●文:ライドハイ(伊藤英里) ●写真:スズキ , MICHELIN , MotoGP.com
2020年シーズンのMotoGPチャンピオン、ジョアン・ミル。23歳の若者が持つ強靭な精神力は、彼が歩んできたレース人生で築かれた。オフシーズン中に行った独占インタビューをお届けする。
MotoGPクラス参戦2年目で、スズキに20年ぶりのタイトルをもたらす
2月某日、日本時間17時、パソコンの中に顔をのぞかせたジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は、シーズン中とは打って変わって、少し眠たげな表情をしていた。
「これから朝ごはん。それからトレーニングだよ」
と笑う。
オンライン取材だからだろうか、それとも朝9時という時間のためだろうか。2020年MotoGPチャンピオン、ジョアン・ミルの素顔がそこにあった。
少し時間を巻き戻すことにしよう。2020年シーズン、ミルはMotoGPクラス参戦2年目でチャンピオンに輝き、スズキに20年ぶりのライダータイトルをもたらした。
混戦模様にあった2020年シーズン、ミルは中盤以降、タイトル候補の1人として、幾度となく「チャンピオンシップを意識するか」という質問を投げかけられていた。第9戦カタルニアGPでランキング2番手に浮上し、第11戦アラゴンGPではついにランキングトップに躍り出る。それでもミルは、柔和な笑顔のまま、自分のペースを崩さずに淡々としているように見えた。
プレッシャーに負けない精神力
「そりゃ、プレッシャーを感じていたよ」
2020年シーズンのチャンピオンを決めたバレンシアGPでの精神状態について聞くと、ミルはそう振り返った。
「けれど、プレッシャーをマネジメントすることが大事なんだ。僕にとっては、プレッシャーをうまくコントロールして落ち着く、というのはいつものこと。レースに勝つためにそこにいる、というプレッシャーが好きなんだ。それによってかき乱されることはないよ」
ミルの話を聞いているうちにふと、2017年の日本GPを思い出した。木曜日の会見に、ミルはMoto3クラスのチャンピオン候補として出席していたのである。MotoGPで戦うライダーは、誰もが強靭な精神力を備えているだろう。けれど、落ち着き払った、当時20歳にして精神的に成熟したようなミルの様子が、とても印象に残っていた。
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