「メーター上に謎の液晶画面…」鮮烈なボディカラーが印象的だった42年前の名車。とんでもないスペックだったが、わずか2年で消えた伝説の[カワサキ 750 TURBO]

「メーター上に謎の液晶画面…」鮮烈なボディカラーが印象的だった42年前の名車。とんでもないスペックだったが、わずか2年で消えた伝説の[カワサキ 750 TURBO]

1980年代前半のバイク界を席巻したターボブーム。その大トリとしてカワサキが投入したのが「750TURBO」だ。カラー展開は異例の「赤×黒」1色のみ。ナナハンでありながらリッターマシンを凌駕する最高出力112psを叩き出した、伝説の最強ターボマシンの足跡を辿る。
※2025年6月刊行の『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選』より、個性派名車を選出し、加筆して掲載しています。


●文:ヤングマシン編集部

112馬力の衝撃! リッターマシンを脅かした「最強・最速」のドッカンターボ

1980年代前半、国内4メーカーがしのぎを削った二輪ターボ開発競争。その最後に満を持して登場したカワサキ「750TURBO(ZX750E)」は、遅れてきた真打にふさわしく「世界最強最速のターボモデル」をコンセプトに掲げて開発された。

パワーユニットはナナハンの排気量(738cc)でありながら、当時のカワサキのフラッグシップ大排気量車であったGPz1100(120ps)に肉薄する、驚愕の最高出力112psを叩き出した。日立(JECS)製の超小型タービンを搭載し、最高速度は750ccクラスでありながら235km/hオーバーを記録。

【1984 KAWASAKI 750 TURBO】空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブ738cc 112ps/9000rpm 10.1kg-m/6500rpm 233kg F=110/90-18 R=130/80-18 1984年(輸出モデル)

過給機システムを搭載しながらも乾燥重量233kgという軽量化を果たし、ゼロヨン(0-400m加速)性能でも並み居るライバルたちを完全に圧倒した。しかし、他社が扱いやすさを模索する中でカワサキが追求したのは、過給圧が一気に立ち上がる強烈なトルク感であった。3,500〜4,500rpm付近から怒濤の加速を見せるいわゆる「ドッカンターボ」の強烈な特性を持ち、まさに乗り手を選ぶワイルドでスパルタンなモンスターマシンでもあったのだ。

驚異の112psをただき出す心臓部、そして特徴的なメーター周り

名機・GPz750系の空冷DOHC2バルブ並列4気筒エンジンをベースに補強。排気ポートからの流速を削がずターボラグ(過給遅れ)を極限まで抑えるため、タービンはシリンダーVバンク直前の排気口近くに配置されている。吸気供給には高度な制御を可能にするDFI(電子制御燃料噴射)を採用。

排気口近くにターボを配置することで、ターボラグの低減を目論んではいるが…。

メーター周りはGPzシリーズのアイデンティティである異径二連メーターを踏襲しつつ、タコメーター内には押しボタン式で作動する電圧計を内蔵。さらにパネル中央下部には過給圧を示すデジタル液晶ブーストゲージを配置しており、後に登場する大ヒット作GPZ900R(Ninja)よりもスパルタンかつ戦闘機ライクなコックピット空間を演出している。

スパルタンな印象のコックピット。

航空機を連想させる武骨な造形! 伝説の始まりとなった「プロトタイプ」

750TURBOの歴史は、市販化の3年前となる1981年の第24回東京モーターショー(および東京モーターショーに先立って発表された海外ショー)に展示されたプロトモデルまで遡る。

’81 KAWASAKI 750 TURBO PROTO TYPE

当時公開された試作車両は、車体各部にリベット留めの意匠が施され、まるで往年の戦闘機や航空機を彷彿とさせる武骨かつ無骨なスタイリングが特徴的だった。「空の技術」をもルーツに持つカワサキらしさが全面に押し出されたそのデザインは、世界中のバイクファンに強烈なインパクトを与え、市販化への期待を決定づけた。

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