●文:ライドハイ編集部(根本健)
息をそっと吹きかけたら暖まるのに、同じ息でも勢いよく吹くと冷やすことができる原理
1980年代のレプリカブーム真っただ中を経験したファンは、スズキGSX-R750で採用されていた“油冷エンジン”をかなり意識したはず。
国産バイクではあり得なかったクリップオンハンドルとフルカウルに先鞭をつけたスズキは、憧れのレーシングマシンに乗る夢を叶えてくれる思いきった改革を成し遂げるメーカー、という位置づけを自ら率先して具現化していた。
1983年のRG250Γや翌1984年のGSX-R(400)は、世界GPシーンや世界耐久レースの中に自分も愛車で浸れる夢のマシンだった。
そして続いたGSX-R750は、重く大きな大型車では華麗なコーナリングなど考えられなかった、それまでの200kgオーバーが常識だった概念を打ち破り、179kgと400ccクラス並みの軽量さと、1430mmのコンパクトなホイールベースのレーサーレプリカがデビューしたのだった。
ここまで軽量化を果たせたのは、ワークスマシン同様にアルミフレームの採用があったのと、何よりエンジンの高性能化で必須といわれた水冷化に走らず、潤滑オイルを冷却に利用する“油冷”方式を開発、シンプルで重量増を伴わない強みから軽さを誇っていたのだ。
ただこの油冷について、エンジンオイルを多めに循環させ大型のオイルクーラーで冷やす…とイメージしていた方がほとんどだと思う。
しかしスズキが開発したのは、もっと先鋭化された独創的な“油冷”だった……
※本記事は2022年9月9日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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