
1975年、自動二輪免許は小/中/大の3区分となった。当時、多くのライダーはいわゆる”中免”。彼らにとって最上位にあたる400クラスは、性能も装備も向上を続けていった。ここでは二輪デザインに革命を起こした衝撃的モデル、ホンダCB400フォアについて振り返ろう。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
ホンダCB400フォア:工芸品がごとき秀逸デザイン
ヨンフォアことCB400フォアのベースとなったのは、1972年に発売されたCB350フォア。
当時、クラスで唯一の4気筒で、4本出しマフラーを採用するなど豪華装備を誇ったが、より安価で軽快な2気筒モデルや上級機種に挟まれ、販売は苦戦した。何しろまだ中型免許がなかった時代である。
その打開策として、排気量に関係なく魅力的なデザインを盛り込んだモデルが企画された。
そこで取り入れられたのが、当時海外で流行していたカフェレーサーのスタイリングだ。
デザイナーに佐藤允弥(まさひろ)氏、プロジェクトリーダーに寺田五郎氏を迎えて開発が進められた。
燃料タンクはできる限り長くデザインされ、ダブルシートは側面に鋲をあしらった。さらに低いコンチハンドル、管楽器のように美しい集合マフラーも与えられた。
【1974 HONDA CB400Four】■空冷4スト並列4気筒SOHC2バルブ 408cc 37ps/8500rpm 3.2kg-m/7500rpm ■185kg ■タイヤF=3.00-18 R=3.50-18 ●発売当時価格:32万7000円
ホンダCB400フォアの詳細
こうしてヨンフォアは1974年12月に発売。日本国内のみならず、世界中でも高く評価された。「優秀なデザインに国境はない」、これはそのことを証明した事実である。
だが1975年秋には400cc以下に限定された中型免許制度が導入される。
ホンダは408ccだったヨンフォアに慌てて398cc仕様を追加。また、さすがにその走りは2サイクル勢には及ばず、加えていささか高価だったこともあり、スタイルの評判とは裏腹に大ヒットを放つには至らなかったのである。
SOHC2バルブの4気筒エンジンは、一体式クランクシャフトに主要4軸構造など、基本的に750フォアの縮小版と言えるが、ロッカーアームはシリンダーヘッドカバー側に配置。
1976年型からは160km/hスケールに変更された。350フォアの34ps/9500rpmに対し、37ps/8500rpmを発揮。398cc版は36psとなる。
ホンダCB400フォアの系譜
1974 ホンダCB400フォア
初期型はフラットハンドルのみでタンデムステップがスイングアームにマウント。
1976 ホンダCB400フォア I
1975年10月の中型限定免許の新設に対応して排気量を398ccに縮小したI。低いフラットハンドルを備えるのが特徴だ。
1976 ホンダCB400フォア II
対する408ccのIIはアップハンドルを採用。またスイングアームがフレームマウントとなり、サイドカバーも黒くなっている。
ホンダCB400フォアの兄弟モデル
1977 ホンダHAWK II:今や旧車族に人気
ヨンフォアの後継。並列2気筒は高性能かつスムーズだったが、当時はスタイルが…。通称“ヤカンタンク”。
主要諸元■空冷4スト並列2気筒 SOHC3バルブ 395cc 40ps/9500rpm 3.2kg-m/8000rpm ■181kg ■タイヤF=3.60S-19 R=4.10S-18 ●発売当時価格;31万9000円
1980 ホンダSUPER HAWK III:マイチェンを続け長寿に
ホーク系はCB750Fに似たデザインやデュアルピストンキャリパーを採用したスーパーホークIIIに発展。1985年まで販売された。
主要諸元■空冷4スト並列2気筒 SOHC3バルブ 395cc 40ps/9500rpm 3.2kg-m/8000rpm ■173kg ■タイヤF=3.60S-19 R=4.10S-18 ●発売当時価格:39万8000円
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
2ストエンジンの新時代を切り開いた名車 1980年代中頃、スズキのガンマ、ホンダのNSと、高性能レプリカが矢継ぎ早に出揃い、大ヒットを記録していた。 この潮流をみたヤマハはRZ250Rにカウルを装着し[…]
「その時、スペンサーになれた気がした」 MVX250Fの上位モデルとして400版の発売が検討されていたが、250の販売不振を受け計画はストップ。この心臓部を受け継ぎ、NS250Rの技術を融合したモデル[…]
“2スト最強”と呼ばれた栄光のレプリカ ヤマハのRZV500Rと並び立つ不世出の500レプリカが、このRG500ガンマである。 1976〜1982年までスズキはWGP500でメーカータイトルを7年連続[…]
ケニー・ロバーツが駆るYZR500のフルレプリカ 400レプリカが隆盛を極める1984年、ヤマハから究極のレーサーレプリカが送り込まれた。当時最高峰のWGP500王者に輝いたYZR500のフルレプリカ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
アルミだらけで個性が薄くなったスーパースポーツに、スチールパイプの逞しい懐かしさを耐久レーサーに重ねる…… ン? GSX-Rに1200? それにSSって?……濃いスズキファンなら知っているGS1200[…]
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力 ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人[…]
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972) バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT38[…]
人気記事ランキング(全体)
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内導入を2025年春以降に発表 欧州および北米ではすでに正式発表されている新型スーパースポーツモデル「YZF-R9」。日本国内にも2025年春以降に導入されると[…]
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力 ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人[…]
北米にもあるイエローグラフィック! スズキ イエローマジックといえば、モトクロスやスーパークロスで長年にわたって活躍してきた競技用マシン「RMシリーズ」を思い浮かべる方も少なくないだろう。少なくとも一[…]
アルミだらけで個性が薄くなったスーパースポーツに、スチールパイプの逞しい懐かしさを耐久レーサーに重ねる…… ン? GSX-Rに1200? それにSSって?……濃いスズキファンなら知っているGS1200[…]
最新の投稿記事(全体)
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
全日本、そしてMotoGPライダーとの違いとは 前回は鈴鹿8耐のお話をしましたが、先日、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サンデーロードレース第1戦に顔を出してきました。このレースは、鈴鹿8耐の参戦権を懸け[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
どの製品を選択するべきかで大いに悩む 少し前に当サイトでお伝えした通り、最近の僕はツーリングで重宝する積載系アイテムとして、タナックスがMOTOFIZZブランドとして販売する、ミニフィールドシートバッ[…]
長島哲太×ダンロップ×CBR1000RR-R、2年目の戦いへ 2025年の全日本ロードレースの第1戦が4月20日にモビリティリゾートもてぎで幕を開けた。 ダンロップタイヤを3年計画でチャンピオンの座に[…]
- 1
- 2