クイックシフターは上下対応

【119馬力/189kg】ヤマハ新型「MT-09」フルモデルチェンジして正式発表

欧州ヤマハは、排気量アップした3気筒エンジンを新フレームに搭載した2021年モデルの「MT-09」を発表した。デザインも完全に一新され、電子制御は6軸IMUの採用によりトラクション、スライド、ウイリー、ブレーキをトータルでコントロールする。

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排気量は3.1mmのストロークアップで847→890ccへ|IMU+電子制御スロットル採用

欧州ヤマハは新型MT-09を発表。エンジンは排気量を45cc拡大するとともにユーロ5に適合し、全域パワーアップしたうえで最大トルクの発生回転数を1500rpm下げた7000rpmとし、低回転域のトルクは7%向上した。吸/排気は刷新され、マフラーは1400g軽量に。マフラー込みのエンジン重量は1700gの軽量化を達成した。目指したのは“リアルワールド”におけるパフォーマンスの最大化だ。

ピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、クランクケースなど主要パーツの多くは新設計とされたほか、新しい燃料供給システムはインジェクターを従来のシリンダーヘッド直付からスロットルバルブ側に取り付け位置を変更。噴射はバルブ傘裏方向とし、優れた燃焼効率としてトルク&パワーを向上するとともに燃費を9%改善。電子制御スロットルにはアクセルポジションセンサーグリップ(APSG)を組み合わせる。6速トランスミッションは1速と2速のレシオを高め、アップデートしたアシスト&スリッパークラッチを採用した。

電子制御は待望の6軸IMUが搭載されているが、これは2015年型のYZF-R1が採用していたものより50%小さく40%軽いもの。こにより車体のロール/ヨー/ピッチの動きを検知し、バンク角連動型トラクションコントロールシステム(TCS)、スライドコントロールシステム(SCS)、リフトコントロールシステム(LIF)、ブレーキコントロールシステム(BC)をトータルで制御できるようになった。

TCSは3モードがあり、モード1およびモード2は介入の度合いをSCS、LIF、BCとともに一括で調整。モードMはマニュアル設定が可能となり、個別に好みのセッティングを施すことができる。これらの操作は3.5インチTFTのメーター上で行う。クイックシフター(QSS)は上下対応になった。

2.3kgの軽量化を達成したシャーシと最新のデザイン

フレームは新型のCFアルミダイキャスト・デルタボックスとし、軽量化と強度向上を両立。横剛性は50%向上した。また、サブフレーム(シートレール)はスチールパイプからCFアルミダイキャストに変更され、1.5kgの軽量化に成功。スイングアームはシンプルな造形とし、高剛性かつ250g軽量となってスタビリティ向上に貢献する。シャーシの軽量化はトータルで2.3kgだ。

10本スポークとなったアルミ製ホイールはスピンフォージドという製法を採用。ヤマハの技術開発により最薄部ではなんと厚さ2mmまで追い込んでいるという。前後ホイールでトータル700gの軽量化を達成し、リヤホイールでは慣性モーメントを11%減少させた。これに組み合わせるブレーキは“YZF-R1タイプ”とし、フロントにはニッシン製ラジアルマスターシリンダーを採用している。フロントにはKYB製のフルアジャスタブルφ41mm倒立フォーク、リヤにはKYB製アジャスタブルショックを搭載した。

ヘッドライトはLEDプロジェクターで、逆ハの字のツインLEDポジションライトとともに未来的な表情をつくり出す。ボディデザインのテーマはミニマリスト“カバーレス”だ。ナンバープレートホルダーがスイングアームマウントから通常の位置に戻っているのもトピックだろう。車体色はストームフロー(Storm Fluo)、アイコンブルー(Icon Blue)、テックブラック(Tech Black)の3色がラインナップされる。価格は未発表。

もちろん日本への導入は間違いないだろうが、時期については情報を待ちたい。

YAMAHA MT-09[2021 model]

YAMAHA MT-09[2021 model]スタイリングとカラーリング

【YAMAHA MT-09[2021 model]】主要諸元■全長2090 全幅795 全高1190 軸距1430 シート高825(各mm) 車重189kg(装備)■水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ 890cc 119ps/10000rpm 9.5kg-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L■キャスター25°/トレール108mm ブレーキF=φ298mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ245mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※諸元は欧州仕様 ●価格&発売時期:未発表

YAMAHA MT-09[2021 model]Storm Fluo

YAMAHA MT-09[2021 model]Storm Fluo

YAMAHA MT-09[2021 model]Storm Fluo

YAMAHA MT-09[2021 model]Icon Blue

YAMAHA MT-09[2021 model]Icon Blue

YAMAHA MT-09[2021 model]

YAMAHA MT-09[2021 model]Tech Black

YAMAHA MT-09[2021 model]Tech Black

YAMAHA MT-09[2021 model]Tech Black

YAMAHA MT-09[2021 model]ディテール

ストロークを3.1mm伸ばすことによって890ccとなった新型3気筒エンジン。

フレームデザインはややツインスパー寄りに。アルミ製CFダイキャストのデルタボックス構造だ。

大胆なデザインとされた燃料タンクとシュラウド。

各モードなどは左手元のボタンで。

3.5インチTFTディスプレイとし、メーターまわりは極限までシンプル化。

LEDプロジェクターヘッドライトに、LEDツインポジションランプを組み合わせる。

フレームのスイングアームピボット部分はスイングアームの外側へ。従来はスイングアームが外側マウントだった。横剛性50%アップにも貢献している思われる。

ラジアルマウントキャリパーにスピンフォージドアルミホイール。ストームフローと名付けられた新色は鮮やかな赤が印象的だ。

KYB製のφ41mm倒立フォークはフルアジャスタブル。

ニッシン製のラジアルポンプマスターシリンダーを採用。

リヤショックもKYB製のアジャスタブルだ。

スイングアームはトラス構造からシンプルなツインビームに。剛性アップと軽量化を達成。マフラーは左右に排気口があり、ともに下向きになっているが、日本仕様がこれを踏襲するかどうかは不明。

YAMAHA MT-09[2021 model]イメージカットほか


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