’00年に「ニュースタイリッシュスポーツ」を開発コンセプトとして初代が登場したホンダ フォルツァは一躍人気を集め、250ccフルサイズスクーターの代名詞に。最新の5代目は’18年にリリース。’21年春にモデルチェンジを受け、エンジン/フレームが刷新された。本記事では現役女性レーサー・岡崎静夏さんの試乗インプレッションをお届けする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(高橋剛) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン
スタイリング&カラーバリエーション ライディングポジション&取り回し パワーユニット&シャーシ 主要装備 〈写真1〉 〈写真2〉 〈写真3〉 〈写真4〉 〈写真5〉 〈写真6〉 〈写真7〉 〈写真8〉[…]
快適で爽快なフォルツァが新しい楽しさを見せてくれた
わたくしごとではございますが、’20年全日本ロード最終戦で転倒し、鎖骨を骨折しておりまして…。骨折箇所はプレートで留めていたのですが、約1年が経過し、このたび晴れてプレートを除去する手術を受けました!
体からプレートがなくなるって、気持ちいいものですね(笑)。お医者さんからは「プレートが入った状態で再び同じ場所を傷めたら、骨が砕けちゃうよ。プレートの方が骨より硬いからね。くれぐれも注意してね」なんて脅されていながら、レースに出たりバイクに乗ったりしていたので、内心ヒヤヒヤだったのでした。プレートが取り除かれて、ひと安心です。
’22年は新チーム「日本郵便ホンダドリームTP」にて、全日本ロードJ‐GP3クラスでの優勝をめざし、スッキリ鎖骨で頑張ります! やっぱりレースに勝たないと、自分の言葉にも説得力がありませんしね。
…それはいいんですが、今回の試乗はプレート除去手術のすぐ後でして。「バイクによってはちょっとしんどいかもしれないな〜」と思っていましたが、これがまた、狙い澄ましたようにフォルツァだったんです。
さすがはフルサイズのスクーターですね。おかげさまで超快適! 乗り心地がとてもいいので術後の体への負担も少なく、ロケはもちろん、プライベートでのツーリングも難なくこなすことができました。
フォルツァの足まわりは、衝撃吸収性能がとても高いんです。路面の凸凹/マンホール/高速道路の路面の継ぎ目などなど、気になる段差は結構あるんですが、通過しても突き上げるような強いショックがないので、術後の鎖骨も痛みません(笑)。
でも、私がフォルツァに感動したのは、乗り心地の良さだけではないんです。正直、「フルサイズのスクーターなら乗り心地が良くて当たり前」と思うところもありまして…。かといって、乗り心地が良ければいいのかと言うと、そうでもないんですよね。
乗り心地を追求するあまり、まるで動くソファーに乗っているような、「快適だけど、そうじゃない…」という感想を持つことが多いんです。
ところがフォルツァは、乗り心地がいいうえに、スポーティーな走りのフィーリングが楽しめてしまうんです。これにはちょっとビックリ! まさかフォルツァのライディングが楽しいと感じるなんて…。鎖骨の痛みも忘れてしまうってものです。
「フォルツァは、スクーターなのに楽しく乗れる」と言ってしまうと、語弊があるでしょうか? でも、これが私の本音です。
スクーターの多くは、バイクらしい運動性能を楽しむというより、利便性や快適性を追求していますよね。もちろんフォルツァもお買い物などに便利な大型ラゲッジボックスを始めとした便利装備が盛りだくさんだし、術後の自分でも気持ちよく乗れる快適性もあります。しかも、どの要素もすごくハイレベルです。
でも、私が特に注目したのは、フォルツァの運動性能なんです。私が大好きなギヤのないスクーターなので、”スポーツ”とまで言ってしまうとちょっと無理があるかな、とは思います。でも、確実にスポーティー。普通のスクーターよりは”バイクに乗って味わえる楽しさ”があるんです。
まず、見た目やライディングポジションはゆったりと大柄なのに、走り出してみるとすごくコンパクトに感じます。走り出した瞬間に、ヒュッと車体が小さくなる感覚、分かっていただけますか?(笑)
たぶん重心位置とか重量配分がすごく考え抜かれていて、ライダーの体の近くに集中するようにできているんだと思うんです。無駄に分散した重みがないから、小さく感じる。これってスポーツバイクの作り込みですよね。
そして、思ったように加速して、思ったように旋回し、思ったように減速してくれます。ただ前に進むだけじゃなくて、意思に沿ってくれる感じは本当に心地いい。気持ちに遅れるもっさり感がなくて、すごく爽快です。
ハンドリングも軽快。多くのスクーターはアンダーステア傾向というか、カーブに対してフロントタイヤが外へ行こうとします。じゃあ、と小回りさせるためには、ハンドルを切って曲がる必要があります。
でもフォルツァは普通のバイクと同じように、車体をバンクさせて曲がることができるんです。これってすごく大きなこと。フレームの剛性やサスペンションとのマッチング/セッティングがバイク寄りなんでしょうね。たぶんやり過ぎなぐらいの開発が行われた成果だと思います。
高速道路を走ってもわだちに足元を取られるようなことがありません。よくあるスクーターだと車体全体がグニュッとする感じがするんですが、フォルツァはあくまでもしっかり。ロングツーリングも終始気分よく走りを味わうことができました。
私の鎖骨も、早くボルトの穴がふさがって、しっかりするといいな。…って、たとえがスパルタンか(笑)。
フォルツァ:SHIZUKAの評価
- スタイリング:シンプルで洗練されたスタイリッシュさがカッコいいですね。ツートーンカラーのこだわり感も気に入りました。
- スポーツ性:スポーツバイクではなく、れっきとしたスクーターですが、ただのスクーターではないスポーティさが絶妙です。
- ツーリング:振動が少なくて快適なので、何時間でも走れます。思い通りに加減速できる特性も、疲労を抑えてくれますね。
- 街乗り:堂々とした車格からは想像できないほど街乗りしやすい! 前後サスの動きが的確で、発進停止も苦になりません。
- コストパフォーマンス:チョイ乗りからロングツーリングまで、街乗りからスポーティな走りまでこなせるから、決して高くは感じません。
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フォルツァ 概要 '18フルモデルチェンジでスポーツ路線にコンセプトを変更したフォルツァが、'21はフリクション低減や吸排気系を刷新した新設計エンジンeSP+を搭載。ラジエターの位置変更でフロント分担[…]
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