
しばらく交換していなかった旧車タイヤは、ビードが硬化していてタイヤの脱着が容易ではないが、ダートフリークのタイヤチェンジャーは、ハブベアリングをアクスルシャフトが固定するため、タイヤが滑って作業しにくいこともない。今回は前輪を交換したが、その作業性の良さは特筆すべきものであった。
ビードが硬化したタイヤの脱着でも作業性の高さが光る
国産大型旧車のロードタイヤで、もっとも数多くのモデルに採用されているのが、前輪3.25-19/後輪4.00-18サイズ。ホンダCB750KシリーズやカワサキZ2/Z1シリーズ、H1/H2シリーズにもこのサイズが採用されていた。ここで作業実践するカワサキ650W1シリーズも、まさにこのサイズの前後タイヤを採用していたことで知られている。
スタンディングポジションで作業進行。横にセットされたタイヤは腰近くの高さで落ち着き、作業性はきわめて良好。地面にしゃがみ込んで作業していたこれまでとは大違いだ。
タイヤ交換作業スタート!
ポータブルタイヤチェンジャーとロード用タイヤチェンジャーを組み合わせて、専用アクスルシャフトにハブベアリングを差し込む。テーパーコマでアクスル太さを合わせる。
エアーバルブを取り外して空気を抜き、ビードブレーカーでビードを落としてタイヤを外した。タイヤレバーには様々なタイプがあるが、使いやすいものは作業性が良い。
旧タイヤを取り外したら、ホイールリム側のコンディションを確認しつつ、リム側ビード受け部分にもタイヤビードワックスをしっかり塗布。タイヤの滑りが良くなる。
タイヤビードワックスは、ビード表側の上っツラだけに塗布するのではなく、ビードエンドの断面部分や断面周辺の内側部分にも塗布すると、新タイヤの装着が楽になる。
組み込む前に鉄リムの内側を全周しっかり確認しよう。新品に交換するリムバンドを外して、ニップル締め付け部分のサビにも要注意。20年前に新品リムに交換済み。
車両の保管コンディションが良いのでサビがない。露天保管車の場合はリムの内側がサビで真っ赤になることも。リムバンドはバルブ穴に合わせて中央にセットしよう。
タイヤのローテーションを確認し、片側のビードをリムへセットしたら、チューブを組み込む。その前に、チューブが自立できる程度までエアーを入れて、組み込み段取りを開始。
新品チューブはエアーを一度入れて軽く膨らませることで、組み込み時に起こりやすいかみ込みパンクが少なくなる。さらにシリコン系ケミカルを利用して滑りを良くする。
シリコン系ケミカルをウエスに吹き付け、軽く膨らませたチューブ表面全体を磨くように拭き取る。こうすることで組み込み時にタイヤレバーがかみ込みにくくなる。
エアーバルブプーラーを利用することでタイヤチューブをスムーズにセットアップすることができる。この工具を一度でも利用すれば、そのありがたさを理解できる。
スポーク側のバルブ穴からバルブプーラーを差し込み、タイヤ側から外にプーラー先端を引き出し、チューブのバルブコアを取り外してプーラーのネジ部分をセット。
エアーバルブプーラーのハンドルを引っ張りながら、タイヤの内側へチューブをゆっくり押し込んでいく。チューブを納めたらタイヤを組まずにエアーを少しだけ注入。
チューブが自立できる程度までエアーを入れたら、チューブがねじれていないか!? この段階で目視&指先確認しておく。確認後はバルブコアを外してエアーを抜く。
いよいよ組み込み開始。タイヤレバーを使いながら片側半分のビードを押し込んだら、さらにビードを奥まで押し込みつつ、180度反対側からタイヤレバーで組み込む。
黄色◎で軽点表示があったので、軽点とエアーバルブの位置を合致させる。バルブ部のチューブがタイヤビードにかみ込んでいないか!? バルブを押して確認しよう。
タイヤチューブにエアーを入れる。最初に3~4キロ注入してビードが全周出ているか確認し、その後にエアー圧を調整する。とりあえずは設定圧よりもやや高めに調整。
車体に組み込む前に、ビードラインがしっかり上がっているか!? 再確認しよう。チューブタイヤ/チューブレスタイヤいずれにもビード上がり確認用のラインがある。
パンク修理やタイヤ交換時に必要不可欠な各種工具。エアーバルブプーラーはあると本当に便利だ。タイヤレバーはクランク型を使ったが、これも使いやすいのでオススメだ。
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