岡崎静夏のホンダCBR1000RR-R SP試乗インプレ【高性能をモノにする挑戦は宇宙空間への冒険のよう】

ホンダ CBR1000RR-RファイアーブレードSP|岡崎静夏

本気でレースに勝つことを目的としたホンダCBR1000RR-R。サーキットで臆することなく颯爽とRR-R SPを操る姿は、さすがリアルレーシング女子! 岡崎静夏さんが現役全日本ライダーだということをあらためて認識させられた。


●まとめ:ヤングマシン編集部(高橋剛) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン

【テスター:岡崎静夏】チャーミングな笑顔でも、中身はスパルタンな”バイクフリーク”。’09~’10年のMFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。TwitterFacebookInstagramYouTube

【HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE SP】■全長2100 全幅745 全高1140 軸距1455 シート高830(各mm) 車重201kg ■水冷4スト直列4気筒DOHC4バルブ999cc 最高出力218ps/14500rpm 最大トルク11.5kg-m/12500rpm 6段リターン 燃料タンク容量16L ■タイヤサイズF=120/70ZR17M/C R=200/55ZR17M/C ●色:グランプリレッド ●価格:278万3000円

メインステージはサーキット。でも意外と乗りやすい街乗り

CBR1000RR-R SPをお借りした初日。街乗りからスタートして、正直「無理!」と思いました。「通勤にRR-R SPを使うって、どうなんだろう?」と、若干疑問を感じながら(笑)。

ちなみに、「無理」と言いつつも乗りにくかったわけでは決してありません。足着きは片足つま先立ちで、重量もありますが、実はそういったことはあまり気になりませんでした。

それより気になったのは、270万円を超える高級車だということ(笑)。クルマで言えば、スーパーカーで通勤するようなものですよね。それを当たり前と思える経済レベルに達していないので、気圧されていたんです。

性能に圧倒されていた面もあります。「自分が街乗りしているだけでは全然届かない遠くの方に、このバイクのおいしいところがある…」 そう思った時に、申し訳なさとともに「無理」と感じたわけです。

2日目。また通勤に使いましたが、「あれ…? このバイク、ツーリングしてもいいかも」と思い始めてました(笑)。これはSPならではの電子制御サスペンションの恩恵だと思いますが、乗り心地がすごくいいんです。

ただ、やっぱり信号待ちが連続するストップ&ゴーばかりではもったいないな、という思いもありました。

「実際ツーリングに出かけてみましたが、公道の速度域では揺るぎない安心感! 結構オススメ」(岡崎さん)

3日目。「足になるぞ!」と、急速に思えました(笑)。高級車に乗っている、というプレッシャーは変わりません。でも、街乗りの速度域の中でもそれなりにスロットルを開け、しっかりとブレーキをかけるというメリハリある走りをすれば、グッと自分に近付いてくれることが分かったんです。

こうなればこっちのもの。はるか遠くだったこのバイクの本質がちょっとだけ見えてきて、「通勤の足」と呼ぶのも大げさではないぐらい、落ち着いて乗りこなせるようになりました。

たぶん街乗りでのクセがつかめたのだと思いますが、バイクの性能が高すぎて理解に時間がかかったのは確か。ディーラーさんでの試乗やホンダゴーバイクレンタルなどを利用しても、短時間街乗りしただけでは「どう乗ったらいいか分からない…」と感じてしまうかもしれません。

そこがもったいない! 自分は街乗りでしっくり来るまでに3日かかりましたが、自分より背が高くて高級車慣れしている人(?)なら、もう少し早く馴染むと思います。ひと踏ん張りしてみてほしいところです。

さて、「街乗り結構イケる!」と分かったところで、いよいよCBR1000RR-R SPが本領を発揮してくれる…であろう、サーキットに行ってみましょうか!

【3日で慣れてどんどん楽しくなる街乗り】「なんと“足にも使える!”とまで思わせてくれた懐深いCBR1000RR-R SP。オーリンズ製電子制御サスペンションの恩恵もあり、サーキットから街乗りまで幅広く対応できるんです」(岡崎さん)

今回お邪魔したのは、千葉県の茂原ツインサーキットです。全長1170mの東コースを走りました。

た、楽しい…!

軽やかに曲がってくれるのに接地感は豊かなので、すごく安心してコーナリングできます。スロットルを開けた時の加速フィールも最高! アクラポヴィッチ製マフラーの迫力あるエキゾーストノートも気持ちいい!

街乗りではガマンしていたんでしょうね。解き放たれたように、嬉々として走ってくれます。やっぱりこのバイク、サーキットがメインステージであることは間違いありません。

その一方で、すごく印象的だったのは、フロントが高く感じたことです。街乗りしている時は「さすがに前傾がキツイよな~」と思っていたのに、サーキットでは高く感じたのは、自分としてもちょっと意外でした。サーキットに特化したバイクは、ほとんどの場合フロントが低く設定されているものだからです。

理由はすぐに分かりました。ひとつは、コースが短かったこと。CBR1000RR-R SPで茂原ツインサーキット東コースを走ると、ほとんど1速、入って2速で済んでしまいます。それほどハードブレーキングをする機会もないので、加減速によるピッチング(車体前後方向の動き)があまり起きないんです。

でも実はこれ、言い訳なんですよね。正確に言えば「自分にはRR-R SPにしっかりピッチングを起こさせるような走りができなかった」ということなんです。

ツインリンクもてぎや鈴鹿サーキットのような長い国際サーキットに持ち込めばちゃんとピッチングを起こせるかといえば、自信はありません。自分のパフォーマンスが、CBR1000RR-R SPのパフォーマンスにまったく届いていないんです。

CBRで全日本JSB1000を戦っている清成龍一さんや渡辺一馬くんは、このマシンよりさらに上を行く走りで、もっと速く仕上げようとしている。本当に恐れ入ります…。

でも、面白くないかといえば、話は別。宇宙の彼方を覗き込んでいるような楽しさがあるんです(笑)。途方もない高性能の先にどんな世界が待っているのか、自分も見てみたい。自分の限界をもっと引き上げたいんです。

レース活動も同じです。今シーズン、思うような成績が残せなかったのは、自分にはまだまだ足りないところがあるから。来季に向けては未定ですが、走りの技術もマシンセットアップ能力も今以上に引き上げて、その先の世界を見たいと心から思っています。

ライディングポジション&取り回し

【ライディングポジション】スーパースポーツとしてはコンパクトだが、158cmの自分にはやや大柄。しかし、走れば大きさが気にならない絶妙なポジションだ。足着きは片足のつま先立ちだが、車体が軽いのであまり不安はない。[モデル身長158cm]

【取り回し】動き出せば軽く転がってくれる。サーキットユース主体なのでハンドルの切れ角は小さい。

CBR1000RR-RファイアーブレードSP:SHIZUKAの評価

  1. スタイリング:保安部品は最小限、まんまレース仕様という感じのキッパリとした割り切りの姿勢、自分はカッコいいと思います。
  2. スポーツ性:スポーツするためだけに生まれてきたバイク…と言いたいところですが、意外やスポーツしなくても楽しめます。
  3. ツーリング:高速道路での風当たりは少なく、安定性も高く、乗り心地も良好。自分的にはロングツーリングもかなりアリです。
  4. 街乗り:想像以上に足としても使えます。こういう高性能な尖ったバイクを街で颯爽と乗りこなせたらカッコいいですよね。
  5. コストパフォーマンス:全日本ロードのトップマシンに近い性能で、なおかつ街乗りもできるなら、278万円は安い!(…と言ってみたい)

【SHIZU’sお気に入りポイント】排気バルブが開く5000rpmあたりから迫力のある排気音になるアクラポヴィッチ! 共同開発の証、ホンダのロゴマークも光ります。幅広い走りに応える電子制御サスペンションの有効性も実感できました。


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