『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第31回は、国道286や山形自動車道を避けた裏道的な存在の山岳ワインディングロード、蔵王エコーラインを紹介する。
TEXT:Hidetoshi KANDA
深緑・紅葉・雪の壁……季節ごとに様々な風景を楽しめるパノラマロード
全線約26km。蔵王温泉と白石市をつなぐ山岳ワインディングルートだ。連絡路として観点からであれば、国道286号及び山形自動車道の方が早いが、裏道的存在としても有効なルート。観光シーズンを外れた時期であれば、国道より気持ち良く走行できる場合もある。
険しい山腹をトラバースするルートの為、タイトコーナ―が非常に多い。全線ほぼタイトコーナーと呼んでも過言でない程、直線区間の少ないルート。初心者にとっては少々辛いコースレイアウトかもしれない。とは言え、コーナーリングこそバイクの醍醐味!信号は皆無で全線2車線の為、走り応えは抜群だ。
しかし、山間部の為、付近は屈指の豪雪地帯。スキー場も点在し、除雪作業時の路面の痛みが多少目立つ。アスファルトの割れや、浮き砂もある為、特にコーナーでの無理は絶対禁物。路肩が狭く、コーナー出口の見通しが悪い為、観光客の駐停車両にも注意が必要。道路線形的に少々注意点の多いルートである事を肝に命じた走行を心掛けたい。
樹木の影響もあり、全線を通じて展望が開ける訳ではない。しかし、山脈を見渡すピークポイントでの展望は大変見事だ。また、途中で分岐する蔵王ハイラインは2.5kmのショートコースながら、蔵王のシンボルである旧噴火口「お釜」へのアクセスルート。有料(380円)ながら、火山地形独特のワイルドさが広がる、異世界感抜群の雰囲気は必見だ。しかし、初春の雪壁・夏の深緑・秋の紅葉と、季節を通じて変化する多彩な景色は蔵王エコーラインならではの魅力。特に、初春の雪壁の景色は八幡平アスピーテラインと共に、日本を代表する“雪壁道”として絶大な人気を誇っている。また、樹木に囲まれている為、紅葉も見事。ハイシーズンになると紅葉狩りの車列で渋滞する程の人気だ。
しかし、この地域は大変雪深い。11月前半~4月後半は冬季通行止めの時期。何と、通行できるのは1年の約半分しかなく、ある意味貴重なルート。上手くルーティングすれば、山形方面との連絡路としても活用できる為、山形~宮城を周遊するメインルートとしても使える。バイクの楽しさを存分に味わえるこのルート。東北では外せない定番の絶景ロードだが。ぜひ一度は走っておこう!
ロード情報
交通量:全国的に有名な絶景ロードだけあり、比較的多め。特に紅葉時期の連休時は、区間によるが渋滞まで発生する。ただし、山形県側が混む事は殆ど無い。
路面:比較的幅広で線形も良好だが、積雪地帯の為、意外と路面の荒れが目立つ。特にスキー場付近では大き目の段差が生じている場合もあり、注意が必要。
~蔵王エコーライン~
秘境感★★★★
天空感★★★
潮風感
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★★
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