V型4気筒エンジン搭載の新たな刺客はfrom中国!

この羽根、動くぞ!! CFMOTOが「V4 SR-RRプロトタイプ」を発表、2026年に生産開始へ!【EICMA】

この羽根、動くぞ!! CFMOTOが「V4 SR-RRプロトタイプ」を発表、2026年に生産開始へ!【EICMA】

中国のバイクメーカー、CFMOTOがEICMA2025で発表したSSは観客だけでなく、レース関係者の度肝を抜いたとされています。あたかもWSBKをターゲットにしたかのような「V4 SR-RR PROTOTYPE」は、噂どおり210HPを発揮するV4エンジンをはじめ、電動アクティブウィングなど先鋭的なメカ全部載せ! 近い将来、生産が始まるというマシンの詳細をご紹介しましょう。


●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:CFMOTO

2023年からV4エンジンの開発は始まっていた

CFMOTOは、すでに2023年のEICMAでスーパースポーツ向けV4エンジンのプロポーザルを行っており、昨年はV4搭載マシンのモックアップモデルを展示。そして、今回発表されたV4 SR-RR PROTOTYPEはすでに走行テストが進行中とされています。同時に、210HPという最高出力や、車重200kg未満といったデータを公開し、1hp/kg以上の性能を明らかにしています。

中国からのニューカマー、CFMOTO V4 SR-RRプロトタイプ。EICMA2025で、ついにその全貌が明らかにされました。

また、2023年の時点ではKTMとの共同開発としていたものの、今回のエンジンは完全に自社開発と発表しています。そして、レース参戦をほのめかす情報、すなわち、排気量997cc、逆回転クランク、ユーロ5+排出ガス規制への適合なども公表しており、今回のプロトタイプは市販車にほど近いものに違いありません。

仮想敵はやっぱりドゥカティか⁉

スタイリングは最近のスーパースポーツに通じるもので、空力性能に大きくシフトしていることが窺えます。前述の通り、フロントのウィングレットは電動制御による可変式となっており、EICMA会場ではデモンストレーションが大きな話題となった模様。これは速度に応じて動くアクティブエアロとされており、迎角を調整し、速度や乗り心地に応じて自動かつリアルタイムでダウンフォースを、または低抗力のセットアップに変化するというもの。

ダウンフォースや低抵抗ポジションへと走行状況に応じて変化するという電動アクティブウィングを装備したV4 SR-RR。

ちなみに、同様のアクティブウィングはデモンストレーションこそされなかったものの、昨年のEICMA2024でビモータが発表したKB998リミニにも装備されていました。レースはさておき、公道上でのトレンドとなりそうなデバイスといえるでしょう。トレンドといえば、リアにはパニガーレV4と同じくアルミ製のスイングアームピボットブラケットがあり、リアシリンダーヘッドとトランスミッションにボルトで固定されています。また、アルミ製のフロントフレームもドゥカティに寄せてきた感もあり、ガチンコのレースに期待が高まるというもの。

エンジンは車名の通り997ccのV4で、逆位相クランクやチタンコンロッドなどを使って210HPの最大出力が公表されています。

ランニングプロトとショーモデルの違い

CFMOTOはEICMAに展示されたショーモデルとは別に、カモフラージュしながらもランニングプロトの写真も公開しています。これを見ると、ショーモデルのフロントキャリパーはMotoGP仕様のブレンボが装備され、ランニングプロトはいわゆるハイピュアキャリパー、また、フットペグのブラケットもプロトでは前後スライド調整式マウントなどいくつかの差異があるのがわかります。ショー会場でのコメントによれば、カモフラのほうがより市販車に近いとの証言もありました。

2026年には生産がスタートするとされており、すぐさまWSBKへの参戦もあり得るかと。すでに、Moto2や3での参戦もしている同社だけにカテゴリーのアップグレードを目論むのも当然。一方で、市販スポーツモデルも675SR-Rで高い評価を受けているだけあって、欧米での注目度は急上昇。果たして、市販型V4 SR-RRがどんな戦闘力を発揮してくれるのか、これからも目が離せそうにありません。

ショーモデルが装着していたのはピレリのコントロールタイヤで、いかにもレース参戦を予告するかのよう。

珍しくプロトタイプの走行シーンも公開され、カモフラ姿ながらスーパースポーツらしい走りやウィングの様子が見て取れます。

ショーモデルらしく、アクラポヴィッチ製エキゾーストシステムやMotoGP仕様のキャリパーなどが使われていますが、市販モデルはカモフラのプロトがより近いとか。

マフラーやキャリパーのみならず、フットペグが前後スライド可能なマウントになっているのもご注目。2026年の市販モデルではどうなることやら、期待が膨らみます。

市販モデルでは採用される可能性が低いとされているアクラポ(あるいは公道仕様のアクラポを採用?)ですが、レースで使用されるのはまず間違いありません。

1989年に中国浙江省杭州市で設立されたCFMOTOですが、仮にMotoGP参戦となると、その急成長ぶりには驚かざるを得ません。

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