![「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/Honda_CX500_A.jpg)
1980年代初頭に突如として巻き起こった「バイクのターボ狂騒曲」。その先陣を切ったのが、量産二輪車として世界初のターボチャージャーを搭載したホンダCX500ターボだ。ミドルクラスの排気量でありながらリッターマシン並みのスペックを誇った、コレが45年前のホンダのマシンである。不朽の名車の足跡を辿る。
※2025年6月刊行の『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選』より、個性派名車を抽出し、加筆して掲載しています。
●文:ヤングマシン編集部
70年代末の省エネ潮流から生まれた! リッター車に迫る「激レア」ターボバイクの衝撃
オイルショックを経た1970年代末から1980年代初頭にかけて、「排気量を増やさずに高出力を得る」という省エネ時代の打開策として、二輪界にも過給機(ターボ)技術への注目が一気に高まった。この新たな潮流に対し、真っ先に量産市販車として回答を提示したのがホンダである。
ホンダは1980年秋のドイツ・ケルンショーで「CX500 TURBO」を鮮烈に世界初公開。翌1981年、ホンダにとって二輪・四輪を含めて初となる市販ターボ車として市場へ投下された。
国内では認可が出ず、輸出専用モデルとなった、ホンダのCX500。
パワーユニットの母体となったのは水冷縦置きOHV V型2気筒のGL500系エンジンだが、過給による高出力や過酷な排熱に耐えうるため、内部パーツはほぼ新設計と言えるレベルまで強烈なブラッシュアップが施された。さらに、急速な過給変化に対応するため二輪初の電子制御燃料噴射(PGM-FI)を採用。排気量わずか498ccのエンジンから、最高出力82psという、まさに「コレが45年前のマシンか」と唸らせる驚愕のハイスペックを引き出すことに成功した。
「ミドルクラスのコンパクトな車体に、1,000ccクラス(リッターバイク)並みのパワーを込める」という目論見は見事に達成された。しかし、ターボシステムによる車重の増加や独特のターボラグといった課題もあり、各社が追随したバイクのターボブームは数年で終息に向かう。だが、その熾烈な開発競争の中にあって、排気量を拡大した継続進化モデルまで市販化に漕ぎ着けたのは、唯一このCX500ターボの系譜のみであった。
ホンダ CX500 ターボ(1981年)
輸出専用モデルとなったため、日本国内ではほぼ見かけない、レア車両となった。
【主要諸元】
- エンジン形式:空冷 4ストローク V型2気筒 OHV 4バルブ
- 総排気量:496.9 cc
- 最高出力:82 ps / 8,000 rpm
- 最大トルク:8.1 kg-m / 5,000 rpm
- 車両重量:239 kg
- タイヤサイズ:フロント 3.50V18・リア 120/90V17
一目で「ただ者ではない」と悟らせる! 圧倒的存在感を放つターボ専用グラフィック
世界初の市販ターボ車としてデビューしたCX500ターボは、その斬新かつアグレッシブなスタイルで見る者に強い衝撃を与えた。カウルや車体各部には「TURBO」の文字が誇らしげに刻まれており、特にアッパーカウル前面のロゴは、先行車のバックミラーに映った際に正しく読めるよう意図された「逆文字(鏡文字)のTURBOロゴ」を採用。
バックミラー越しでも認識できる、鏡文字のターボロゴが印象的。
さらにマフラーサイドやアンダーカウルにも力強いロゴを配置し、全身でただ者ではない存在感を主張していた。
ホンダ CX500ターボのエンジン
ボア×ストロークは当時のホンダF1エンジンと同じ78×52.2mmを採用。タービンには現IHI(石川島播磨重工業)と共同開発した、当時世界最小の量産用ターボチャージャーを搭載する。過給が本格的に立ち上がるのは約4500rpmからで、それ以下の低回転域は低圧縮比ゆえにトルクが細い独特の乗り味だ。
速度計と回転計こそアナログ式だが、それ以外は現代のバイクと比較しても遜色ないデジタルメーターパネル。中央上部には過給状態をアピールするターボ表示ランプが鎮座する。
CX500 TURBOの系譜。熟成を重ねて乗りやすさを追求した発展型「CX650 TURBO」
デビュー作であるCX500ターボの登場からわずか2年後の1983年、ホンダはさらなる熟成を図った進化型「CX650 TURBO」を市場に送り出す。
1983年に発売された、ホンダのCX650 TURBO。
排気量を673ccまで拡大し、過給セッティングやFIの制御を再緻密化することで、初期型で見られたピーキーな特性を抑え込み、実用域での乗りやすさを大幅に向上させた。さらにカウル素材をFRPから軽量な樹脂へと変更するなど、車体全体で約9kgもの軽量化を達成。スポーツツアラーとしての完成度を極限まで高めたモデルとなった。
ホンダ CX500と同系エンジンを搭載した兄弟モデル
ホンダ WING GL400/500
CX500ターボのベースとなったエンジンは、OHVならではのコンパクトなシリンダーヘッドに、軽合金プッシュロッドをはじめとする革新技術を投入して高回転・高出力化を果たしたGL400/500である。
CX500の母体となった、ホンダのGL400/500
【WING GL400 主要諸元】
- エンジン型式:水冷4ストV型2気筒OHV4バルブ
- 総排気量:396cc
- 最高出力:40ps/9500rpm
- 最大トルク:3.2kg-m/7500rpm
- 車両重量:218kg
ホンダ CX-EURO
そして、このターボモデルで確立された先進的なデザインエッセンスや、リヤのプロリンク・サスペンション、フロントのブレーキトルク応答型アンチダイブ機構(TRAC)といった最先端の足回り技術をそのまま継承し、国内向けツアースポーツとして昇華させたのが「CX-EURO(400cc)」であった。過給機こそ搭載しないものの、ターボ開発で培われたホンダの情熱はこれらの兄弟モデルにも色濃く息づいていた。
ホンダのCX-EURO。
【CX-EURO 主要諸元】
- エンジン型式:水冷4ストV型2気筒OHV4バルブ
- 総排気量:396cc
- 最高出力:40ps/9500rpm
- 最大トルク:3.2kg-m/7500rpm
- 車両重量:209kg
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ロングセラーとなった6気筒ツアラー「カワサキ Z1300」 ホンダのCBX1000とほぼ同時期である1978年のケルンショーで発表され、翌1979年に登場したのがカワサキZ1300である。同じ並列6気[…]
1978年に市場に投入。ホンダの英知を集めた名作6気筒モデル「CBX 1000」 多気筒化によるエンジンの高出力化と超高回転化は、1960年代の世界GPロードレースにおいてホンダがその正当性を鮮烈に実[…]
空冷4気筒の限界に挑戦 CB1000Rを大別すると前期/後期の2種で、もう少し細かく分類すると、RB1/RB/RC/RDの4種。ただし、各モデルのおもな相違点は足まわりと外装類で、フレームとパワーユニ[…]
地道な改良は多岐に及んだが基本構成は不変 1971/12 GT380(通称BO) ’71年12月から発売が始まった初代の特徴は、フロントのドラムブレーキ。ディスク仕様の登場後もしばらく併売された。 1[…]
3台のレーサーレプリカがブームの基盤を構築 当時は誰もそんなことは言わなかったけれど、’80年前後の大排気量車の世界では、ちょっとしたレーサーレプリカブームが起こっていた。具体的には、’79年にドゥカ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
マン島TTの英雄マクギネスの30周年を祝う!15台限定の特別限定車 CBR1000RR-RファイアブレードSPは、すでに日本国内でも正式に販売され、サーキットを愛する多くのスーパースポーツファンから圧[…]
1978年に市場に投入。ホンダの英知を集めた名作6気筒モデル「CBX 1000」 多気筒化によるエンジンの高出力化と超高回転化は、1960年代の世界GPロードレースにおいてホンダがその正当性を鮮烈に実[…]
欧州で先行発表!旅の相棒「NC750X」が纏う2つのエモーショナルな新色 オンロードでの快適なクルージングから、未舗装路へのアプローチまでをシームレスにこなすアドベンチャースポーツ、ホンダの「NC75[…]
空冷4気筒の限界に挑戦 CB1000Rを大別すると前期/後期の2種で、もう少し細かく分類すると、RB1/RB/RC/RDの4種。ただし、各モデルのおもな相違点は足まわりと外装類で、フレームとパワーユニ[…]
アドベンチャースクーターというジャンルを確立したホンダ「X-ADV」 平日の通勤ラッシュを快適にすり抜け、週末はそのまま林道ダートへと滑り込む。そんな贅沢な夢をこれ以上ない形で具現化したのが、2017[…]
人気記事ランキング(全体)
クルマでもバイクでもない!街中をスイスイ駆ける超コンパクトEV スマートに、スタイリッシュに街を駆け抜ける。 そんな都市型モビリティの未来を現実のものとしたひとつの答えが、今回オートバックスで受注が始[…]
ロングセラーとなった6気筒ツアラー「カワサキ Z1300」 ホンダのCBX1000とほぼ同時期である1978年のケルンショーで発表され、翌1979年に登場したのがカワサキZ1300である。同じ並列6気[…]
なぜ普通のソケットじゃダメなのか? 一般的な工具用ソケットは、ナットに入れやすくするために口元が面取り(斜めに削られている)されている。しかし、スクーターのクラッチナットはとにかく薄い。面取り加工のせ[…]
皆さ~ん! 今年の夏は、どこかへ走りに行きましたか? 夏の終わりにやっておきたいのが、ドライブチェーンのガッツリ洗浄です。なぜかって? ツーリングでふだんとは違う場所を走るということは、それだけチェー[…]
最新の投稿記事(全体)
マン島TTの英雄マクギネスの30周年を祝う!15台限定の特別限定車 CBR1000RR-RファイアブレードSPは、すでに日本国内でも正式に販売され、サーキットを愛する多くのスーパースポーツファンから圧[…]
全ての機能が最高という訳ではないが、欲しい機能が全て揃ってこの価格は最強だッ!! JESIMAIK(ジェスマイク)はバイクインカムのほか、ヘルメット消臭/乾燥機やジャンプスターター、エアコンプレッサー[…]
70年代末の省エネ潮流から生まれた! リッター車に迫る「激レア」ターボバイクの衝撃 オイルショックを経た1970年代末から1980年代初頭にかけて、「排気量を増やさずに高出力を得る」という省エネ時代の[…]
「高速2人乗り解禁」の陰に高市総理のアドバイス いまから30年以上前、当時、高速道路の80km規制解除や2人乗り解禁などバイクの使用環境改善の活動を行っていた現オートバイ政治連盟会長の吉田純一さん(元[…]
欠場も焦る必要なし!年間最多レース時代に求められる戦い方 MotoGP第12戦イギリスGPで、小椋藍選手(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)が転倒、リタイヤを喫しました[…]
- 1
- 2

![1981年に発売された、ホンダのCX500 ターボの車両写真|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/008-32-1-768x512-1.jpg?v=1788085156)
![1981年に発売された、ホンダのCX500 ターボの車両写真|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_11a_honda-cx500-turbo.jpg?v=1787636721)
![ホンダのCX500のアッパーカウルのTURBOロゴ。|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/Honda_CX500_B-768x512.jpg?v=1788085986)
![1981年に発売された、ホンダのCX500のエンジンとマフラー|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_12_honda-cx500-turbo.jpg?v=1787636723)
![1981年に発売された、ホンダのCX500の構造レイアウトのイラスト図|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_13_honda-cx500-turbo.jpg?v=1787636725)
![1981年に発売された、ホンダのCX500ののメーター類|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_14_honda-cx500-turbo.jpg?v=1787636727)
![1983年に発売された、ホンダのCX650 ターボの車体、左側面の写真。|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_15_cx650-turbo.jpg?v=1787636729)
![CX500の母体となった、ホンダのGL400/500|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_16_wing-gl-400.jpg?v=1787636731)
![ホンダのCX-EURO|「バックミラー越しでもひと目でわかる…」日本では滅多に見ない45年前の激レアホンダ車。同社初のターボ搭載モデルとしてとんでもないスペックを実現した[CX500 TURBO]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/the-japan-bintage-machine_17_cx-euro.jpg?v=1787636733)
![ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/815BH7RG51L._SL1500_.jpg)





























