毎年、ライディングスタイルを変えるのは大変!

ダイネーゼ台場でジャック・ミラーにインタビュー【シートカウルのウイングの効果はナッシング。ゼロだよ。僕は何も感じない(笑)】

2022年9月21日(水)にダイネーゼ台場で行われた『IN STORE EVENT JACK MILLER』。イベント開始は11時30分からだが、その前にインタビューをさせてもらえるとのことでダイネーゼ台場に到着したのが10時頃。平日にもかかわらず、すでに多くのファンが店舗の外でイベントを待ち構えていた。


●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:村田奈緒子、ミシュラン ●外部リンク:ダイネーゼジャパン

ジャック・ミラー/1995年1月18日、オーストラリア生まれ。2022年はドゥカティ・レノボ・チームからMotoGPに参戦。幼い頃からレースを始め、2015年からMotoGPに参戦。2018年からドゥカティを駆り、2021年からドゥカティのファクトリーライダーに。2023年はKTMでのMotoGP参戦が決定している。

とても丁寧に、真摯に質問に答えてくれるジャック・ミラー選手

MotoGPのレースシーンや彼のインスタグラムからイメージするジャック・ミラー選手は天真爛漫だ。

ピットではしゃぎ、表彰台ではレーシングブーツでシャンパンを飲み、ビンビールの栓は口で開け、ピットで水鉄砲を打ちまくる……僕はとてもヤンチャな男を想像していたけれど、この日、ダイネーゼ台場で出会ったジャック・ミラー選手はとても温厚で、我々メディアやファンのリクエストにどんどん応えてくれていた。

ドゥカティのファクトリーライダーであるミラー選手は、とても透き通った瞳が印象的な男。わずか10分のインタビューだったが、僕の目をまっすぐ見て、とても丁寧にインタビューに答えてくれた。

インタビュー中はじっくりと質問に答えつつ、眉毛を上げたり、口角を吊り上げたりとにかく表情が豊か。その眼光はとても鋭く、そして美しい。

ミラー選手と言えばコレ。2021年、第5戦でフランスGPで勝利し、使用していたブーツでシャンパンを堪能した。

2022年のフランスGPは2位。勝者であるエネア・バスティアニーニ選手から彼の使用していたブーツで祝福を受ける……。

Q1 最近はバイクだけでなくレーシングギアも電子制御化が進んでいるけど、それについてはどう思いますか?

「今、エアバッグはとても大切な物。僕はMotoGPに乗ってからずっとダイネーゼのD-airを使っているけど、骨を折ったことは一度もないんだ。何度も転んでいるし、鎖骨とかは折れやすいにも関わらずそれもない。D-airは毎年進化していて、とてもよく守ってくれていると思うよ」

Q2 バイクは電子制御化が進み、ライドハイトコントロールも装備。ライディングスタイルは毎年変えますか?

「もちろんライディングスタイルは、毎年変えているよ。これは、けっこう大変だね。電子制御やタイヤ、ライドハイトコントロールなど本当に毎年色々なものが変わっていくから、それに合わせてライディングスタイルも合わせ込まないといけないんだ」

−−レース中も頻繁に左手でボタン操作をしていますよね?

「走行中もパワーモード、トラクションコントロール、フューエルマップ、エンジンブレーキコントロールなどを変える必要があるんだ。もちろんライドハイトもね。でもそのコースで1日乗っていると身体が慣れてくるんだ」

大きな身体をコンパクトに畳み、アグレッシブに乗る。今年から搭載されたショルダーカメラの映像を見ていると、最近のMotoGPライダーは本当に忙しそうだ。

Q3 最近導入されたシートカウルのウイングはどのような効果がありますか?

「ナッシング、ナッシング(笑)。僕が感じるこのパーツのフィーリングはゼロ! ゼロなんだよ。何も感じない。ルックスも悪いし、あんまり好きじゃないんだよね」

−−サマーブレイク後、ドゥカティは全員調子がよくなったけど?

「シーズン前半は物凄いスピードで過ぎていって、物事を考える時間があまりないんだ。でもサマーブレイク中はいろいろなことを考えられる。サマーブレイクは、バイクのこと、レースのこと、前半戦に起きたことをじっくりと整理するチャンスなんだよ。だから後半はみんなまとまって見えるのかもね」

サマーブレイク後、第12戦イギリスGPのフリー走行からサテライトチームが装着し始めたシートカウルのウイング。ファクトリーチームも第13戦オーストリアGPから採用。

「シートカウルのウイングは、僕は何も感じないんだ。そして個人的にはルックスも悪いし、好きじゃない(笑)」とミラー選手……。

Q4 レース中、様々なメーカーのマシンを近くで見ているけど、メーカーやライダーごとに挙動は違いますか?

「MotoGPはみんな特別。本当にスペシャルなメーカーとライダーが戦っている場所。みんなが表彰台を、そして勝利を目指して戦っている。異なるアプローチでね。アクセルの開け方なんかもみんな違う。だから勝負を仕掛ける時は、もちろんマシンやライダーによって戦略を変えないといけない。常に自分がどのようなスタンスで戦うかを考えることが重要だと思うんだ」

10分というわずかな時間でのインタビューだったが、ミラー選手は表情豊かに、僕の目をずっと見ながらとても真摯に対応してくれた。レースウィークに入る前からか、とても穏やかなのが印象的だった。「久しぶりの日本。日本食も好きなんだ。あと日本のファンはとてもマナーがいいしね」。そんなコメントを聞くと、とても嬉しくなる。

この後は、平日にもかかわらず集まった多くのファンとも交流。3日前はスペインのアラゴンにいて身体は疲れているだろう。でも、制限時間いっぱいまでファンとのコミュニケーションの時間を大切にしていた。

しかしながら、本当にシートカウルのウイングの効果はゼロなのだろうか……。実は質問をしながら写真を見せたら、その写真を見た瞬間に「ナッシング、ナッシング(笑)」の連発だったのだ。これはドゥカティからの機密事項なのだろうか(笑)。2023年、もしKTMのシートカウルに羽が生えたら、その時にもう一度聞いてみようと思う。

ファンとの交流を楽しむミラー選手。なかには日本酒をプレゼントしてくれたファンもいて、「ワォ、SAKE! 今すぐは飲めないけど、ありがとう!」と嬉しそうだった。

ダイネーゼ台場には多くのファンが集まった。全員にサインはできなかったけど、ミラー選手の素敵な人柄に、よりファンになった人も多いはず!

ダイネーゼ台場はレーシングギアも豊富。ミラー選手が一度も骨折していないというエアバッグ『D-air』は、ストリートでも使用することが可能。

プロテクター関連やテキスタイル、グローブ、ブーツ、AGVのヘルメットも多数並ぶ。もちろんミラー選手のレプリカヘルメットもラインナップ。

ダイネーゼ台場
東京都港区台場1-3-5
TEL:03-3599-0940
営業時間:11:00-20:00
定休日:水曜 + 第2、4火曜(祝日の場合は営業・翌日に振り替え)


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