超弩級カスタム試乗[ウィズハーレー]

“究極”のハーレーカスタム・サンダンス スーパーXR-TCシルバーファントム試乗インプレッション

SUNDANCE SUPER XR-TC SILVER PHANTOM

●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:磯部孝夫 ●取材協力:サンダンス

エンジニアの魂がしっかりと宿った、圧倒的存在感

ファクトリーの中で、幻でも見たかのようにハッとした。この世には実在しないものを見てしまったかのような気持ちで、おそるおそる近づき存在を確かめる。スリムなフューエルタンクには「SUNDANCE(サンダンス)」そして「SILVER PHANTOM」と彫り込まれていた。言葉が出ない…。息を呑むとはこういうことを言うのだろう。カメラマンの磯部氏と、ただただ顔を見合わせた。

サンダンス スーパーXR-TCシルバーファントム [写真タップで拡大]

サンダンスが’95年に発売し、その官能的なフィーリングと圧倒的なパフォーマンスで、国内外から多くの称賛の声と信頼を得てきた「スーパーXR」。これまで『ウィズハーレー』誌でも試乗する機会を得てレポートを続けてきたが、今回はXLスポーツスター系ではなく、排気量2000ccのビッグツインエンジンを積む「スーパーXR-TC」。Vol.3で紹介したトランザムに続くツインカム仕様だ。

シャーシは’17年式までのソフテイルフレームをベースに改良が加えられ、独自開発したハイテンションスティール製スイングアーム、そしてリヤサスペンションにツインショックが組み込まれている。

実車を目の当たりにしてまず感じるのは「自分には分不相応だ」という直感。低く長いフォルムに、見るからに上質なシルバーのエクステリアが鈍く光り、ただ者ではないオーラが放たれている。それはサンダンス・ZAK柴崎氏による渾身の1台であることを意味し、エンジニアの魂がそこにしっかりと宿っている。

どんなバイクもオーナーにとっては唯一無二の愛車であり、かけがえのないものだが、こうしてビルダーが膨大な時間と手間をかけてつくり上げたオンリーワンのカスタムは、メーカーの工場から出荷される市販車とは少し意味が違う。もちろんメーカーの製品も威信をかけて丹念な作業によって作り出されるが、オーダーメイドのカスタムには同じものがなく、代わりはない。

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指一本触れるにも緊張が伴う。跨ると、むき出しのエアクリーナーエレメントが右足に当たる。これはきちんと乗車姿勢をとれば気にならなくなるよう設計されていて、意識が傾くのは停車中のみ。XR750に由来する2連装のキャブには、ときめいて仕方がない。

エンジンを始動させると、FCRキャブレターがカチカチと忙しく音を立てる。45度の挟角でV字型になって前後に並ぶ2つのシリンダー。ノーマルではその間にキャブレターやフューエルインジェクションユニットを1つだけ置き燃料を分け合うが、スーパーXRではシリンダーの後方にそれぞれ1つずつキャブをセットし、より多くの混合気を燃焼室に送り込む。2つの排気管を前方から取り回すのも、放熱性を考えれば理想的だ。

オリジナルのキャスティングで製作したシリンダーヘッドに、高強度のハイシリコン系アルミ材で削り出したピストンを組み込み、ロッカーアーム比やバルブ挟み角もすべて独自のもの。ツインキャブ&ストレートポートのスーパーXRヘッドは熟成と進化を繰り返し、スポーツスターだけでなくツインカムやエボリューション、ショベルヘッドなどビッグツインに用いることも実現しているのだ。

ギヤはスコッと抵抗なく入り、クラッチを繋げばもう図太いトルクが感じられ、マッスルカーのように豪快で余裕ある加速が味わえる。その一方で、意外なほど軽快で扱いやすい。

高速道路に上がると、凄まじいほどのダッシュ力が味わえた。スロットル操作に鋭く反応し、どのギヤでも回転数に関係なくグイグイ速度を上げていく。慣らし中のため高回転まで引っ張り上げることはないものの、パワーが湧き上がり、しかも回転フィールが滑らかでシルキーだから脱帽してしまう。

スーパーXR-TCの場合、上は5500rpmほどでリミッターを効かせているが、シルバーファントムは6000rpmまで回っていく。シリンダーやコンロッドをワンオフし、トランザムエンジンより若干ショートストローク化しているのだ。

ゆったりと流すのも得意で、2000rpmで80km/h、2500rpm=100km/h、もちろんトップ6速に入れたままアクセルワークだけで思いのままに加速してくれる。カウンターバランサーは取り外され、身体に染み込みような心地良い鼓動をはっきりと感じるが、不快な微振動はまったくない。

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車体はリジッドマウントフレームならではのシャキッとした剛性感があり、ハイスピードでもヨレるなんてことがない。サスペンションはしなやかにストロークするものの、柔ではなくコシがしっかりとあって乗り心地がいいのも伝えておこう。ブレーキのタッチも秀逸で、操作系に一切のストレスを感じないのだ。

キビキビと走るスポーツバイクのような俊敏性と軽快感を持ちながら、リムジンのようなコンフォート性、ジェントルなキャラクターも持ち合わせていて、どちらも高い次元にある。

試乗を終え、車両をもう一度くまなく見ると、アルミ板金の手の込んだタンクや削り出しのフェンダーストラットなど、ため息が出る精巧さ。もちろんライドフィールを含め、これを知ってしまったらもう「究極」という言葉はたやすく使えなくなってしまうだろう。

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シルバーファントムが纏う”究極”

ステップやレバー、トリプルツリーはもちろん、ヘッドライトボディやフェンダーストラットなど細部も至るところがアルミ削り出し。ハンドル、メーター周りの配線処理も考慮し、今回はよりシンプルなキャブレター仕様(BigBoy FCR)がチョイスされている。パワーだけでなく、曲がる・停まるも重要視するサンダンスでは足まわりの強化は欠かせない。高張力鋼板スイングアームと組み合わすツインショックはトラックテックで、フロントブレーキには6POTラジアルマウントキャリパーが備わった。また、アルミ板金のタンクにはオーナーの要望により、フューエルゲージも組み込んだ。ZAK柴崎氏は言う。「オーナーが満足すること。それが100点満点である」

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※この記事はハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』に掲載したものを加筆修正したものです。最新の雑誌は書店もしくは下記サイトにてお買い求めください。

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