ホンダの’20スーパースポーツフラッグシップ・CBR1000RR-R。前稿までそのスタイリング・パワーユニット・ボディコンストラクション・エアロダイナミクス・電子制御機構について解説したが、本稿ではモデルバリエーションとしてラインナップされているスタンダード(STD)とSPの違いについて比較する。
前後サスペンションにオーリンズ製の電子制御タイプを採用し、フロントブレーキシステムがブレンボ製になっているのが、上級版となるSP仕様の大きな特徴。加えてSPは、クイックシフターを標準装備している。
フロントフォーク
STDはショーワ製のビッグピストンフロントフォークを採用。もちろんフルアジャスタブルで、120㎜のストローク量。写真はオプションのカーボン製カバー付きだ。SPはオーリンズ製の電子制御サスを使用。125㎜のストローク量で、デフォルト設定に加えて3タイプの個別モードが設定でき、異なるサーキットにも瞬時に対応できる。
マスターシリンダー
標準仕様のマスターシリンダーはニッシン製のラジアルマスターシリンダーを採用。SP仕様がマスターシリンダーにブレンボ製のセミラジアルポンプを採用している。
ブレーキキャリパー
標準仕様のフロントブレーキは、ニッシン製のラジアルマウントキャリパー。SP仕様がブレンボの最新世代となるStylemaを採用している。 ディスクは従来型より10mm拡大された330mmで共通のものを使う。
リヤブレーキ
両仕様とも、リヤブレーキキャリパーはブレンボ製の2ピストンでマスターも共通。リヤホイールは新作で、剛性を維持しながら軽量化している。
シフト
スタンダードはクイックシフターを搭載しない。SP仕様のみシフトアップとダウンの双方向に対応するクイックシフター標準装備。
リヤサスペンション
スタンダードのリヤショックは、ショーワ製のバランスフリーリヤクッション。もちろんフルアジャスタブルで、137mmのストローク量が確保されている。SP仕様のリヤショックは電子制御式のオーリンズ製TTX36で、143mmのストローク量が与えられている。
欧州仕様のリリースによる比較では、この3項目およびこれらに起因する細かい仕様の違い、そしてカラーリング(スタンダードには単色の黒がある)くらいしかピックアップできなかった。SPのみチタン製燃料タンクやリチウムイオンバッテリーまで採用していた従来型と比べれば、両仕様の違いは少ないと思われる。
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