
高速道路をメインに、たびたびニュースになる逆走。不慣れな道や夜間、あるいは途中の施設からの進入などで、一方通行の認識が困難な状況もあり、決して他人事ではない。加えて、日本の一方通行路には補助標識が併設され、対象車両や時間に複雑な制限が設けられているケースも多い。この記事では、そんな一方通行路のルールと、ライダーがとくに注意すべき点について紐解く。
●文:ヤングマシン編集部
意外と複雑な一方通行の表示
一方通行規制のおもな目的は、車両の相互通行による複雑で危険な交通状況を単純化し、交通の安全と円滑を図ることにある。とくに、道幅が狭く、歩行者や自転車の通行が多い住宅地や繁華街の裏道、あるいは交通量が多い道路や高速道路の出入口などで多く見られる。規制がある場所は、事故のリスクが高いことを意味しているというわけだ。
さらに一方通行のルールを複雑にしているのが、適用対象車両や日時に関する補足情報を示す補助標識の存在だ。さまざまあるが、とくにライダーが注意すべきは、「二輪を除く」「自動車 (二輪を除く)」「二輪のものを除く」といった、似たような表現のもの。これらの解釈はとても紛らわしいが、法令に従って解釈すると下記のようになる。
自動車 (二輪を除く)
この表示がある場合、本標識の対象から除外されるのは、バイク・原付・自転車である。「自動車」という限定が付く時点で、原付(一般原動機付自転車)と自転車は対象外となるからだ。
二輪を除く
法令上の「二輪」の定義は「二輪の自動車及び一般原動機付自転車」であるため、本標識の対象から除外されるのはバイク・原付であり、自転車は除外されない。
二輪のものを除く
これは「車輪が2つの」という意味で解釈され、本標識の対象から除外されるのは車輪が2つのバイク・原付・自転車である。車輪が3つ以上のバイク・原付・自転車は除外対象とはならない。
こうした補助標識の使い分けは、地域ごとの交通状況や法的な運用基準によるものだ。例えば、都道府県によっては自転車や軽車両の通行を許可する場合、地域の道路特性や交通量を考慮した柔軟な対応が求められる。
また、道路の設計や使用頻度、そして地域の公共交通の状況も影響を与えるため、これらの標識がどのように使われるかは、その地域独自の事情を考慮しなければならない。つまり、各都道府県での使い分けは、最適な交通運営を目指した調整結果なのだ。
このようにバイクが逆走できる一方通行路も存在はするものの、逆走用の「止まれ」や「最高速度」などの標識が整備されていない場合も多く、危険を感じることもあるだろう。細心の注意を払って通行したいところだ。
逆走したときの対処法はきちんとある
さらに車両の種類だけでなく、時間や曜日を区切って一方通行の規制が変わる「逆転式一方通行」も存在する。少々分かりにくいため、規制時間の境目では意図せず逆走してしまったり、対向車と鉢合わせたりする危険性がある。
可変標識の設置が進められている地域もあるが、コストとの兼ね合いもあり、全国的に普及しているわけではないので注意が必要だ。
では、一方通行をバイクで逆走してしまった場合はどうすればよいだろうか。一方通行の逆走は「通行禁止違反」にあたり、二輪車の場合は反則金6000円、違反点数2点が科される。 もし逆走に気づいたら、即座に下記のような安全な対応をとることが重要だ。
- すぐに左側に寄せて停車し、ハザードランプを点滅させて周囲に注意を促す。
- エンジンを切り、バイクから降りる。
- 安全な場所までバイクを押して歩く。
バイクのエンジンを切って押して歩けば、道路交通法第二条第3項の二の規定により「歩行者」として扱われるため、そのまま通行が可能になるのだ。進入したばかりであれば、Uターンして引き返す方が楽な場合もあるので、状況に応じて柔軟に判断しよう。
ただし、これらはあくまで一般道路の話。高速道路での逆走は重大事故につながるため、絶対に避けるべきだ。気づいた場合は、路肩などの安全な場所に停車し、車両から離れてすぐに110番で警察に連絡しなければならない。
万が一のときも慌てず騒がずが大切。正しい対処法を知っておけば、いざというときも安心なバイクライフが送れるぞ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(交通/社会問題)
原動機研究部が原付通学環境整備のため講習会を開催 2025年7月13日(日)、静岡県伊豆市修善寺虹の郷において、地域クラブ「原動機研究部」(略称:原研)主催による「高校生対象 原付バイク安全運転講習会[…]
片山財務大臣が走行距離課税は検討していないと明言! この発言の持つ意味はとても大きい 11月12日の参議院・予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長の「走行距離課税はやりませんよね」という質問に対し、片山[…]
白バイ隊員の主な装備 オートバイが好きな方であれば一度は、白バイの装備や白バイ隊員の制服ってどうなっているんだろうって思ったことがあるのではないかと思います。私も警察官になる前は興味津々で、走っている[…]
1.生徒にアンケート調査!<免許取得と車両の購入> 坂本先生は、本年7月に北杜高校の生徒を対象に安全意識に関するアンケート調査を行った。対象は原付免許を持つ2.3年生の生徒100名と、小学校時に自転車[…]
補助金を段階的に上げて暫定税率廃止へと繋ぐというが、年末までに無理なく実施できる? このコラムでも何度も取り上げてきたガソリンの暫定税率が、ついに廃止される見通しとなりました。 自民、日本維新の会、立[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
12億リーチの衝撃! バイクとロボットの融合 CORLEOは、2025年の大阪・関西万博で披露され、SNSでは累計約12億リーチという驚異的な注目を集めたモビリティだ。 その名の由来はラテン語で「獅子[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
驚愕の650ccツイン×2基搭載! 魔改造すぎる怪物「VITA」爆誕 まず会場の度肝を抜いたのが、滋賀県を拠点に世界の名だたるショーでアワードをかっさらってきた実力派「CUSTOM WORKS ZON[…]
大型バイクのカスタムはクルーザーからアドベンチャーまで 台湾から世界的なカスタムビルダーも登場したこともあって、カスタムエリアでは車種を問わずさまざまな仕様が展開されていた。「SPEED&CRAFTS[…]
上旬発売:アライ アストロGXオルロイ アライヘルメットからは、ツーリングユースに特化したフルフェイス「アストロGX」のニューグラフィック「ORLOJ(オルロイ)」が12月上旬に登場する。この独特なネ[…]
人気記事ランキング(全体)
色褪せないヘリテイジ、進化する「Z」の系譜 017年秋の東京モーターショーで世界初公開されて以来、Z900RSは常に我々ライダーの注目の的であり続けている。その最大の魅力は、往年の名車Z1/Z2への敬[…]
排気量拡大路線から4バルブヘッド開発へ 1980年代の後半はAMGにとって重要な分岐点だった気がします。もともと、彼らはメルセデスベンツが作ったエンジンをボアアップ、強固な足回りへと改造することに終始[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル いい意味で、事前の想像とは大きく異なる乗り味だったのが、油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪アドベンチャーのVストローム250SX。このルックスから、個[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
最新の投稿記事(全体)
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
ライバル勢を圧倒する抜群のコーナリング性能 ’80年代初頭のヤングマシン紙面には何度もRZが登場しているが、デビュー当初のRZ250の実情を知る素材としてここで選択したのは、’80年11月号に掲載した[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
パンアメリカのオフロード性能をユーザーに体験してもらう 2021年夏に販売開始されたパンアメリカ。ストローク量の多い前後サスペンションのおかげで、ハーレーの中で唯一ダート走行が可能なアドベンチャーカテ[…]
勝つための合理性と最新テクノロジーが辿り着いたパラレルツイン! レーシングマシンは勝つためを最優先に開発される。だから優位なテクノロジーなら躊躇せず採用する斬新で個性の集合体のように思われがち。 とこ[…]
- 1
- 2





































