アプリリアによる新コンセプトのスポーツバイク「RS 660」がついに欧州で発売される。価格は140万円弱で、2020年10月12日より欧州での予約受付を開始するという。電子制御の詳細も明らかになったが、かなりのスペックを盛り込んでいるぞ!
ほどほどのパワーに軽量な車体、フル電子制御という新しいコンセプトで、なんとクルーズコントロールまで装備
EICMA 2018でプロトタイプが出品されて以来、ミドルクラスの排気量で馬力はそこそこ、車重を大きく削り取って高いスポーツ性を備え、そこに1000ccクラス並みの電子制御を組み合わせるという全く新しいコンセプトで、世界中のファンから発売を心待ちにされていたアプリリアRS660。ついに正式発表され、間もなく欧州で予約受付を開始する。
カラーリングは3色展開。ファンキーなアシッドゴールド(Acid Gold)、以前の記事でも紹介した1994年のRS250・レジアーニレプリカであるラヴァレッド(Lava Red)、締まった黒のエイペックスブラック(Apex Black)というラインナップになる。
気になるのは価格だが、欧州でも公式リリースには価格の表記がない。とはいえ、メジャーなメディアがこぞって1万1050ユーロまたは1万149ポンドと報じており、日本円換算で140万円弱なのは間違いなさそうだ。日本への導入については未発表だが、発売されるのはほぼ確実だろう。価格については、アプリリアの慣例から欧州価格との差は大きくないことが予想される。140万円台と見るのが妥当だろうか。
下記は欧州で公開された公式PV。
100psの並列2気筒エンジンは270度クランク、4000rpmで最大トルクの80%を発揮!
RS660の新しさは、なんといっても「100psで十分」と割り切ったことにある。搭載される並列2気筒エンジンは、リッタースポーツ・RSV4の1100ccV4エンジンの前バンクを切り出したような考え方で設計され、排気量は659cc。シンプルな構造の並列2気筒とすることでコストと重量を抑え、これにアプリリアDNAのスポーティな車体を組み合わせている。
エンジンは、もちろんユーロ5適合。ピストン径はMotoGPマシンの上限と同じφ81mmとしながら、ストロークはやや長めの63.9mmに設定。クランクはヤマハMT-07などと同じ270度の位相角とされている。最高出力100ps/10500rpm、最大トルク6.83kg-m/8500rpmで、回転数上限は11500rpm。最大トルクの80%を4000rpmで、90%を6250rpmで発生するといい、驚くべきフレキシブルさを想像させる。
電子制御はまさしくクラスを超越している。APRC(Aprilia Peformance Ride Control)と名付けられたパッケージはRSV4 1100並みだ。6軸IMUを搭載し、トラクションコントロール、ウイリーコントロール、クルーズコントロール(!)、上下対応クイックシフト、調整可能なエンジンブレーキコントロール、キャラクターを変更できるエンジンマップを備え、さらにマルチマップ・コーナリングABS、5つのライディングモードも。
ライディングモードは、公道用に「コミュート(日常ユース向け)」「ダイナミック(スポーツライディング向け)」「インディヴィジュアル(カスタマイズ可能)」の3つ、そしてサーキットユース用に「チャレンジ(RS660のポテンシャルをフル開放」「タイムアタック(さらに細かくセットアップ可能)」となる。
軽量化のためにリチウムバッテリーを搭載していることも、このクラスとしては大きなトピックと言えるだろう、
車体は、1370mmのホイールベースに24.1°のキャスター角とし、エンジンを車体の剛性メンバーとして最大限に活用。フロントにはφ41mm倒立フォークとφ320mmダブルディスク、ラジアルマウントキャリパー、ラジアルポンプマスターシリンダーを装備する。タイヤはピレリのロッソコルサIIで、サイズは前120/70ZR、後180/55ZR17だ。
また、このクラスとしては異例のコーナリングライトを備え、フルLEDの灯火類はデイタイムランニングライト(DRL)にトワイライトセンサー付きオートライトも。特にDRLはかなり強めにキャラクターを表現しており、そのラインの中にフロントウインカーも仕込まれているのが面白い。
フェアリング類のデザインも最新とし、エアロダイナミクス分野ではコンピュータシミュレーションによる流体力学を最大限に活用。複雑なレイヤーを組み合わせたミドルカウルなどにその痕跡を見ることができる。
アクセサリーも豊富で、レース用/公道適合アクラポヴィッチ製マフラー、ピットロードリミッターを含むクイックシフターソフトウェアなどのほかに、USBソケットやスマートフォン接続デバイスなども。早く日本でもその姿を見たい!
APRILIA RS660[2021 model]スタイリング
【APRILIA RS660[2021 model]】主要諸元■全長1995 全幅745 全高未発表 軸距1370 シート高820(各mm) 車重183kg(装備)/169kg(乾)■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 総排気量659cc ボア×ストローク81×63.93mm 圧縮比13.5: 1 最高出力100ps/10500rpm 最大トルク6.83kg-m/8500rpm 変速機6弾燃料タンク容量15L■キャスター24.1°/トレール104.6mm ブレーキFφ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ220mmディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●欧州価格:140万円前後 ●色:黒、紫×赤、黄 ●2020年10月12日予約受付開始(欧州) ※諸元や価格&発売時期は全て欧州仕様
APRILIA RS660[2021 model]ディテール
●情報提供:PIAGGIO GROUP ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
ミラノショー(EICMA 2018)で発表されたアプリリアのコンセプトRS660は、そのエンジン形式と排気量の選定や、高い技術力によって極限までシンプル化されたフレームワーク、そしてRSV4を超えると[…]
知れば知るほどマニアックなマイナーチェンジ CBR600RRは2013年モデル以来、7年ぶりのモデルチェンジを果たして復活する。カラーチェンジだった2016年モデルを最後にホンダのカタログからラインナ[…]
海外でサプライズ発表された2020年型YZF-R1/M(ユーロ5適合)に続き、YZF-R6、YZF-R3、YZF-R125(いずれも輸出仕様)の2020年ニューカラーが出揃った。このうちYZF-R6は[…]
ニンジャZX-6Rは、スーパースポーツ600ccクラスのエンジンをベースに、レースカテゴリーにとらわれることなく+36ccとした並列4気筒エンジンを搭載。クラス最強の126psを誇りながら、公道での扱[…]
既報どおり、スポーツランドSUGOにて6月8日にYZF-R6 20th Anniversary が披露される。これは1999年に登場した初代YZF-R6のカラーリングを現代に再現したものだ。600cc[…]
最新の記事
- 【SCOOP!】ホンダ新原付の名称が判明?! 「カブ ライト」「ディオ ライト」と「プロ ライト」って何?
- 「メッチャうれしい」「胸熱だねぇ」RACERS(レーサーズ)最初期タイトル10冊が再販決定!
- アメリカ初導入はポリス仕様! ホンダ「NT1100 ポリス」北米仕様が登場、価格は約220万円
- ’70sヨシムラが放った世界初のバイク用『集合管』の衝撃【昭和エモ伝Vol.6】
- 東京湾アクアラインの通行料が最大2倍に! 深夜帯は半額の時間帯別 新料金制度を来年4月に導入……〈多事走論〉from Nom
- 1
- 2