●取材協力:マイパフォーマンス
普段の相棒としてどこにでも行けることが重要
Uさんの愛車・スポーツスターは、’50年代初期のKフレームから進化した第2世代のモデルだ。元々レーシングマシンだった4カムエンジンも、この頃には乗りやすさを追求するようになったものの、始動はキックオンリーだしチェンジペダルは右足操作と、現代車から見れば戸惑う部分は少しある。
「意外と操作にはすぐ慣れましたね。それに、ベーシックなバイクらしさに溢れているから大好きですよ」
Uさんにとってのハーレー初体験は10歳の時のタンデムラン。父親が乗っていた初期型ローライダーの印象が強烈だったそうである。ご自身でのバイク歴は、モンキーに始まり、ヤマハのSR400そして、エボリューションのスポーツスターへと続く。
「一人とか、気の合う仲間と数人くらいで走るのが好きですね。エボスポーツは、スプリンガーフォークにして旧車テイストにカスタムしていましたが、やっぱり本物が欲しくなりました」
そして選んだのがこのショベルスポーツというわけである。シルエットはほとんど当時のノーマル。希少な存在だ。エンジンのパワーは強力なものではないが、そのソリッドな乗り味は、求めていたフィーリングにぴったりだという。
「手を加えたのは、あまりにポジションが高すぎるシートのアンコ抜きと、キャブレターを当時純正のリンカートから、程度の良いベンリックスに換えたくらいかな。マフラーは微妙に年式違いがあるものの、当時の純正です。シルエットは最高にかっこいいですよ」
納車は’19年の7月。旧車のコレクターではないから、とにかく乗りやすさと、乗り味にこだわった。普段の相棒としてどこにでも行けることが重要なのだ。
同い年でハーレーの旧車好きばかりが集まる仲間とも出会い、Uさんのハーレーライフは、さらに充実していく。最近はキャンプツーリングも楽しんでいるようである。
「行きたいお店があるんですけど、一緒に行きませんか?」
誘われるままに付いていくと、甲府から南アルプスを左に眺めながら北上して、北杜市にあるピザショップに到着した。そのルートは青空の下でとても気持ち良く、前を行くUさんの笑顔が目に浮かぶようだった。思わず「うわー、気持ちいい! と叫びたくなるほどである。
100年以上続くハーレーの歴史。自分の愛車を選ぶのは、年式や形式に制限されることはない。自分にとってどんなハーレーがマッチするのか年代の枠を超えて見極めることが肝心だ。それがUさんにとっては’70年のスポーツスターということなのである。バイクの魅力は、それを駆る本人がすべてを理解すれば良い。それこそが素晴らしいハーレーライフと言えるのだから。
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