【DIY道楽テツ】気軽に”溶接”始めてみない? 初心者にありがちな5つの”あるある”失敗集〈ゼロから始める100V溶接機3日間集中講座その1〉
溶接の失敗その5:溶接が息切れ? トーチが押し戻される?「代表的な設定ミス」
本項は文章や写真で説明するのが非常に難しいのですが…こんな感じです。試しに2本ビードを引いてみました。
上の1本目はぺちゃっと潰れたような溶接ビードになってます。そして2本目は山脈のような、それでいて変に蛇行するような落ち着かないビード。ちなみに溶接中はトーチがガクガクと揺れていました。
種明かしをしましょう。この原因は溶接機の「電流/電圧のバランス崩れ」なのです。
1本目の溶接は「高すぎる電圧」に対して「低すぎる電流」でした。
これは、厳密にはもっとややこしい話になるのですが、フィーリング的には1回あたりのスパークはとても強いのですが、ワイヤー供給が全然追いついてない感じ。出てったワイヤーが瞬間的になくなってしまうので、次のワイヤーが届くまで火花が途切れるといった感じです。
2本目の溶接は「低すぎる電圧」に対して「高すぎる電流」でした。
これは先ほどとは正反対。どんどんワイヤーが出てくるのに1回のスパークの熱量が足りなくて、溶け切ってないワイヤーが無理やり突っ込まれてく感じ。母材を溶かすというより、ワイヤーだけが溶けてどんどん山を作っていく…そんな感じでしょうか。これはなかなかタチが悪い状態で、母材が溶けていないので溶接強度が著しく低かったりします。
このトラブルも意外な原因で発生することが多々あります。
よほど広い作業場所を持っている方だったら問題ないのですが、一般的には100V溶接機はどこかに片付けていて、作業する時に持ってくるという形になっているかと思われます。で、その運搬時にちょっとした拍子でダイヤルって回っちゃうんですよね~。これこそ意外と思われるかもしれませんが、割とやらかす失敗です(私はしょっちゅうです)。
もしくは、溶接を始めたら先ほどの「イモ」になっちゃって、そんなら電圧を上げようとしたら今度は穴が開いちゃって、混乱してダイヤルを回すうちに電流電圧のバランスが崩れてしまったというパターンもあるかもしれません。
何にしても…おすすめの設定値は「中間から」←コレです!!
ぶっちゃけた話、自分のトーチの距離が一定になるまで溶接の強さはいじらない方が無難です。溶接はトーチの距離はもちろんのこと、トーチの角度や、送り速度、送り方向でも強さが全く変わってしまうので、そこで電流電圧の調整を入れちゃうと強いんだが弱いんだかわけわからない状態になってしまいます。
そんなわけで、まずは「中間」でホールドして、慣れるまで練習するのが上達への最短ルートではないでしょうか。
そしてある程度慣れてきてから調整するのであれば、「電圧を上げたら電流も上げる」「電流を下げたら電圧も下げる」など、電流と電圧を一緒に動かすのが混乱が少なくておすすめです。個別にコントロールするのは薄板や厚板、縦方向や上方向といった中級以降の溶接からで十分だと思います。
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