
1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回はワークスマシンを思わせる銀色の極太フレームが特徴的なヤマハFZR400について振り返ろう。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣
ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。
1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ750やFZ250フェーザーと同様、GENESIS(ジェネシス)と呼ばれる開発思想を採用。
「創世記」を意味し、エンジンから車体まですべてをトータル性能のために集約して設計するという、当時では革新的な手法だった。
45度に前傾した水冷直4エンジンは、5バルブの採用こそ見送られたが、FZ400Rとはボア×ストロークの異なる専用設計ユニットを獲得。
キャブレターはダウンドラフト型で、デジタル点火方式と合わせてパワフルかつスムーズな特性が与えられている。
極めつけは銀色に輝く極太のアルミフレーム。
TZR250と同様のアルミデルタボックス構造を採用するが、太さはまるで違い、まさにワークスレーサーの趣を湛えていた。
さらに樹脂カバーで覆われた燃料タンクや、前後ラジアルタイヤ、小ぶりなタンデムシートもサーキット走行を重視したスパルタンな性格を表している。
その戦闘力は高く、1988年に国際F3のタイトルを奪還。8耐で平忠彦が駆ったFZR750の姿にFZRを重ねるライダーも多かった。以降もモデルチェンジを繰り返し、事実上の最終型である1990まで進化を続けた。
【1986 YAMAHA FZR400】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 399cc 59ps/12000rpm 3.9kg-m/9500rpm ■157kg ■タイヤサイズF=110/70R17 R=140/60R18 ●発売当時価格:69万8000円
【人呼んでゴロワーズカラー!】WGPのYZR500をはじめ、世界耐久で活躍したFZR750(OW74)のゴロワーズカラーを再現。左はワークスF3レーサーのYZF400。FZRと同時開発で、基本構造はほぼ同一だ。
「ワークス・クォリティ。」のキャッチコピーなど、レーサーとの関係性を強調したカタログ。
ヤマハFZR400 系譜
1987 ヤマハFZR400R
限定車として投入された「R」バージョンは、低速トルクを補うEXUP(エグザップ)を市販車初採用。クロスミッションやアルミ製タンクカバーも備えた。販売マニュアルにはライセンス取得者やベテランに勧めるよう記されていた。
【1987 YAMAHA FZR400R】EXUPに前後ラジアル。
マフラー集合部に低速トルクを補う可変排気バルブ、EXUPを初搭載。
カバーではなく、シングルシートカウルを装備。足まわりも強化した。
1988 ヤマハFZR400
【1988 YAMAHA FZR400】新開発エンジンに楕円マフラー、400Rに搭載されていたEXUPや新規導入システムのF.A.I.も獲得。
1989 ヤマハFZR400
【1989 YAMAHA FZR400】YZFやOW-01風のカウルとなり、デルタボックススイングアームを採用。
1990 ヤマハFZR400RR
【1990 YAMAHA FZR400RR】前型から9か月で全面改良し、ワークスYZFとほぼ同じディメンションに。前傾35度エンジンや、市販バイク初のプロジェクターライトも投入。
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