
オーストリアのバイクメーカーKTMが作るスポーツネイキッド“DUKE”シリーズ。普通自動二輪免許で運転可能な390デュークなら、400ccのミドルクラスでありながらビッグバイクに負けずとも劣らない電子制御体験が味わえる!
●文:谷田貝洋暁 ●写真:真弓悟史
カラーリングは写真のエレクトロニック・オレンジとアトランティックブルーがあり、価格は82万9000円。
82万9000円でこの装備ならバーゲンプライス!
兄貴分たちにも負けず劣らずエッジの効いたスポーティなデザインが与えられた390DUKE。
“デューク”はKTMのネイキッドモデルのブランド名。現在はシリーズ最大排気量1350ccを誇る1390スーパーデュークRエボを筆頭に、990デュークR(947cc)、890デュークGP(889cc)、790デューク(799cc)、390デューク(398.7cc)の5機種がラインナップ。現行モデルの中では、唯一普通自動二輪免許で乗ることができるデュークが、今回の主役である390デュークだ。
390DUKEの持ち味は、軽量な単気筒エンジンとトラスフレームが作り出す軽やかな車体。
登場は2013年。KTMが10年以上をかけて育ててきたモデルであり、日本においてKTMのロードバイクがここまで広く認知されるようになったのは、390デュークをはじめとする“スモールデューク”シリーズ(かつてはベース車体を共用する200、125、250もあった)によるところが大きい。
2024年のモデルチェンジでリヤショックを車体右にオフセットしたことで、シート高は820㎜と5㎜低くなった。
大きなモデルチェンジを行なったのは2024年モデルで、エンジン&車体の約90%のパーツを刷新。390デュークの名前はそのままに、排気量が373ccから398.7ccまで引き上げられ、最高出力は1馬力プラスの45ps。このほか、エンジンに関しては単なる排気量アップではなく、シリンダーヘッドを新作するとともに一次減速比も変更。ギアボックスを最適化するなどのブラッシュアップも行われた。
単気筒とはいえ、水冷400ccクラスのパワーなら高速移動もラクラク。
一方、車体の方はパワーアップしたエンジンに合わせて剛性アップした新フレーム&スイングアーム採用。キャスター角&オフセット量といったディメンションから根本的に見直しており、ここに新作のホイールと、ミシュランの最新ロードスポーツタイヤであるパワー6をセット。
走らせてみると、KTMのフィロソフィである“READY TO RACE”を存分に味わえるようなスポーティなキャラクターになっている。車量重量165kgという250ccクラスのような軽さを武器に、コーナリングがとにかくシャープに決まる。ヒラヒラとした軽やかさは先代にも感じられた長所だが、最新型はそこにロードスポーツモデルらしい落ち着きが加わった感じ。
新生390DUKEに与えられた命題は“THE CORNER ROCKET”。
この新エンジン&新フレームによる高いスポーツ性に拍車をかけるのが、とても400ccクラスのモデルとは思えない豊富な電子制御装備だ。
モデルチェンジにて、3種類から選べる走行モードが追加され(出力設定は2段階)、トラクションコントロールシステム&ABSはリーンアングルセンサーが搭載されたことによりコーナリングに対応。
実際、このトラクションコントロールシステムがよくできており、コーナリング中の介入具合を信用できるようになると格段にスロットルが開けられるようになる。これこそがKTMの言う“コーナーロケット”というわけだが、MotoGPレーサーよろしく“トラクションコントロールに当てに行く”乗り方が可能だ。
軽い車体を力任せにねじ伏せて走る楽しさがある390DUKE。どんな道も軽やかに駆け抜けられる。
この他、オプションではあるが、上下方向対応のクイックシフターやクルーズコントロールシステムが用意されていたり、メーターのスマホコネクト機能は、音楽/通話に加えてナビ画面の表示も可能になるなど、クラスを超えた電脳体験が可能となっている。
KTMの390デューク。これで4年間のメーカー保証が付いて82万9000円という価格設定なのだから、もはやお買い得としか言いようがない。
390DUKE:エレクトロニック・オレンジ
’25モデル KTM 390DUKEのスタイリング
“これぞKTM”といった雰囲気を纏う390デューク。兄貴分同様、デュークシリーズらしい尖ったデザインだ。
390DUKEの主要諸元
- サイズ:軸距1357 シート高820(各mm) 車重165kg(装備)
- エンジン:水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 398.7cc
- 最高出力:45ps 3.9kg-m
- 変速機形式:6速リターン
- 燃料タンク容量:15ℓ
- ブレーキ:F=ディスク R=ディスク
- タイヤ:F=110/70R17 R=150/60R17
- 価格:82万9000円
RIDING POSITION
シート高は820㎜で、両足の踵までべったりと付けられとても安心感がある。上半身は僅かに前傾になり、ハンドルと膝がやや近いコンパクトなポジション設定。
’25モデル KTM 390DUKEのディティール
デュークシリーズ共通のエッジの効いたデザインが与えられている390DUKE。左右のレバーはダイヤル調整機構付きで手の大きさに合わせて握り幅の調整が可能。
5インチTFTメーターは見やすく、写真の表示の他にタコメーターメインの表示となるトラックモードもある。表示項目は、速度、タコ、ギヤポジションインジケーター、時計、走行可能距離といった主要表示に加え、下段のお気に入り表示には、オド、トリップ、平均燃費、バッテリー電圧といった項目を選んで表示しておける。
走行モードはフルパワー仕様の「ストリート」&「トラック」に対し、「レイン」はスロットルレスポンスが穏やかになり、トラコンの介入も早めとなる。設定画面ではABSやトラクションコントロールの設定変更も可能だ。
2024モデルで三叉を新作しキャスター角&オフセット量を改変。メーター左脇にはUSBポートを備え、5V 2.1Aでの充電が可能。
走行中はクラッチレバーを握らなくてもギヤチェンジが可能になる上下方向対応の“クイックシフター+”をオプションで装備可能。
アルミ製シートフレームを採用し、前のめり気味のコンパクトでスポーティなライディングポジションとなっている。
傾斜角(リーンアングル)センサーを搭載。コーナーと直線で制御介入具合を変更するABS、トラクションコントロールシステムを装備。トラコンは2段階+OFF、ABSはロード用と後輪制御がOFFとなるSupermotoモードが選べる。
デュークシリーズのアイコンとなりつつあるエッジの効いたシュラウド。燃料タンクは容量15ℓ(ハイオク)を確保し、ロングランも可能。
Φ43mmの倒立フォークにラジアルマウントのブレーキキャリパーを装備。フロントストロークは150mmを確保。
WP製APEXオープンカートリッジタイプの倒立フォークは、伸び側(右)、圧側(左)の減衰力調整が工具なしで5段階で行え、その変化も顕著。
リヤタイヤのホイールトラベルはストローク150mm。リヤショックは右側にオフセットすることで、エアクリーナーボックス容量確保すると共に、シート高のダウンに成功している。
灯火類はヘッドライトからテールランプ、ナンバー灯に至るまでフルLED。ウインカーは消し忘れのないオートキャンセル機能付き。
Tester:谷田貝洋暁
Tester:谷田貝洋暁
ビギナー向けの『タンデムスタイル』をはじめ、『レディスバイク』、『Under400』などの二輪媒体編集長を経てフリーランス化したライター。これまで二輪各媒体に寄稿したバイク試乗記事は1500稿を超える。本誌ではガチテストやオフロード系の“土モノ”を担当することが多く、「読者はソコが知りたい!」をキラーワードに際どい企画をYM編集部に迫る。
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