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’80s国産名車・ホンダCB-F完調メンテ#3【識者インタビュー:CB-F好きの夢を具現化したい】

’80s国産名車・ホンダCB-F完調メンテ#3【識者インタビュー:CB-F好きの夢を具現化したい】

●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 YM ARCHIVES ●取材協力:ジェイズ

今も絶大な人気を誇る‘80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末永く楽しんでいくには何に注意し、どんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家より奥義を授かる本連載、今回はホンダ第2世代の並列4気筒モデルとして大ヒットした「CB-F」シリーズについて、専門家であるジェイズ・宮繁順一氏のインタビューをお届けする。

国産名車メンテナンス|ホンダCB-Fシリーズ|ジェイズ宮繁順一氏インタビュー
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【ジェイズ・宮繁順一氏】中学生の頃にショー会場でFBを見て以来、CB-Fシリーズのトリコになった宮繁氏は、’66年生まれの54歳。2輪業界のさまざまな仕事を経験した後に、自身のショップを立ち上げたのは’07年だが、CB-Fに特化した活動を開始したのは’12年から。

中古車価格の上昇に伴い、環境が徐々に好転?

’80年代以前に生まれた旧車を取り巻く事情は、年を経るごとに厳しくなっている。ただし宮繁氏によると、CB-Fシリーズに関しては、近年になって環境が徐々に好転しているようだ。

「ひと昔前のCB-Fオーナーにとっては、補修パーツのストックが重要なテーマだったんですが、最近はホンダが純正部品の再生産を開始してくれたし、ウチを含めていろいろなショップやパーツメーカーがリプロ品を販売していますからね。それに加えてCB-Fの場合は、十数年前までは750が30万円前後で入手できて、そのくらいの価格で購入した人は、動かなくなるまで乗りっぱなしというケースが多かったですね。最近は中古車価格が上がったせいか、長く乗ることを前提にして本格的な整備を希望するお客さんが増えてきました。いずれにしても、パーツの心配が少なくなって、大切にしてくれるオーナーが増えたことは、私にとっては嬉しい状況です」(宮繁氏・以下同)

もっとも、近年のCB-Fシリーズの中古車の程度が良好になったのかと言うと、まったくそんなことはなく、むしろ全体的に悪くなっていると言う。

「だから中古車の購入時には、これまでにどんな整備を行ったかを把握する必要があるのですが…。それをきっちり説明してくれるショップや前所有者は、なかなかいないと思います。逆に言うならCB-Fの購入時には、ある程度の整備が必要と認識して、その費用を準備しておくべきでしょう」

中古車価格が上がったと言っても、同時代のライバルだったカワサキZやスズキ・カタナなどと比較すれば、CB-Fは安い方である。その理由を、宮繁氏はどう考えているのだろう。

「’90年代に広まった『トラブルが多い』という都市伝説が、いまだに残っているからじゃないでしょうか(笑) でも現役時代にそんな噂はなかったし、きちんとした整備さえ行なっていればトラブルはほとんど起こりません。ただしその都市伝説のおかげか、CB-Fの価格はライバルほど高騰していないので、これから購入しようという人にとっては悪くない状況だと思います」

取材当日のジェイズに入庫していたCB-Fは、何らかのカスタムが施された車両がほとんどだった。同店では、ノーマル好きは少数派なのだろうか。

「いえ、そんなことはないですよ。確かに数年前までは、カスタム派が主力でしたが、最近はノーマル指向のライダーが増えてきたし、私自身も新規のお客さんには『まずは完調のノーマルを味わってください』と言っています。実際に各部を整備するとなれば、要所にはウチが開発した対策品を使うことが多いですが、やっぱりノーマルはよく出来ていますからね」

CB-Fでカスタムを行う際は、どこから始めるのが定番なのだろう?

「ウチのお客さんの場合は、マフラーやリヤショック、フロントブレーキから着手するのが一般的で、その次はステム/スイングアーム/キャブレター/ホイールなどです。一方でライディングポジション関連パーツ/エンジン/フレームは、ノーマルというケースが多いですね。もちろん、エンジンはフルOH、フレームは曲がり修正/再塗装が定番ですが、ストリートで楽しむなら極端なチューニングや補強は不要でしょう。まぁでも、どんな仕様で乗りたいかは乗り手によりけりで、私としては1人でも多くのCB-F好きの夢を具現化するお手伝いをしたいと思っています」

国産名車メンテナンス|ホンダCB-Fシリーズ|ジェイズ

【足まわりを中心とした刷新で運動性能が格段に向上】ジェイズが手がけたCB1100Fカスタム。ステムとスイングアームは同店のオリジナルで、前後18インチのホイールはPMCソード、ブレーキディスクはサンスターを選択する。エンジンとキャブレターはフルオーバーホールを施したSTDで、マフラーはUSヨシムラ。ハンドルはVF750F、リヤキャリパーはCB‐SFからの流用だ。 [写真タップで拡大]

おすすめモデル:パワーを求めるなら900か1100を選ぶべき

さて、これから選ぶおすすめモデルとして、維持の容易さという点では750に軍配が上がるものの、宮繁氏は900と1100に悪い印象を持っているわけではないそうだ。

「やっぱり排気量が大きいだけあって、900と1100はパワーがありますからね。だからどの排気量を選ぶかは、お客さんの好みと使い方によりけり、でいいと思いますよ」

ちなみに年式に関しては、宮繁氏は’81年型FBをオススメすることが多いと言う。

「足まわりをカスタムする場合は、どの年式を選んでもいいですが、ノーマルスタイルにこだわるなら、FZとFAの正常進化型として、フロント19インチの完成形になったFBが一番でしょう。逆にFCとFDは、前輪の18インチ化と後輪のワイド化で、本来のバランスを少し崩している感があると思います」

国産名車メンテナンス|ホンダCB-Fシリーズ|ジェイズ CB900F

【CB900F(’79-)】欧米でCB-Fの主力となった900は、64.5×69mmのロングストロークエンジンを搭載。初代の最高出力は、750 のフルパワー仕様+23psとなる95ps。写真は北米仕様のFB。 [写真タップで拡大]

国産名車メンテナンス|ホンダCB-Fシリーズ|ジェイズ CB1100F

【CB1100F(’83-)】CB1100Rの技術を転用したCB-Fシリーズの最高峰。ボア×ストロークは70×69mmで、最高出力は110ps。欧州仕様がFCと同様の構成だったのに対して、北米仕様はビキニカウルやキャストホイールを採用。 [写真タップで拡大]

メンテナンスコスト

(1) エンジンフルオーバーホール:55万円~
(2) キャブレターオーバーホール:約8万円
(3) 車体全ベアリング 点検整備:約10万円
※価格は税抜き

近年は腰上だけで快調を取り戻せる個体がほぼ皆無になったため、ジェイズでエンジン腰上のみの整備は受け付けてない。(2)の価格を高いと感じる人がいるかもしれないが、CB-Fシリーズが採用するケーヒンの負圧キャブレターはかなり複雑な構造のため、本来の調整を取り戻す作業にはかなりの時間を要するという。


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