骨格の完成度は時代を超越

スズキ「シン・ハヤブサ」車体シャーシ完全解説【名作フレーム継承|足回りを新調し軽量化も達成】


●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●情報提供:スズキ

骨格の完成度は時代を超越。必要な箇所はキッチリ改良

ハヤブサの車体におけるテーマは、”安定感アップ”と”俊敏なハンドリング”、そして”ブレーキ性能&効率の向上”だ。

メインフレームとスイングアームは先代から継続採用する。これまでブラケット類やシートレールの変更で対応してきたが、大パワーを受け止める剛性と快適な乗り心地は初代から折り紙付き。3代目の開発にあたり、車体に関しても様々な仕様をテストしたが、先代の走りを超えられなかった。結果、13年ぶりのフルチェンジとしては異例の”変更なし”となったのだ。

【基本は22年間継承】鋳造材と押し出し材を組み合わせたアルミツインスパーフレームは、’99初代から同様。アルミスイングアームは2代目で10%のねじれ剛性をアップした。この構成を3代目も引き継ぐ。キャスター&トレールなどのディメンジョンも不変だ。

’21新型ハヤブサ

’08旧型ハヤブサ [写真タップで拡大]

一方で、シートレールは直線的な構造の新作で700gの軽量化を達成し、マスの集中化を促進。さらに足まわりを強化した。KYB製の前後サスペンションは、低速域でオーバーステア気味になる先代の特性を排除。加えて、最新タイヤのブリヂストン製S22と新作ホイールを履き、すべての速度域でニュートラルなハンドリングと高速域の安定性を狙った。

キャリパーはブレンボのハイエンド向け「スティルマ」に変更し、10mm大径化したφ320mmディスクを組み合わせる。大胆な決断を下しつつ、必要な箇所にはしっかり手を入れた。

シートレールはより直線的&シンプルなパイプセクションを持つ新作。700gの軽量化を達成し、車体全体で2kg削減に成功した。

軽量化したシートレールとマフラーにより、前方にマスを移動させ、50:50の前後重量配分を実現。フロントフォークはKYB製で、DLCコーティングされたφ43mmフルアジャスタブル倒立。これらの仕様は先代と同様だが、内部構造を改善し、スムーズな衝撃吸収性と安定したグリップを発揮する。

【華ブレンボ+大径ディスクでストッピングパワー底上げ】ラジアルマウントのフロントキャリパーは、モノブロックのブレンボ製「スティルマ」に換装した。上級スーパースポーツ御用達のアイテムで、高剛性かつ軽量&コンパクト。冷却性能も高い。さらにディスクはφ310→φ320mmに大径化し、冷却効率を高める穴パターンも採用した。

【リヤショックも内部構造を変更し、スムーズな特性に】KYB製リヤサスもフロントと同様に内部を見直し、安定した乗り味を発揮。こちらもフル調整式だ。キャリパーはトキコ製→ニッシン製1ポットに変更された。リヤディスク径は不明だが、おそらく先代と同じφ260mmで、穴加工パターンも同一だ。

【ハンドル位置は12mm手前に】セパレート式のバーハンドルは、位置を12mm手前に変更。ハンドリングの自由度が増す上に、フロントの分担荷重が増え、旋回性と直安性の向上に寄与する。

【快適&スポーティー。新型は前傾が緩和へ】車体はやや大柄ながら、ライディングポジションはコンパクト。スクリーンと頭部の間隔が狭く、風を巻き込みにくい。上体が前傾するため、高速道路では抑えが効き、峠などのスポーツランでも違和感なし。長時間の街乗りは少々ツラいが、新型ではハンドルが手前になり、ラクになるハズだ。足着きはカカトが上がるが、しっかり両足が接地して良好。[身長167cm/体重63kg]

新旧ハヤブサ主要諸元比較


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