2種類のレーシングマフラーをラインナップ

ニンジャZX-25Rの実測パワーグラフを入手! アクラポヴィッチ製マフラーは中速域で約2ps以上アップ

欧州のトップマフラーメーカーであるアクラポヴィッチが、早くも2種類のNinja ZX-25R用レーシングラインを正式公開した。それぞれにパワーアップや軽量化の数値が明らかになるとともに、パワーを実測したグラフも存在。もちろんアクラポヴィッチ製マフラーの出力も気になるが、ノーマル出力の実測値が公開されたことも見逃せない!

一部SNS等ではリーク画像も出回っていたが、カワサキによるニンジャZX-25Rの正式発表にともない、欧州のトップマフラーメーカー・アクラポヴィッチのレーシングラインマフラーが2種類と、それぞれの実測パワーグラフが正式に公開された。

最初に注目したいのは、なんといってもノーマル状態の実測パワーだ。テクニカルデータとして発表された数値は30.9kW/15350rpmで、我々が馴染みやすいps表記に換算すると42.04ps、ほぼ42ps/15350rpmになる。アクラポヴィッチ本社に確認したところ、これはシャーシダイナモによる測定とのことなので後輪出力を計測した数値で確定。ただ、直接の担当者が夏休みということで使用車両がカタログ値45psの日本仕様なのか50psのインドネシア仕様なのかは確認できなかった。

とはいえ、通常はカタログ値(クランク軸出力)から10%程度を引いた数値が後輪出力になることが多く、またタイミング的には車両コンディションのいい新車に近い状態から開発したと推察できるので、ほぼ日本仕様で間違いないだろう。

面白いのは、1万rpmあたりのパワーカーブに谷が見られることだ(純正マフラーは青い線)。実際に公道ワインディングで試乗した筆者としては、グラフからイメージするほど加速が鈍るようには感じなかったが、確かに1万rpmあたりを境に元気さを増す印象はあったので、これが胸のすく加速感に寄与していることに違いはなさそうだ。

2020年7月末に開催された、Ninja ZX-25Rの試乗会で展示されていたカスタムマシンには、アクラポヴィッチ製の政府認証マフラーが装着してあった。録音機材が貧弱で恐縮ではあるが、そのハスキーなサウンドをお楽しみいただきたい。

レーシングラインと名付けられた2本のフルエキゾースト、見た目の違いは膨張室の有無

【AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R1-APC】膨張室なしバージョン

アクラポヴィッチが発表しているマフラーは2種類あり、ともにレーシングラインと名付けられている。型番は膨張室なしがS-K2R1-APC、膨張室ありがS-K2R2-HAPCだ。膨張室なしのほうは完全にレースでの使用を前提としており、ストリート/ハイウェイでのエミッションに適合していない旨が明記されている。

そして膨張室ありのバージョンには同様の表記がなく、こちらはキャタライザー追加などにより日本でも公道使用可能なマフラーとして販売されることになりそうだ。実際に、Ninja ZX-25Rの試乗会で展示されたカスタムマシンにはアクラポヴィッチ製フルエキゾーストマフラー(膨張室あり)が装着してあり、こちらは政府認証タイプとしたうえで専用のロゴが配置されていた(カワサキ正規取扱店のみの販売となる)。これが、本国で公開されたものと同じ形のものに見えるのだ。

また、レース専用タイプもカワサキ正規取扱店用に用意するというから、カワサキ×アクラポヴィッチの専用ロゴ入りコラボレーションマフラーとして2種類ともに国内販売されることだろう。通常ロゴのラインナップは、国内の輸入代理店による導入が見込まれる。

【AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R2-HAPC】膨張室ありバージョン

肝心の性能アップについても触れねばなるまい。膨張室なしバージョンは最高出力が43.26ps/15450rpmとなるほか、9800rpmでは最大2.44psの出力向上を果たすという。最大トルクは2.12kg-m/12700rpm→2.19kg-m/12500rpmとなり、9600rpmでは0.18kg-mのトルクアップを達成している。

そして膨張室ありバージョンの場合、最高出力は42.72ps/15450rpmへとパワーアップし、最大トルクは2.18kg-m/12500rpmに。最大の上がり幅としては出力が10000rpm時点で1.36ps向上、トルクは11500rpm時点で0.17kg-m向上となっている。

いずれもパワーカーブ1万rpmあたりの谷を払拭している点と、常用域から上のパワーの上乗せぶりが印象的だ。

ちなみにエキゾーストシステムの重量は純正が8.9kg、アクラポヴィッチ製の膨張室なしが4.5kg、膨張室ありが6.5kgとなっている。

カワサキ×アクラポヴィッチのコラボレーションモデルでは純正ECUのままパワーアップ可能と明記されていたことから、本国発表版も同様である可能性が高そう。早くも定番カスタムパーツになりそうな雰囲気だが、日本でもヨシムラやBEET、トリックスターといったマフラーメーカーが名乗りを上げている。公道向けカスタムマフラー、そしてレースシーンでの勢力争いも気になるところだ。

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R1-APC

膨張室を持たないレース専用バージョン。1-2、3-4に連結パイプを持ち、集合方式は4-2-1となっている。7500rpmあたりのトルクの谷は純正マフラーよりも大きめだが、1万rpmの谷は解消、されに高回転に向かってパワーを上乗せしている。250ccだけあって、サーキットで1万rpm以下に落とすことはそうそうないと思われ、実質的に使う領域ではは全域パワーアップといって差し支えない。

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R1-APC

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R1-APC

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R1-APC

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R2-HAPC

こちらキャタライザー追加により公道にも適合するバージョンで膨張室あり。4-2-1集合方式や連結パイプの配置はレース仕様と同様だが、集合部のうしろに大きな弁当箱(膨張室)があるのが大きな違い。パワー特性は純正マフラーに近く、それを全体に増強したようなグラフとなっている。6000rpmあたりに谷はあるものの、公道でもある程度快活に走ろうとすると7000~8000rpmは使うのがニーゴー4気筒と考えれば、こちらも実用域はしっかりパワーアップを果たしていると言っていいだろう。

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R2-HAPC

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R2-HAPC

AKRAPOVIC Racing Line (Carbon) S-K2R2-HAPC


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