工具メーカー・ストレートから発売されている「バイク用タイヤチェンジャー」は、バイクいじり好きのサンデーメカニックやセミプロなど、プロ仕様のタイヤチェンジャーを導入するほどではないものの、DIYでタイヤ交換する機会が多いユーザー向けの製品だ。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:ストレート
タイヤを固定し“マウントヘッド”を回転させる
本記事で紹介するタイヤチェンジャーは、じつは以前から製品化されていたのだが、実際に使用したユーザーの意見やアドバイスを受け、それらを反映したマイナーチェンジモデルだ。
タイヤショップなどの据置型タイヤチェンジャーがタイヤを回転させるのに対して、この製品はタイヤを固定して“マウントヘッド”と呼ばれる部品を回転させる。この部品がもっとも重要で、リムとビードの隙間を広げながらビードを外すための形状にはいくつものノウハウがある。
ストレートでは、据置型チェンジャーで実績のあるマウントヘッドを採用することで最大のハードルをクリア。T型フレームにセットしたシャフトにホイールを通し、シャフトを軸にマウントヘッドを一周回転させることで、ビードがリムから外れてタイヤが外れるという算段である。
このように書くといかにも簡単に使えるような印象だが、実際にはいくつかの作業上のポイントがある。
まず、ビードダウンキーパーなどを活用してビードを確実に落としておくこと。次に、マウントヘッドとリムの位置関係/マウントヘッドの角度を適切に調整すること。また、シャフトに差し込んだホイールの表裏を2個のテーパーコーンでがっちり固定することも重要。
ホイールもマウントヘッドもガッチリとしたフレームにセットされている据置型チェンジャーを見ても明らかなように、タイヤ着脱時にはチェンジャー自体の剛性がモノを言う。その点では組み立て式のストレート製が不利なのは明らかだ。だからこそマウントヘッドがビードをスムーズに起こせるようにセッティングを整えることが重要なのだ。
「そんな神経を使うなら、今までどおりタイヤレバーで作業するよ」と言いたくなる気持ちも分からなくもないが、セッティングが決まれば、驚くほどにあっけなく軽い力でタイヤが外れるから仰天なのだ。ここではカスタムペイント仕様のホイールで作業してみたが、タイヤレバーでこじることなく、リムを傷つけることなく着脱ができた。
正直に言えば、コツを会得するまでに試行錯誤を要するため、すべてのユーザーが一度で成功するタイプの製品ではないかもしれない。だが作業前の条件が整えば、プロ用と同じマウントヘッドの能力に文句のつけようはなく、太いタイヤでも軽い力で着脱できるのは確かである。
タイヤチェンジャーを使って作業開始
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
小ねじカッター:テコの原理でズバッと切断でき、バリ取りなしで使えるのが画期的 ESCOの小ねじカッターは、本体先端部分のピボットやテコの原理を活用した3枚合わせの本体構造など、オリジナリティに富む設計[…]
金属加工で培ったワンオフパーツ製作や溶接技術を生かし、マニアも納得の“サンキュッパフレーム”を製作 初期型/前期モノと呼ばれるモデルが尊重される多くの絶版車と異なり、後期型が好まれているのがホンダCB[…]
オーバーホール完了後の初期型用純正キャブレターを車体に装着。初期シリーズはツインキャブ!! 不動状態で近所のバイク屋から引き上げてきたGB250クラブマンですが、走行距離の少なさとその素性の良さを信じ[…]
キャブレターボディ内部の汚れは漬け込みタイプのクリーナーが効果的 キャブレターやガソリンタンク内に長期間溜まったガソリンは、時間の経過とともに劣化、変質します。どの程度の期間で劣化するかは保管状況など[…]
フレームを塗装する際にパウダーコートがおすすめな理由 外装部品をどれだけ磨き上げていても、フレームや足まわりが錆びたり塗装がヤレていると、バイク全体の印象は悪くなる。逆に外装がくたびれていても、黒いパ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
メンテナンス捗るスタンド類 ちょいメンテがラクラクに:イージーリフトアップスタンド サイドスタンドと併用することで、リアホイールを持ち上げることができる簡易スタンド。ホイールの清掃やチェーン注油などの[…]
バイクのステップゴムがボロボロになっていたので、新品に交換しました。 ・・・と言ってもこれは買ったものではなくて、たったいま印刷したもの。出来立てほやほやなのです~! 3Dプリンターを買ってみたのです[…]
金属加工で培ったワンオフパーツ製作や溶接技術を生かし、マニアも納得の“サンキュッパフレーム”を製作 初期型/前期モノと呼ばれるモデルが尊重される多くの絶版車と異なり、後期型が好まれているのがホンダCB[…]
オーバーホール完了後の初期型用純正キャブレターを車体に装着。初期シリーズはツインキャブ!! 不動状態で近所のバイク屋から引き上げてきたGB250クラブマンですが、走行距離の少なさとその素性の良さを信じ[…]
この記事に訪問してくれたあなた、キックペダルの分解に興味があるということでしょうか? それとも今まさにその危機に直面しているのでしょうか? もしくはただの冷やかし?? それでもオッケー。少しでも参考に[…]
最新の関連記事(タイヤ)
摩耗ライフ47%向上、ハンドリングと乗り心地を高めた 「BATTLAX SPORT TOURING T33」は、従来のBATTLAX SPORT TOURING T32からツーリングに必要な性能を維持[…]
雨でも走りを妥協しない「高級タイヤ」 まずは移動のために走った高速道路だが、前モデルのS22よりも剛性を上げているのに、乗り心地が非常に良い。文字で書くと簡単そうだが、剛性を上げれば乗り心地も硬めのフ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ミシュラン製スポーツツーリング向けタイヤ「ロード6」。その、走行距離が約1万キロになったので、そのインプレッションをする。YouTube動画内では、メーカーの方にインタビ[…]
コンセプトは4つの“続く” 2020年からダンロップが発売を開始したロードスマートⅣは、“興奮が、続く”、“気持ちが、続く”、“性能が、続く”、“走りが、続く”という、4つの“続く”をコンセプトに掲げ[…]
[A] リムの裏側にスポークが貫通しているホイールにはチューブが必要 ご存知のとおり、バイク用のタイヤにはおもにチューブ入りとチューブレスの2種類があります。 チューブ入りはホイールとタイヤの間にゴム[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかった[…]
Vストローム250SX[59万1800円] vs Vストローム250[66万8800円] 2023年8月に発売された、スズキ自慢の油冷単気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデル「Vストローム250S[…]
トラコン装備で330ccの『eSP+』エンジンを搭載、スマホ連携5インチTFTメーターを新採用 シティスクーターらしい洗練されたスタイリングと、アドベンチャーモデルのエッセンスを高次元で融合させ人気と[…]
第1位:X-Fifteen[SHOEI] 2024年10月時点での1位は、SHOEIのスポーツモデル「X-Fifteen」。東雲店ではスポーツモデルが人気とのことで「とにかく一番いいモデルが欲しい」と[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
最新の投稿記事(全体)
暑いけど宮ヶ瀬し〜。私のアイアン、最高ー! YouTubeの企画で免許を取得して以来、仕事でもプライベートでもバイクに乗ることが多い朝山すずちゃん。夜は星空や海を見に出かけたり、昼はオシャレなライダー[…]
タイヤを固定し“マウントヘッド”を回転させる 本記事で紹介するタイヤチェンジャーは、じつは以前から製品化されていたのだが、実際に使用したユーザーの意見やアドバイスを受け、それらを反映したマイナーチェン[…]
APトライク125の積載量に興味アリ! APトライク125の特徴といえば、おもに下記の4つが挙げられます。 乗っていて面白い 雨に濡れにくい 税金が安い 3人乗りができる さらに加えるなら、「荷物がい[…]
全日本ロードレースのJ-GP3クラスに参戦中で、ヤングマシン本誌でも試乗企画「いつもバイクで!」を好評連載中の岡崎静夏さん。バイク&レース好きの人気者である彼女が、ヤングマシンが始めて開催するオンライ[…]
私はヤマハPCXでUber Eats配達員をやっています。3000回ぐらい配達してきましたが、いつしか「ピザ屋やハンバーガー屋などのデリバリーいいなぁ」と思うようになっていました。なにせ彼らの相棒は、[…]
- 1
- 2