
ホンダが欧州で展開するカスタムの祭典「Honda Customs」は、常にライダーの度肝を抜くマシンを送り出している。去る2025年6月開催時の主役は、2024年秋のEICMAでついに欧州へ進出を果たした我らが愛すべきレトロシングル、GB350S。なかでも「Silver Bullet(シルバーブレット)」と名付けられた一台は、カスタムのお手本にしたい本気度の高すぎるカフェレーサーだった。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:hondacustoms.com
「銀の弾丸」が示すスタイルと走りへの意思
フランス・ビアリッツのサーフ&バイクカルチャーの聖地「Wheels and Waves」フェスティバル2025は去る6月に行われた。欧州7カ国から選りすぐりのビルダーたちが手がけた11台のカスタムGB350Sが一堂に会したが、中でも英国ファーナムホンダによる「Silver Bullet(シルバーブレット)」は異彩を放つ一台だった。
「銀の弾丸」を冠するSilver Bulletは、芸術作品ともいうべき美しさを誇る。その存在感は、ブラッシュドアルミニウムでワンオフ成形されたパーツが放つ独特の質感によるものだ。粗々しくも艶やかな表面は、工業的な芸術品と呼ぶにふさわしい、生々しいまでの表情を見せる。ファーナムホンダはこの一台を「正真正銘のブリティッシュ・カフェレーサー」として仕上げた。
外観は、流麗なノーズコーンから燃料タンク、そしてシングルシートカウルに至るまで、すべてワンオフのアルミ製だ。これにより、フレームをはじめとした基本構成は純正のままでありながらも、低く構えた攻撃的なカフェスタイルを完璧に実現している。
ライディングポジションも、正当なレーサーを思わせる戦闘的なものだ。ハンドルはトップブリッジ下にレイアウトされたクリップオンのセパレートタイプを採用し、ステップにはモリワキ製のバックステップキットを装着。スパルタンな前傾姿勢をライダーに要求している。
メーターやサイドカバーなど、純正のパーツを活かしている点も見逃せない。明らかなカスタムマシンでありながら、全体の調和と純正然とした美しさを実現しているのだ。
走りの性能にもこだわりが貫かれている。排気系にはシングルエンジン愛好家にはたまらないヨシムラGPマグナムサイレンサーが組み込まれ、GB350Sの単気筒らしい鼓動を魅力的なサウンドへと昇華させている。
早朝の霧深い道を駆け抜け、路地に響き渡るそのエキゾーストノートは、まさにライダーを恍惚とさせるサウンドトラックとなるはずだ。そして足元には、WSBK選手権のオフィシャル採用タイヤであるピレリ・ディアブロスーパーバイク(ハイグリップスリックタイヤ)が装着されている。
公道走行不可のタイヤを履くことによって、Silver Bulletが「GB350Sレーサーのひとつの回答」であることを雄弁に物語っているかのようだ。スタイリッシュでファッショナブルなカフェスタイルと、走行性能への本気度が両立されているのだ。
GB350Sの秘めた可能性を最大限に引き出した「銀の弾丸」。その洗練されたスタイルと性能への本気度は、カスタムを志す多くのライダーにとってまさにお手本となる一台と言えるだろう。
カスタムの祭典「Wheels and Waves」とは
Silver Bulletが披露された「Wheels and Waves」は、南仏ビアリッツで毎年開催される、サーフィンとカスタムバイク、ライフスタイルが融合した世界的祭典だ。2025年は6月11日から15日まで開催された。サーフィンやスケートボードの競技、バイクによるスプリントレースやフラットトラックレースが大規模に行われる。
この祭典において、欧州各国の精鋭ビルダーたちがGB350Sをベースにそれぞれの創造性と技術力を惜しみなく披露した。そして、その中からユーザーやファンによるオンライン投票で「ヨーロッパNo.1のカスタムGB350S」を決定する。Silver Bullet以外にも、さまざまなスタイルに仕立てられた魅力的なカスタムGB350が目白押しだ。
投票は2025年8月31日(欧州時間)まで公式サイト「hondacustoms.com」で受け付けているので、お気に入りの一台に清き一票を投じよう。
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