生産されたクラシッククラス)エントラント
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