重曹パワーでバイク掃除! 格安お手製”ソーダブラスト”に自宅でチャレンジ

  • [CREATOR POST]DIY道楽テツ

金属表面へのダメージを最小限に抑えつつ、付着したカーボンなどの汚れなどを落とす夢のような技術、ウェットブラスト。一般的には大掛かりな機材が必要だが、バイクメンテナンス系YouTuberのDIY道楽テツ氏がその一種”ソーダブラスト”にチャレンジ。自宅で安く、簡単に行えるのを目指し、一般販売されている機材と誰でも手に入る重曹を用いて試行錯誤した。


●文:[クリエイターチャンネル]DIY道楽テツ

【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル)

そもそもソーダブラストとはなんぞや??

“ソーダブラスト(重曹ブラスト)”は、研磨剤と水を混ぜて圧縮空気で吹き付け、汚れを除去する”ウェットブラスト”という処理方法の一種。勢いよく吹き付けられた水の中の微細な研磨剤が、ブラシや金属たわしでは届かないような細かい箇所の汚れを落としてくれるんです。

そんなウェットブラストの中でも、研磨剤に重曹を用いるのがソーダブラスト。重曹は常温の水だと溶けずに粒が残るため、その「重曹の粒」が研磨剤になるわけです。ガラスビーズを用いたときのようなツヤが出るわけじゃないし、アルミナのようにガシガシとサビ落としができるわけじゃないですが、何たって食べても大丈夫な重曹。そもそも自然界に存在する物質なので、環境にとても優しいブラスト方法とされています。

安くコンパクト&簡単なソーダブラストを試行錯誤中です

このソーダブラストのシステムは市販化されています。だけど、これが気軽に買えるほどのお値段でもないし、装置がそこそこの大きさになってしまうのです。どちらにしても、DIYを気軽に楽しむ層にはちょっと(というか、かなり)厳しい。

塗装を剥がしたりサビをガシガシ落としたりするような威力はないけども、逆に、塗装面や金属表面へのダメージは最小のまま、表面に浮いたサビを落としたり、バイクに付着したススなどの汚れ落としに最適と言われています。これを家庭で上手く運用できないものか? もっとお気楽に使うことができないものか?? 投資の金額をできるだけ安くして、それでいてコンパクトに扱える大きさにできないものか??

そんな夢のようなことを考えつつも、まずはやってみようということで最低限の道具だけ揃えてみました。できなくてもともと。とりあえずはやってみるのココロ! で、ございます。

最低限の道具でトライするソーダブラスト

【ご注意】今回紹介する方法は正規のやり方ではありません。その効果についても、本家の性能には遠く及ばないとご承知の上で読み進めていただければ幸いです m(_ _)m

…とまぁ、いきなりエクスキューズさせていただきましたが、何万円もの投資をせずになんとかウェットブラスト(ソーダブラスト)を家庭で運用できないか? …と、試行錯誤していますので、その過程を皆様にシェアしていきたいと思います。

まず必要になるのは、圧力で水+重曹を吹き付けるための”ウォッシュブローガン”。吸い上げた水と重曹を圧縮空気のパワーで強力に噴射できるツールです。塗装用のスプレーガンと形状は似ていますが、用途は全く異なるため、残念ながら流用はできません。

次に重曹。掃除用でも食用でもどちらでも使えるようです。2つの違いと言えば、生産ラインの衛生管理ぐらいの違いらしいですが、掃除用の方が価格もお安いのでそちらの方がよろしいかと。

ブローガンの動力となる”コンプレッサー”も必要です。これが一番高価ですね…。といっても、我が家のは10Lのコンパクトなもので、ソーダブラストには容量不足。でも、いいのです。圧力が低下したら休憩すればいいわけで。プロには無理なアマチュアならではの特権ですね~。

吹き付ける道具としてウォッシュブローガンを買ってみました。なお、よく似た形のスプレーガンは、塗料と空気を程よくミックスして霧状にする器具なので、ウォッシュブラストには使えません。

重曹は多少固まってても使えるので、掃除用に買ったはいいけども、出番がなくて湿気てしまった重曹があれば、そちらを使えば奥様にも喜ばれるかもしれません。

コンプレッサーも高性能&大容量であることに越したことはことはないですが、あくまで今回は「最低限の道具」でソーダブラストするのが目的なのでこれで十分!

それでは早速やってみましょう! ソーダブラスト(重曹ブラスト)実験!!

今回、ソーダブラストの実験用テストケースに選んだのはバイクのメーターカバー。あくまで重曹なのでサビまで落ちるとは思えませんが、表面の細かい錆や曇りが取れるといいかな~と、淡い期待を抱きつつ…実験、スタートです!!

表面はメッキのツヤが落ちて曇っている状態。ぽつぽつと小さなサビが浮いています 。

裏側はかなり錆が進行していて、酷い状態になってますね~。重曹なのでサビが落ちるとは思えませんが、どれくらい効果があるのか? 非常に興味があるところ。

予想外に効果があるかも? 空気圧とこまめな撹拌が大事です

まずは重曹と水を混ぜます。重曹の比率を濃くするほどに研磨力は上がるのですが、逆に濃すぎると流動性が下がってしまうので、そこはご自身のお好みの濃度を探してみてください。私個人的には色々試した結果、重曹1に対して水が2から3くらいがちょうどいいようです。

ウォッシュブローガンをコンプレッサーに接続して、ホースをさきほどの重曹と水とを混ぜたバケツの中に入れれば準備オッケー! おもむろにメーターカバーの裏に吹き付けていきます。高圧洗浄機ほどではないけども、そこそこ強い圧力です。

… おりょ? 意外にもサビが落ちていきますね。もちろん、正規のサンドブラストのようにブリバリとサビが落ちていくわけではないですが、でも、まったく落ちないわけでもない。わりと分厚いサビが明らかに薄くなっていくのが見て取れます。

お風呂に入れると体が温まったり掃除を楽にしてくれる重曹が、今まさに、メーターカバーを裏のサビを落としています。不思議…。

すぐ沈殿する重曹。ソーダブラストの機械が大きくて高くて重い理由が分かった気がします

だけど、効果があったのもつかの間、すぐにサビが落ちなくなってしまいました。理由のひとつはコンプレッサーの空気圧の低下。このソーダブラスト、かなりエアーを使うようです。やはりコンプレッサーの性能が作業効率に大きく影響しています。

そして、もうひとつ。やっぱりすぐ沈殿しちゃいますね、重曹。5分かからずにバケツの底に沈んでしまいます。この仕組みだと3分くらいか、理想を言えば2分…いや、1分に1回は攪拌したいところです。

もしくは沈殿上等で、容器の一番底に溜まった重曹から吸い上げて水と混ぜて吹き付ければ、手間なしで強力で確実かもしれません。だけど今回は「最小限」の装備なので、こまめにバケツを攪拌するしかないのです。…これは、今後の改善課題になりそうですね。

重曹が沈殿するため混ぜながらの作業に。なお、作業中はゴム手袋の使用がおすすめです。食べることもできる重曹とはいえ非常にヌルヌルしますし、作業後にはとても痒くなりますので手洗いも忘れずに! 

気を取り直してリトライ。いよいよキャブレターの登場です

…だんだんと、コツがわかってきました。こまめにかき混ぜることさえ忘れなければ、かなり安定した状態でソーダブラストを続けることができます。メーターカバーの表面も、それなりに時間はかかりますが確実にサビを落とすことができました。

ここで本題の”バイクのキャブレター”清掃に突入いたしましょう!! ガソリンやらオイルやらでやたらに汚れやすいくせに、形状が複雑で腐食しやすく、すぐ真っ黒に汚れてしまう代物です。そのくせ構造も精密で、研磨剤に砂を用いる”サンドブラスト”だと、何かしらの不具合が起こりかねないという神経質な面もあります。

だからむしろ、研磨力の優しいソーダブラストなら効率よく掃除できるのではないか? と思いまして、今使っていないリトルカブのノーマルキャブレターをとことんキレイにしてみたいと思います!!

最初はそもそもソーダブラストができるかどうか不安でしたが、コツさえ分かってしまえばこっちのモノ。プシューーっと吹き付けて、コンプレッサーのエア圧力が低下したら少し休んで、またプシューーっと吹き付けての繰り返し。

… なんだ。

こんなシンプルな道具でも、ちゃんとソーダブラストになっているじゃありませんか!
ヾ(´∀`)

吸入口となるホースの先端でバケツの底をグルグルかき混ぜながら、バケツの上に引いた金網の上で作業。吹き付けが終わった水と重曹はすぐバケツの中に戻るので、コンプレッサーのエアーが続く限りは無限ループ!!



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