●文:沼尾宏明、中村友彦 ※本記事で取り上げる「初」は、公道走行可能な量産二輪市販車としての”初”を意味します。なお、その定義には諸説ある場合があります。
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’88 RGV250Γ:全てを一新、過激さで魅了したVガンマ
並列ツインのRG250Γから決別し、’88年3月、パワフルなV型を積んだ後継機・RGV250Γがデビューした。車体は日の字断面のDC-ALBOXフレーム、φ41mmフォークにラジアルタイヤで武装。ジャジャ馬ぶりが評判だった。
’90 RGV250Γ〈国産初・湾曲スイングアーム〉GPマシン直系の後脚
’88年のデビュー以来、過激な走りで人気を高めていたVガンマが、早くも2年後にビッグチェンジを敢行した。2スト90度V型ユニットは、より高度に電子制御を行うSAPCやスリングショットキャブレターを採用し、排気バルブのAETCがIIに進化。最大トルクは0.1㎏-m増の3.8㎏-mとなった。さらに国産車初となる湾曲スイングアームによってチャンバーの容積を稼ぐことができ、右2本出しサイレンサーが実現。これらはWGP500マシン=RGV-Γ直系のメカで、後にも先にも右2本出しは国産レプリカ唯一となる。車体面でも2スト勢初の倒立フォークや、ピボット部の肉厚を増したフレームで強化。優れたバランスとルックスで玄人から人気を集めた。

【最高峰レーサーとソックリに進化】GPの参戦を休止していたスズキが’88年から5年ぶりにフル参戦を再開。V4のRGV-Γがイメージリーダーとなり、Vガンマ(VJ22A)にも同様の機構が多く与えられた。湾曲アームによってチャンバーは真円に近い断面形状となり、ストレートに配置できるため、出力向上も望める。 [写真タップで拡大]

当時スズキの絶対的エース、#34ケビン・シュワンツ。当初RGV-Γはパワーで劣ったが、豪快なブレーキングと旋回速度で、ガードナー、レイニー、ローソンらと渡り合った。’93年、ついに年間王者に輝く。 [写真タップで拡大]
’96 RGV-Γ250SP:2ストレプリカのラストを飾ったのもガンマ
最後にして究極の2ストレーサーレプリカと呼ばれているRGV-Γ250SPは(車名のΓの位置がレーサーと同じになり、SP仕様のみを販売)、すでにレプリカブームが終焉を迎えた’96年にデビュー。開発ベースは’95年の全日本選手権GP250クラスを制したXR95で、70度Vツインやアルミツインスパーフレームを筆頭とする、ほとんどのパーツが新規開発だった。吸気系はラム圧過給を考慮した設計。

’80年代以降の2ストスポーツバイクはキック始動が当たり前だったのだが、RGV-Γ250SPの始動方式はなんとセルのみ! もちろんセルモーターは専用設計の超小型&軽量品である。クラッチは乾式が標準。 [写真タップで拡大]
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