MVアグスタの主力ユニットに成長したエンジンが逆回転クランクシャフトの3気筒だ。その妙味を最も手軽に堪能できるスポーツネイキッド「ブルターレ800ロッソ」のフィーリングをお届けしよう。
●文:ライドハイ(伊丹孝裕) ●写真:長谷川徹
開けたくなる正確は、つくづくイタリアン
ブルターレ800ロッソ(以下、ロッソ)のリヤ周りはあまりにシンプルだ。車体の左後方から近づいた時は3本出しマフラーも視界に入らないため、造形はシンプルそのもの。250ccクラスのバイクにまたがるような気持ちでシートに腰を下ろすことができる。
ただし、ライディングポジションは思いのほか好戦的だ。アップハンドルにもかかわらず、上体は起こすよりも、やや前のめりな姿勢を取った方がしっくりとくる。印象としてはストリートファイターのそれに近く、ペースを上げれば上げるほど、メーターディスプレイとヘルメットの距離が接近。荷重を逃がさないよう、無意識のうちにフロントタイヤを押さえつけようとしている自分に気づく。
つくづくイタリアンバイクであり、MVアグスタだな、と思う。同ブランドのヒエラルキーの中ではエントリーモデルの位置にあるが、だからと言ってパーシャルスロットルでゆるゆると流すような走りをよしとしない。サウンドもレスポンスも刺激に満ちたもので、つい右手を解放。開けられるところは全部開けていきたくなる。
そうしたくなる、あるいはできてしまうのは、ロッソに与えられた110hpの最高出力に因るところが大きい。ブルターレ800RRの140hpならためらわれる場面でも、ロッソのそれならギリギリ、自身のスキルで引き出せるからだ。
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