
MVアグスタジャパンは、ミドルクラスのスポーツツアラー『ツーリズモベローチェ800』をアップデートして7月下旬から9月上旬にかけて3グレードを発売する。ユーロ5に対応したエンジン、強化されたフレーム、最適化された電子制御システムを備え、イタリアンスポーツの血統を受け継ぐツーリングマシンの本領を進化させている。
●文:山下剛
ツーリングをより快適に楽しめるよう進化した、ユーロ5世代のツーリングスポーツ
ツーリズモヴェローチェは、MVアグスタの中核的エンジンである798cc水冷並列3気筒エンジンを搭載するツーリングスポーツで、アップライトな乗車姿勢で長距離ツーリングを快適に楽しめるモデルだ。
まずエンジンは、同系エンジンとは異なる専用設定が施され、新設計のインテークファンネルによって3000~6000rpmの低中回転域のトルクを増強。さらにギア比を見直したトランスミッションによって、低回転域の扱いやすさと燃費向上、動作温度の低下を実現した。
同系エンジン同様に、新素材のバルブガイド、DLCコーティングタペット、吸排気システムの刷新によって、スロットルレスポンスの最適化が図られている。また、クイックシフターも第3世代となり、さらに快適で確実なシフトチェンジを可能としている。
電子制御システムは、e-Novia社のIMUを採用することで、センシング能力を進化。コーナリングABSとトラクションコントロールの精度が高まった。メーターは5.5インチフルカラー液晶となり、速度や回転、水温、燃費などの情報を正確にすばやく読み取れる。また、ハンドル左側に設けられたジョイスティックを操作しての各電子制御の設定も、大型液晶画面に表示され、優れた利便性を確保した。メーターはスマートフォンと連携することも可能で、各種情報をすばやく確認できる。
ヘッドライトはフルLEDで、夜間走行における視認性を向上。高さ調節可能なウインドスクリーンは、より大きなサイズとして走行風による疲労を軽減し、プレキシグラスを採用したことで透明性を高め、さらにキズつきを抑制する。
再設計されたシートは、新素材のスポンジ採用と形状変更によりシート高を20mm下げ、足つきを向上させるとともに、長時間走行における快適性も高めている。
『RC SCS』と『ルッソSCS』には、ザックス製セミアクティブ式電子制御サスペンションが装着され、2021年モデルではセッティングを最適化することで快適性をアップ。さらに発進/停車時のクラッチ操作を不要とする、リクルス社製『スマートクラッチシステム』を搭載。ストップ&ゴーのわずらわしさを解消し、市街地走行から長距離ツーリングまで気楽に楽しめる。このシステムは従来どおり半クラッチを使った発進も可能だ。また、盗難防止機能も装備する。
スタンダードグレードとなる『ロッソ』は、前後ともにサスペンションは機械式で、フロントはマルゾッキ製43mm倒立フォーク、リヤにはザックス製モノショックを備える。エンジンの仕様は他グレードと同一だ。そのためロッソは乾燥重量191kgと最軽量に仕上がっている。
MV AGUSTA TURISMO VELOCE RC SCS / LUSSO SCS / ROSSO[2021 model]
【MV AGUSTA TURISMO VELOCE RC SCS / LUSSO SCS / ROSSO[2021 model]】主要諸元■全長21215 全幅910 全高― 軸距1445 シート高830(各mm) 車重199kg〈191kg〉(乾燥)■水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ 798cc 110ps/10150rpm 8.16kg-m/7100rpm 変速機6段 燃料タンク容量21.5L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:319万円【299万7500円】〈223万3000円〉 ●色:銀×赤【赤×黒、銀×黒】〈赤〉 ●発売日:2021年7月下旬~9月上旬 ※【 】内はLUSSO SCS、〈 〉内はROSSO
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