2026年度、首都高の75%がETC専用に!未装着バイクは「実質締め出し」か?……〈多事走論〉from Nom

2026年度、首都高の75%がETC専用に!未装着バイクは「実質締め出し」か?……〈多事走論〉from Nom

「首都高の入り口が、いつの間にかETC専用に……」。そんな経験をしたライダーも多いはず。実は2026年3月、首都高のETC専用入り口は90カ所へ急増し、2026年度中には全入り口の約75%に達する予定。四輪に比べ装着費用が高いバイクにとって、この「爆速」な変化は死活問題。未装着車への影響や高額なコストの壁、そして今すぐ実践すべき「自衛策」は。


●文:Nom(埜邑博道) ●外部リンク:首都高速道路株式会社 | 2りんかん | レンタル819

バイクは首都高に乗れなくなる⁉ ETC専用入り口化が爆速激増中!

2026年3月、うがちゃんこと宇賀なつみさんをキャラクターにした首都高速道路株式会社のTVCMが大量に放映されていました。

内容は、首都高ではETC専用入り口化が拡大中で、今年の春(2026年3月)には90カ所になるというものでした。 首都高のETC専用入り口の設置は2022年3月から始まりました。

渋滞の緩和と安全性の向上、管理コストの削減(料金所係員が不要になるため)、コロナ禍以降、国が取り組んでいるキャッシュレス化・タッチレス化の推進など、専用化のメリットが挙げられていました。

当初、35カ所だったETC専用入り口が現在は90カ所に急増していて、首都高速によると2026年度中にさらに44カ所を専用化し、134カ所の入り口がETC専用入り口になるとのこと。

首都高の入り口は全178カ所ですから、じつにその75%がETC専用入り口になるというのです。そして、2028年春までには一部を除きすべての入り口のETC専用化を目指しているそうです。

ご存知だと思いますが、ETC専用入り口では現金はもちろん、ETCカードやクレジットカードの手渡しによる支払いもできません。ETC機器を装着していないバイク(やクルマ)が誤ってETC専用入り口に進入した場合、専用入り口の隣に設置されている「サポートレーン」にあるインターホンの横にバイクを停めて、係員を呼び出してその指示に従い後日、料金を支払うことになっています。

さて、うがちゃんのCMを見て、90カ所もETC専用入り口になるんだ、便利になるねと思った方はいらっしゃるのでしょうか。

ボクが思ったのは、またまたユーザー不在で自分たちの都合で事を進めているんだなということでした。

ETC装着車で高速道路の料金所を通過するのは利便性、安全性で大きなメリットがあることは否定しません。とくにバイクの場合、料金所でバイクを停めて、グローブを外してサイフを取り出して支払うのは面倒だし、立ちゴケなどのリスクもはらんでいます。

利便性が上がってリスクが減るなら文句ないじゃないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、そのためのコストを払うのはバイクユーザー。もう一方の受益者である首都高側はバイクやクルマユーザーに何をしてくれているのでしょうか。

こちらが2026年の3月、CMでも大量にながれていた首都高の動画。キャラクターは「うがちゃん」だ。

所有するバイクすべてに高額なETC機器を付けなきゃいけない?

今回、二輪のETC装着率をさまざまなところに取材してみましたが、ETCやETC2.0に関する仕組み・料金割引・車載器情報・各種手続き案内などをまとめて提供する公式の総合情報サイトである「ETCポータルサイト」でも、二輪車へのETC装着率は把握していないと言います。

そこで、二輪ETCを数多く装着している2りんかんで、ITS-TEA(ITSサービス高度化機構)の理事も務めている藤松さんにバイクのETC事情についてお聞きしました。

藤松さんによると、バイクの場合、排気量帯で装着率は大きく異なり、2023年度末に独自調査をしたところ日常的にツーリングを楽しむ400cc以上の小型二輪車ユーザーの場合は60%以上で、めったにツーリングをしない250cc以下の軽二輪ユーザー、そして初心者ライダーは20%程度ととても低い数字だと言います。四輪の装着率がほぼ100%と言われていますから、驚くべき低さです。

また、軽二輪ユーザーと初心者はETCに関する情報にも疎く、今回のようなETC専用入り口化についてもあまり認識していないような印象とのこと。

そういうライダーが年に数度のツーリングに行く際、首都高のETC専用入り口化が進行していることを知らずに料金所で困惑するというアクシデントが多発しそうです。

また、首都高広報によると、2006年2月時点での首都高のETC利用率は全体で98.9%、二輪は軽自動車と同区分に分類されておりその数字は96.8%とのことですが、軽自動車の装着率は100%に近いと推察すると二輪車のETC利用率はまだまだ四輪には及ばないと考えます。また、ETC専用入り口化が推進されているので、現在、首都高を利用するバイクの大半はETC装着車にならざるを得ないのでこういう高い数字になっていると思われ、ETC未装着車両の首都高離れも起こっているのかもしれません。

この要因のひとつは、二輪用ETC機器の装着費用が高いこと。四輪が1万円台から装着可能なのに対して、バイクの相場は3~5万円と四輪の倍以上。さらに、趣味の乗り物であるバイクの場合、複数台を所有して使い途によって乗るバイクを決めている人もいらっしゃいます。ただでさえ装着費用が高いのですから、メイン車両にだけETCを装着して、それ以外の車両には未装着という方も多いでしょう。

そんなETCに関する知識もある方が、メイン車両ではないバイクで久しぶりに出かけようと思って首都高に乗ろうとしたらそこはETC専用入り口になっていてアタフタした、なんていうこともETC専用入り口化がどんどん加速するこれからはますます起こりそうです。

ETC機器を新規に取り付ける人に対する助成金(通常1台に付き最大1万円程度)というものがあり、首都高速道路も年に1~2回キャンペーンを実施していますが、ことバイクユーザーにとってはそれでは不十分と言わざるを得ません。

機器代含め装着費用が四輪の倍以上なのですから、四輪が1万円ならバイクはその倍の2万円ぐらいは助成してほしいものです。

諸外国では、ETCのような無線通信による料金受領システムを導入する際、必要な機器を希望者に無料で配布するということも行われたと聞きます。

また、Yahoo!がインターネットサービスに参入する際、モデムを無料配布していたことも記憶しています。「モデム配布」という短期的投資で、その後、長期にわたってネット利用料で利益を得るための手法でした。

上記ふたつを例にとると、首都高速の利用促進という長期的利益を得るために、ETC機器の配布という短期的投資を首都高速道路が行ってもいいのではと思いますが、そんな気配はまったくなく…。

首都高広報は、「現金やクレジットカード等がご利用になれない入口が増えていることについてはご不便をお掛けしておりますが、ご理解及びETC利用のご検討をいただきたい。」とするのみです。

二輪用ETC機器のイメージ。四輪よりも装着費用が倍以上ということもあり、普及率はまだ低め。

首都圏のレンタルバイクのETC装着率は9割以上

全国にレンタルバイク店を展開しているレンタル819本部の小山内さんによると、首都圏の店舗ではETCが付いているバイクから予約が埋まっていくそうで、逆にETCが付いていない車両はお客さんから避けられる傾向にあるそうです。店舗側でも、高速道路が走行可能な排気量のバイクには積極的にETCを装着していて、その割合は8~9割になっているのではないかとのことでした。このような傾向にも、首都高のETC専用入り口化が影響を及ぼしているのは確実で、店舗側はコスト負担をしながらユーザーニーズや道路環境のニーズに応えているようです。民間企業も独自の努力でユーザーが高速道路を利用しやすくしているのですから、インフラ事業者のほうもユーザー目線での努力をしてもらいたいものです。

写真はレンタル819 お台場店。
〒135-0091 港区台場1-6-1
03-3599-2235

首都高に乗る前は「ETC専用化MAP」を必ずチェック

四輪のETC装着率と利用率を考えると、二輪車は少数派となっているのかもしれませんが、バイクユーザー側からすると納得がいく方向性ではありません。

業界団体のとある方も、「二輪用ETC機器本体およびセットアップ費用が高いことが、ETCを装着しない理由になっています。また、複数台所有する方は現金やクレカで支払うほうが合理的ですが、その場合は上限料金が課せられてしまいます。こういう現状をふまえて考えると、ETC専用入り口がどんどん増えていくことは妥当性、公平性、現実に即した観点から、利用者目線で再検証されることを強く望みます」というご意見でした。

2020年12月に国土交通省および高速道路会社6社は「ETC専用化等のロードマップ」を公表して、計画的にETC専用化を推し進めていく考えと言います。 となると、首都高にまつわるトラブルを未然に防ぐには「自衛」しかありません。

現在も、ETC専用入り口化がどんどん進んでいて、ふだんよく使う首都高の入り口がある日突然、ETC専用入り口になっているということも十分あり得ます。

ボクも、先日、久しぶりに利用した外環道の入り口(外環道もETC専用入り口化を推進しています)がいつのまにかETC専用入り口になっていることを知って驚きました。

なので、首都高を利用する前には首都高のウェブサイトにある「ETC専用化MAP」を必ずチェックすることを習慣化することをオススメします。とくに、しばらく利用していなかった、あるいは初めて利用する入り口から首都高に乗ろうというときは念入りにチェックしてください。

あとは、あきらめて年に1~2回実施されるETC助成を利用してETC機器を装着する。実施に関しては、首都高や二輪用品店のウェブサイトで告知されますから、そちらのチェックもお忘れなく(首都高によると、今年度の助成キャンペーンの実施時期等は未定とのこと)。

そして、複数台のバイクを所有する方は安全を期して首都高を使用する際はETC機器を装着したメイン車両に限るなどの自衛策を講じてください。

都心環状線内などの2人乗り禁止(この規制、覚えていますか?)など、バイクにはあまり優しいとは言えない首都高速道路。とはいえ、都心を経由して地方にツーリングする際などは便利な高速道路ですから、各種情報をしっかり把握して、安全・便利に使用したいものです。

首都高速道路提供の4月1日時点のETC専用化マップ。現在工事中の入り口もあるので、首都高を利用する場合は、首都高のウェブサイトに掲載されているこのマップの最新版を要確認。 (ETC専用入り口:紫の●、26年度中にETC専用化予定:緑の●、現金可:白い●)

【二人乗り禁止マップ】
ご承知の通り、都心環状線内側など、首都高には二輪車2人乗り通行禁止の区間が多数存在する(警視庁が指定)。バイクで首都高を利用する場合は、2人乗り禁止区間の確認も必要だ。

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