ついに日本国内仕様が正式発表されたカワサキ「Ninja ZX-25R」。その2日前にインドネシアではプレス向け試乗会か行われていた。現地メディアの協力でテストレポートを入手したのでお届けしたい。50psフルパワーという現代の250ccスポーツ最強スペックは本物か?
車種別アーカイブ:カワサキ ニンジャZX-25R
ニンジャZX-25Rのハンドリングは?
Ninja ZX-25Rの発表後(7月10日にインドネシア仕様の正式発表があった)、いよいよファーストインプレッションをお届けするチャンスがやってきた。今日は2020年7月15日。一般道や高速道路ではなく、セントゥールサーキットで行われる試乗会は、新作の並列4気筒エンジンを試す絶好の機会だ。そのハンドリングはどうか、電子制御は? 4気筒エンジンが巻き起こすセンセーションとは?
まずはハンドリングから述べていこう。Ninja ZX-25R ABS SE(日本仕様のSEに相当)の車重は182kg(日本仕様のSEは184kg)は軽く感じられ、785mmのシート高によりコンパクトなライディングポジションという第一印象。このバイクは165cm~170cmでも快適に乗ることができそうだ。
トップブリッジ下にマウントされたセパレートハンドルバーにはスポーティなアングルがつけられているが、ステップは高過ぎず、毎日のライディングも快適にこなすだろう。
コースインすると、まずブレーキがとてもタイトに感じられた。ラジアルマウント4ポットキャリパーの採用は伊達じゃない。ブレーキレバーの感触はソフトだが、レバーを引けば即座にブレーキパッドがディスクを噛む感触が伝わってくる。
そして当然、このバイクにはABSが装備されており、タイヤがロックしてしまうことを防いでくれる。その作動性は非常にスムーズで、ブレーキレバーが振動することもなく、快適で安全な印象を受けた。ただし、サーキットにおけるハードブレーキングでは、思ったよりも滑走感があり、ABSを作動させてしまうと制動距離が伸びるきらいがあった。
SHOWA製SFF-BP倒立フォークは、70kgのライダーでは若干動きが多めにも感じられるが、フィーリングはグレートだ。セントゥールサーキットの第2コーナーを110km/hで駆け抜ける際には自信を持って臨むことができる。。
リヤのホリゾンタルバックリンク式サスペンションはフィーリンがよく、バイクに落ち着きを与えている。公道向けバイクに標準装備されているものとしては非常に満足できる仕上がりだ。
ステップは何回か路面に擦ってしまうことがあった。サーキット走行ではバックステップに交換したほうがいいだろう。
こうしたフルバンクでも自信が持てるコーナリングは、この試乗会のために用意されたダンロップ製スポーツマックスαによる強力なグリップがもたらしたもの。標準装着はGPR300なので、それはまた別の機会に試してみたい。
電子制御と各種機能をテストする
このNinja ZX-25Rはパワーモード機能、KTRC(カワサキトラクションコントロール)、およびKQS(カワサキクイックシフター)を備えている。
最初の試乗ではフルパワー、KTRCオフ、KQSオンに設定していみた。これにより、エンジン制御は完全にライダーに委ねられることになる。エンジンの動力はダイレクトに発揮され、後輪を駆動。タコメーターの針も跳ね上がる印象だ。
KTRCをレベル3にすると、リヤタイヤのスリップを防ぐのにとても有効だ。オフとレベル3の違いは非常に顕著であり、レベル3では絶対に滑らないのではないかと感じるほどだった。
同様に、パワーモードをローパワーにするとレスポンスが穏やかになり、エンジンフィーリングも全体に柔らかい印象になった。このローパワーモードでは最高出力が65%に抑えられ、スロットルバルブは手元の操作に対してゆっくりと開くからだ。都市部でのカジュアルな走りや雨天時に使えそうだった。
さあ、スピードアップしてサーキットを攻めてみよう。KQSはオートブリッパーを備え、シフトダウン時にも自動的に回転を併せてくれるが、2500rpmを下回ると作動しないので注意が必要だ。その領域ではクラッチレバーを使う必要がある。
KQSのパフォーマンスはスムーズで、確実にラップタイムを短縮するのに役立つ。サーキット走行会では非常に役立つアイテムだ。ギヤを落とすにはアクセルを閉じ、ブレーキを引きながらシフトペダルを踏むだけで、すぐにシフトダウンが行われ、エンジン回転がわずかにジャンプする。オートブリッパーはとても楽しい。
そうそう、いちおうKQSはオフにもできる。スピードメーターにあるKQSのロゴが消えるまで選択ボタンを押すだけだ。
エンジンとパフォーマンスは?
Ninja ZX-25Rは249.8ccの水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ、エンジンを搭載している。ピストンサイズは50mmで、ストロークは31.8mm。燃料噴射を備える4つのスロットルボディはφ30mmだ。
これらの結果、通常時で50ps/15500rpm、ラムエア加圧時は51ps/15500rpmを達成している。最大トルクは2.3kg-m/14500rpmだ。
サーキットに入る前に、カワサキは1万rpmでシフトアップするようにアドバイスしていたが、我々は1万7000rpm以上でシフトアップを行った。さらにNinja ZX-25Rの限界を試すため、レブリミッターが作動する1万8000rpmまで引っ張ってのシフトアップも試みた。
エンジン回転数が1万rpm以下だとややスムーズさに欠けるようなので、快適なリズムでギヤシフトしたいのなら、常に1万rpm以上を保つ必要があるだろう。
ラムエアインテークからの吸気音と並列4気筒エンジンの悲鳴にも似たサウンドは、実に魅力的だ。セントゥールサーキットのストレートセクションでは最高速度186km/hを記録し、標準状態のバイクとしてはとても印象的だったが、ストレートが長ければさらに伸びると感じた。
カワサキは、現時点で最も強力な250ccスポーツバイクをつくることに成功した。この4気筒エンジンの轟音は多くの人に愛されるだろう。電子制御や車体まわりもバイクのパフォーマンスをサポートする。
サーキット走行会でその悦びを堪能するために必要なのは、タイヤをハイグリップなものに交換し、サスペンションの設定を少し変更、あとはバックステップへの交換がおすすめだ。Ninja ZX-25RにはSTDとABS SEの2機種が用意され、あなたの購入を待っている。
KAWASAKI Ninja ZX-25R/ABS SE[2021 Indonesia model]
主要諸元■全長1980 全幅750 全高1110 軸距1380 シート高785(各mm) 車重182kg[180kg](装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 249.8cc ボア×ストローク50×31.8mm 圧縮比11.5 最高出力50ps/15500rpm 最大トルク2.3kg-m/14500rpm 変速機6段 燃料タンク容量15L■キャスター24.2度/トレール99mm ブレーキF=φ310mmディスク+4ポットキャリパー R=φ220ディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=110/70R17 R=150/60R17 ●現地価格:9600万ルピア[1億1290万ルピア] ●色:緑×黒(ABS SE)、黒×白(ABS SE)、青×黒(ABS SE)、黒(STD) ※諸元はインドネシア仕様ABS SE、[ ]内はSTD
●文:Harry Kriwil & Dimas Popo ●写真:F.Yosi & Didit DAB ●取材協力:GridOto.com ●翻訳:編集部 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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