
ホンダCRF250Lは世界各国に展開するグローバルモデルで、累計販売台数は約13万台。デザイン性/利便性/パフォーマンス/そしてリーズナブルさで人気で、その最新モデルは”誰もが何にでも使える特性”をオン/オフの両面から高めている。本記事では現役女性レーサーの岡崎静夏さんがオンロード/オフロード試乗したインプレッションをお届けする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(高橋剛) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン

【’21 HONDA CRF250L】■全長2210 全幅820 全高1160 軸距1440 シート高830(各mm) 車重140kg ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ249cc 最高出力24ps/9000rpm 最大トルク2.3kg-m/6500rpm 6段リターン 燃料タンク容量7.8L ■タイヤサイズF=80/100-21M/C R=120/80-18M/C ●色:エクストリームレッド ●価格:59万9500円 [写真タップで拡大]
ちょっと自信を持って山道に入っていけそう
CRF250Lは、「オンロードからオフロードまでさまざまな用途に対応するフルサイズトレール」として’12年に登場。世界各国に展開するグローバルモデルで、累計販売台数は約13万台。デザイン性[…]
正直に告白します。自分、今までオンロードとオフロードは完全に断絶した別世界だと思い込んでました。
そりゃあ、自分だってオンロードに役立つトレーニングの一環としてオフロードを走ることはあります。でもそれは専用マシンをトランポに載せて、専用コースを走るもの、なんです。
つまり自分の中で、オンロードとオフロードはまったく別のカテゴリーという位置づけでした。オンを走るバイクはオンを走る。オフを走るバイクはオフを走る。そうやってクッキリとジャンルが分かれているものなんだ、と信じ込んでいたんです。
ガチのオフロードモデルでオンロードを走って、心の底から楽しめた記憶があまりないからなのかもしれません。
まず、ブレーキが利かない。オフロードでは、カツンとブレーキが利いてしまってはすぐに滑って転んでしまいやすいので、あえて利き過ぎないようにしているのでしょう。さらにサスペンションのストローク量が多いからブレーキングで大きく沈み込み、制動しているという実感が乏しいんです。これが結構怖いんですよね。
そして高速道路では法定速度程度でも振られてしまい、これも怖い。ブロックタイヤもどこまで信用していいのか分からず、怖い…。怖いづくしで、ちょっと苦手意識を持ってました。オフロード走行に特化しているから、仕方ないんですけどね…。
ところが! 今回CRF250Lに乗って驚きました。オンロードを走ることがまったく苦にならない…どころか、楽しくて仕方ないんです!
ルックスは、どこからどう見ても完全にオフロードモデル(笑)。まるでモトクロッサーみたいなアグレッシブさを感じます。それなのに、オンロードを走ってもブレーキはしっかり利くし、サスペンションもほどよく踏ん張って制動の実感もある。
そして、いかにもゴツゴツしたブロックタイヤなのにグリップ感があって、コーナーをヒラヒラと軽快に走れてしまうんです。これにはビックリしてしまいました。自分はレースをしているぐらいなのでオンロードではそれなりに走れる方だと思うのですが、CRF250Lは自分の要求にちゃんと応えてくれるんです。
恐る恐る高速道路に乗っても、法定速度の範囲内で走っている分にはまったく問題が起きません。ハンドルが振られるようなことはなかったし、わだちに足元をすくわれるような感じもありませんでした。
インターを下りて交通量の少ない郊外の道を走ると、これがまた気持ちいいのなんの!(笑) ブレーキング、倒し込み、そして立ち上がり加速という一連の動作に、気になるところ、イヤなところがまったくないんです。
ワインディングロードでのサスペンションの動きは、しっとりと上質。オフロードモデルにありがちなパシャンと入ってしまうような感覚がなく、オンロードモデルとしてもレベルが高いと思わされました。フレーム剛性とのバランスもしっかりと取られているから、積極的なライディングをしたくなります。これはかなりのオンロードモデルだ…(笑)。
ホンダの資料には、開発目標として「オンロードとオフロードの両性能を高次元でバランスさせる」と書かれていましたが、決して誇大表現ではありませんね…。その言葉が見事に形になってると思わされてしまいました。

「ワインディングロードを爽快に走れるし、オフロードもOK。そして街乗りも高速道路もストレスフリー…。あらゆるシチュエーションを楽しむ贅沢ツーリングをしたくなりますね!」(岡崎さん) [写真タップで拡大]
せっかくなのでオフロードにも入ってみました。本格的林道派の皆さんからすればただの砂利道かもしれませんが、自分にとってなかなかのチャレンジです。でも、不安ナシ。なぜって、足着き性がいいから(笑)。
いざという時にすぐ足が着けるというのは、小柄な女子の自分にとってはとてもうれしい”性能”のひとつです。運動性能を求めるガチ勢の方には、シート高が5cm高い〈s〉もラインナップされているので、そちらを選ぶことができます。
石ころに乗ったり、ギャップがあったりしても、ちっとも不安じゃないのはさすがですね。モトクロッサーフォルムはダテではありませんでした。
自分はこれまで林道ツーリングをしたことがなくて。最初に書いたみたいにオンとオフは別々に切り離されたものだと思っていたので、”ツーリング先で林道に入る”という感じが分かっていなかったんです。
でも今回、CRF250Lで砂利道を走ってみて、「そっか、林道ツーリングってこういうことか!」と、少しだけ分かりました。オンロードを快適に走れて、なおかつちょっとした林道ぐらいはものともしない悪路走破性があれば、そりゃあ確かに山に入りたくなりますよね。
どちらかと言うと海派の自分でしたが、林道を走って眺めのいい所でCRF250Lのエンジンを止めて、コーヒーを淹れるなんていう楽しみ方も、いいかもしれないな〜。
CRF250L:SHIZUKAの評価
- スタイリング:モトクロッサーっぽい尖ったスタイリング、自分は好きです。その割に扱いやすくて優しい所もいいですね!
- スポーツ性:めっちゃスポーツ!(笑) スーパースポーツよりサスペンションがよく動くから、自分で操ってるという実感が持てるんです。
- ツーリング:おしりも痛くならないし、オンもオフも楽しく走れるから、長距離を走って今まで入れなかった所へとプチ冒険!
- 街乗り:足着き性がまずまずで車重も軽いので、ストップ&ゴーが苦になりません。街乗りではスリムさも有利に働きますね。
- コストパフォーマンス:オン用に1台、オフ用に1台と2台買うことを考えれば、両方を高い次元で楽しめて60万円を切るのは相当オトク!
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- [連載] 岡崎静夏がじっくり乗ってみました, 試乗インプレッション/テスト, アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード, 126〜250cc[軽二輪], CRF250L/ラリー, 岡崎静夏[ヤングマシン], ホンダ