
●文:モーサイ編集部(紺野陽平) ●写真:小峰秀世 etc.
クルマやバイクなどの総走行距離(積算距離ともいいます)を示すメーターを「オドメーター」といいます。これはご存知の方も多いでしょう。
最近では、走行距離だけでなく燃費計/外気温表示/トリップメーターなどと一体化しているものや、高級車などではフロントガラスにヘッドアップディスプレイとしてスピードやタコメーター(回転計)と一緒に表示する近未来なデザインもあります。
オドメーターは、ふだんそれほど頻繁に意識する計器ではありませんが、ときどき走行距離を見ては、「この前にオイル交換したのは何kmだったかなあ…」とか、「このバイク、いつの間にか4万kmも乗ったのか」といった感じに、愛車を思いやるきっかけにもなりますね。
ところで、このオドメーターについて常々ギモンに感じていたことがあります。オドメーターの“オド”とは、いったい何を意味しているのか…ということ。
オドメーターを巡る、長~い歴史
辞書を引いてみると、オドメーターは「odometer」として名詞として載っています。べつに“オド”と“メーター”を組み合わせた言葉ではなく、ひとつの単語です。
ただ、メーターについては“計器”あるいは“計量器”といったそのままの意味なわけで、“オド”については“距離”に関係ある言葉だと推測されますが…。辞書を調べてみても「odo」という単語は載っていません。
もしかすると、オドメーターの“オド”とは、誰かの名前を冠したものでしょうか? ガソリン自動車を発明したといわれるドイツのカール・ベンツが、現在に至るまで「メルセデスベンツ」としてその名を残しているような具合に…。
そこで、オドメーターがいつ誕生したのかを探っていくと、“オド”の意味につながるヒントが見えてきます。オドメーターが世に登場するのは、自動車が発明されるよりもはるか以前のこと。じつはかなり古い歴史があるんです。
たとえば今から500年前のイタリア。ルネサンス期の画家/発明家として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、手押し車のオドメーター(積算走行距離計)を考案して測量を行っています。この手製のオドメーターによって、当時としてはあり得ないほど精巧な地図を製作したと伝えられています。
さらに時代はさかのぼり、オドメーターが誕生したのは紀元前の古代ギリシャといわれています……
※本記事は2021年3月18日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」 東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツー[…]
量産車とは異なる無骨さを持ったカワサキ Z750 turbo 【1981】 洗練されたスタイルで後に登場した量産車とは異なり、武骨な雰囲気の外装が目を引くカワサキのプロトタイプは、1981年の時点では[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
ヤマハ RZV500R「2ストV4エンジン搭載で衝撃のデビューを果たしたYZR500レプリカモデル」 ライトウエイトピュアスポーツからレーサーレプリカへの橋渡しであり、起点とも言えたヤマハ RZ250[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
クルマの世界では「並列」表記はほぼ見かけない カタログやメーカーwebサイトでバイクのスペックを眺めていると、エンジン種類や形式の表記で「直列」や「並列」という文字を見かける。いずれもエンジンブロック[…]
実燃費の計測でおなじみだった「満タン法」だが…… エンジンを使った乗り物における経済性を示す指標のひとつが燃費(燃料消費率)だ。 「km/L」という単位は、「1リットルの燃料で何キロメートル走行できる[…]
ボクサー誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカー。 そのBMWが[…]
日本のハイオクは海外ではレギュラー!? オートバイに限らずクルマでも輸入車はほぼすべてハイオク指定。世界に誇る高性能な日本車は、基本的にレギュラーガソリンの給油で事足りる。 そういうところが日本の技術[…]
「緑のおじさん」こと「駐車監視員」の概要 緑のおじさんは、正式には「駐車監視員」と言い、警察から業務委託を受け、駐車違反車両の取り締まり業務に当たる人を指す。 緑のおじさんと呼ばれているものの、18歳[…]
人気記事ランキング(全体)
使わないのは「どうせ利かない」もしくは「踏んでもよくわからない」…… リヤブレーキをかけているライダーは、驚くほど少ない。 ブレーキペダルを踏んでも利いているかわからない、すぐABS(アンチロック)が[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
ホンダ新型「CB400」 偉い人も“公認”済み ホンダ2輪の総責任者である二輪・パワープロダクツ事業本部長が、ホンダ新ヨンヒャクの存在をすでに認めている。発言があったのは、2024年7月2日にホンダが[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
最新の投稿記事(全体)
1位:スズキ『MotoGP復帰』&『850ccで復活』の可能性あり?! スズキを一躍、世界的メーカーに押し上げたカリスマ経営者、鈴木修氏が94歳で死去し騒然となったのは、2024年12月27日のこと。[…]
1105点の応募から8点の入賞作品を選出 株式会社モリタホールディングスは、このたび「第20回 未来の消防車アイデアコンテスト」を実施、受賞作品が決定となりました。 全国の小学生から集まった、1105[…]
「ETC専用化等のロードマップ」の現状 2020年に国土交通省が発表した「ETC専用化等のロードマップ」。その名の通り、高速道路の料金所をETC専用化にするための計画書だ。これによると、ETC専用化は[…]
一大ブームが巻き起こった1986年 滑走路で戦闘機と加速競争する姿、美人教官とのタンデム、苦悩を抱えて丘の上に佇む夕暮れ──。数々の印象的なシーンに初代ニンジャ=GPZ900Rがいた。 1986年に公[…]
房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」 東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツー[…]