アヴェニス125とアドレス125はスペックは似てるけど走りは全然違いました
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
先日アドレス125に試乗しました。
今までのアドレスシリーズを知っている方だとデザインは賛否両論あるかと思いますが、スペックでは測れないどっしりとした落ち着いた走りが魅力でした。
そんなアドレス125と同時に発表されたのがアヴェニス125です。
見ためは異なる2台ですが、エンジンやフレームなどが共通のいわゆる兄弟車両。
今回はアヴェニス125の試乗インプレッションをしつつ、アドレス125との違いもチェックしていきます。
アヴェニス125のディテール
アドレス125がモデルチェンジを機会にクラシックな印象を強めたのに対して、アヴェニス125はスポーティーなフォルムを採用しています。
カラーリングはブラック・ホワイト・グレーの3色がラインナップされていますが、グレーは差し色にグリーンを採用しています。
このグリーンはカワサキっぽい印象を受けます。そういえば1998年ごろ、スズキが販売していたアヴェニスはエプシロンっていう名前でカワサキでも販売していましたね。
灯火類はウインカーを除いてLEDを採用しています。
アドレス125はテールランプがLEDではありませんでしたが、アヴェニス125はLEDです。
ステップはフラットフロアです。スクーターの購入条件はフラットフロアという方もいますが、アヴェニス125のステップ位置はアドレス125に比べて少し高いように感じました。
身長164cmの筆者の場合は特に困りませんが、高身長の方だと膝の曲がりがきつく感じる人もいるかもしれません。そういった方はアドレス125の方がお勧めです。
ハンドル下にはコンビニフックも装備されています。
フラットフロアなので、コンビニやスーパーで買い物した際にかけておくのに便利です。
ちょっと珍しいのは、シート下にもコンビニフックが装備されている点。
ステップまでの距離が短いので、大きめの袋を下げるのは難しそう。ちなみにアドレス125にも採用されています。
給油口はアドレス125と同様にアヴェニスもシート後ろ側にあります。
アドレス125はタンクキャップに鍵をさして開閉するのにたいして、アヴェニス125はテールカウル左側の鍵穴に鍵を刺して回すと開きます。
ちょっと珍しいのはアヴェニス125にはキックペダルが装備されている点です。
スクーターにはキックペダルも欲しいという方は多いですが、最近のスクーターは省略されている車種が多いので歓迎したいところ。
センターとサイドスタンドが両方装備されているのも好印象です。
ブレーキはフロントが1ディスク1ポットキャリパー、リアはドラムでコンビネーションブレーキを採用しています。
クラシックな見ためのアドレス125のマフラーに対してアヴェニス125はスポーティーですが、カバーで調整していて、中身は同じに見えました。
ジクサーのメーターに似ているデジタルメーターが採用されていますが、空冷エンジンなのに右側にエンジンの温度計が表示されています。
更にアドレス125には表示されない平均燃費が表示されるなど、アヴェニス125の方が情報が多めです。
アヴェニス125の足つき
アヴェニス125のシート高は780mm。アドレス125に比べて10mm高くなっていますが、加えてサスペンションが硬いのでシートに座っても沈み込み量は少なめ。
アドレス125に比べれば足つきは悪いですが、シートが絞り込まれている前の方に座れば、身長164cmの筆者でも両足のつま先がしっかり接地。更に片足はべったりつくので安心感があります。
加えて車両重量は107kg。125㏄クラスとしても比較的軽量なので取り回しは楽です。
アヴェニス125の燃費
今回は都心部を中心に60キロほど走行してみましたが、平均燃費計には47.2km/Lが表示されました。
アヴェニス125のガソリンタンク容量は5.2L。実はアドレス125より0.2Lほど増量しています。
単純計算で245キロ走れることになりますが、200キロをめどに給油と考えておけば間違いありません。
俊敏な動きがアヴェニス125の魅力
アドレス125もアヴェニス125もフロントは12、リアは10インチタイヤを装備していて、幅は前後共に90mm。
加えて車両重量は110kg以下とくれば俊敏な動きを予想してしまいますが、アドレス125はどっしりとした安定感が持ち味でした。
アヴェニス125のスペックを見てみると、アドレス125に比べて車両重量が2kgほど重く、燃費はWMTCモード値で0.5km/Lほど良くなっています。
スペック表を見比べる限り、見ためはスポーティーだけどアドレス125と同様、どっしりした走りが持ち味なのかなと思って試乗してみましたが完全に予想が外れました。
今回はアドレス125を返却してアヴェニス125をお借りしましたが、はじめに感じたのはアクセルに対するエンジンのふけ上りの軽さです。
信号待ちなどで停車している状態からの加速はアヴェニス125の方が軽快で、ストップ&ゴーが多いシチュエーションでもストレスフリーです。
ただ中速域以降は加速性能に違いがなく、大きく異なるのは停車時からのスタートダッシュのみになります。
サスペンションのセッティングも柔らかく乗り心地の良いアドレス125に対してアヴェニス125は少し硬めの印象を受けます。
路面の凹凸を緩やかにクリアするアドレス125に対して、アヴェニス125はコツコツとした突き上げ感が多少あります。
ただ反面ハンドリングはシャープでコーナリング時には軽快さがあります。
ブレーキも基本的には共通のはずですが、アヴェニス125の方がブレーキレバーを握った時にカチッと感があり、スポーティーなタッチに感じました。
全体的な仕上がりとしてはツーリングまで視野に入れたアドレス125、街中の軽快さやスポーティーは走りを意識したアヴェニス125という印象なので、コンビネーションブレーキじゃなくてABSを採用しても良かったかもしれません。
予想外続きだったスズキの新型原付二種スクーター
試乗の数が多くなってくると、乗る前から「なんとなくこんな感じかな」という予想ができるようになってきますが、アドレス125とアヴェニス125にはしっかり裏切られました。
外観が違う兄弟車両なら、どっちを選んでも一緒と思ってしまうかもしれませんが、味付けがかなり異なるので好みに合わせて選んだ方が良いでしょう。
スポーティーな走りが好きな人はアヴェニス125、どっしりとした安定した走りが好きならアドレス125を選んでおけば間違いありません。
※本記事は当該執筆者が寄稿したものであり、その文責は執筆者に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
日本でも人気の原付二種スクーターですが、排気ガス規制対応の問題などで各メーカーラインナップが一時的に減少していました。 とりわけスズキに関しては原付二種スクーターが姿を消す事態に(マニュアルのGSX-[…]
このところ50㏄のスクーターの売り上げは下降の一途を辿っていますが、逆に原付二種と呼ばれる125ccクラスは好調です。 今までなかったオフロードテイストが加えられたモデルや3輪、モンキーが125㏄で復[…]
スポーティな走りにMotoGPカラーを融合 アグレッシブなLED2眼ヘッドライトや大型フルデジタルメーター、容量約28Lのシート下スペースなどを備えるスポーティな原付二種スクーター「シグナス グリファ[…]
燃費は51→50km/Lに……だけど相変わらずの航続距離が期待できそう! スズキは、2017年に初代モデル登場、2020年に現行デザインへとモデルチェンジを受けた「ジクサー(150)」の2023年モデ[…]
上限7.2psで競い合ったゼロハン(50cc)スポーツ 今では販売台数でも車種数でも規模が縮小し、寂しい状況の50cc(原付一種)クラス。しかし、若年人口が多く、国内市場のバイク販売が上昇気流に乗って[…]
最新の記事
- 「え、400ccで?!」トリックスター ZX-4R TURBO 最高速300km/hチャレンジ、シェイクダウン!
- 「めっちゃ欲しい」ヤマハPG-1、ライバル車との比較から国内導入の可能性を探る【2024個人的大注目バイク】
- 「お蕎麦屋さんへの愛を感じる…」カブの左手のところにレバーがないのはなぜ?
- ホンダが「PCX160」をモデルチェンジ! スマホ連携TFTメーターを獲得し、ウインカーはポジションライトと一体型に【海外】
- 「大人げない」「面白すぎる」『坂田和人 vs 丸山浩』仁義なきガチンコバトル!
- 1
- 2