
●文:モーサイ編集部(鷹橋公宣/元警察官)
交差点で右折待ちをしていて、反対車線の車両が道を譲ってくれたときなど、「ありがとう」という気持ちで「ピピッ」「ププッ」とクラクションを軽く鳴らしている人もいるのではないでしょうか。
ですが、本来の使用目的以外でクラクションを鳴らすと、厳密には道路交通法違反になります。
そんなクラクションの正しい使用方法/違反になった場合の罰則や反則金/実際の取り締まり状況などについて、元警察官/刑事の鷹橋公宣さんに解説してもらいました。
クラクションを鳴らしていい状況は2パターンしかない
道路交通法第54条には、クラクションの正しい使用方法が定められています。
- 左右の見通しがきかない交差点/見通しのきかない道路の曲がり角/見通しのきかない上り坂の頂上で、道路標識によって指定された場所を通行するとき
- 山地部の道路や曲折が多い道路について、道路標識によって指定された区間における、左右の見通しのきかない交差点/見通しのきかない道路の曲がり角/見通しのきかない上り坂の頂上を通行するとき
この標識で指定されている場所や区間では、“必ず”クラクションを鳴らさないといけません。
もうひとつが、道路交通法第54条2項にある「危険を防止するためやむを得ない」ときです。対向車がよそ見運転をしてセンターラインからはみ出してたり、見通しが悪い交差点で歩行者が飛び出してきたなど、危険を知らせて事故を回避する目的であれば、クラクションを鳴らしてもいいとしています。
そのほか「警笛鳴らせ」と「危険防止」の標識がない限り、基本的にクラクションは鳴らしてはならないというのが、道路交通法で定められたルールです。
クラクションに関する交通違反のペナルティ
クラクション(警音器)に関する交通違反は「警音器吹鳴義務違反」と「警音器使用制限違反」の2つがあります。
警音器吹鳴義務違反とは、見通しの悪い道路やクラクションを鳴らすよう指示する標識があるにもかかわらず、クラクションを鳴らさずに走行したときに成立する違反です。
もうひとつの警音器使用制限違反とは、「警笛鳴らせ」と「危険防止」の標識がない場所でクラクションを鳴らしたときに成立する違反となります。ですが、上記の道路交通法第54条2項のように、事故を回避するためなど状況に応じての使用は認められています。
それらに対する罰則や反則金ですが……
※本記事は2022年1月20日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
歩行者が消える?超危険な「蒸発現象」による事故を防ぐ方法 2024年10月、岡山県内の道路である現象が原因となる交通事故が起きました。横断歩道を渡っていた高齢の女性をクルマがはねた、という事故です。ク[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
レーダーでの速度取締の現場 赤切符と青切符の違いとは? 冬から春にかけては卒業や就職をひかえて新たに運転免許を取得する人が増えてくる時期です。自動車学校・教習所で習ったとおりの運転を心がけているつもり[…]
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
歩行者が消える?超危険な「蒸発現象」による事故を防ぐ方法 2024年10月、岡山県内の道路である現象が原因となる交通事故が起きました。横断歩道を渡っていた高齢の女性をクルマがはねた、という事故です。ク[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
意外と複雑な一方通行の表示 一方通行規制のおもな目的は、車両の相互通行による複雑で危険な交通状況を単純化し、交通の安全と円滑を図ることにある。とくに、道幅が狭く、歩行者や自転車の通行が多い住宅地や繁華[…]
[1] 7年目の高校生講習も秩父地域からスタート 埼玉県内を6地域に分けて全8回で開催される「令和7年度 高校生の自動二輪車等の安全運転講習」が2025年も始まった。 第1回目の講習会は、6月15日に[…]
レーダーでの速度取締の現場 赤切符と青切符の違いとは? 冬から春にかけては卒業や就職をひかえて新たに運転免許を取得する人が増えてくる時期です。自動車学校・教習所で習ったとおりの運転を心がけているつもり[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス 白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
人気記事ランキング(全体)
ファン+ペルチェでダブル冷却 山善のペルチェ ベストは、外径約100mmの大型ファン(厚み約38mm)で風を取り込み、さらに内蔵のペルチェデバイスで空気やウェア表面を冷やす仕組みを採用。保冷剤用メッシ[…]
コンパクトながら高出力のペルチェ冷暖ベスト おたふく手袋の「冷暖ペルチェベスト JW-699」は、USB PD対応の2万mAhバッテリーを標準付属。psEマーク取得のバッテリーで、最大連続使用は冷却の[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]
最外層にカーボンファイバーを使ったX-Fifteenの最高峰モデルが登場! 積層させた炭素繊維を樹脂で固めたカーボンファイバー(CFRP)は、軽くて強い素材だ。そのため航空機やレーシングマシンに使われ[…]
派生機種を生んだ素性の良さ GS750/Eの実質的な生産期間は約3年。とはいえ、派生機種として登場したGS750G/GL、排気量拡大版のGS850Gは’80年代半ばまで生産を継続。この点については兄貴[…]
最新の投稿記事(全体)
901への憧れから始まった”シンガー” シンガー・ヴィークル・デザインの創業者、ロブ・ディキンソンはアーティスト(歌手)として活躍していたこともあるのでSingerという会社名にしたという説と、ポルシ[…]
ZXシリーズに連なる新ライムグリーングラフィックとマットシルバーの2色を新設定 カワサキモータースジャパンは、ミドルクラスの2気筒スポーツバイク「ニンジャ650」の2026年モデルを発表した。搭載する[…]
ニューカラー採用、スペックや“カワサキケアモデル”に変更なし カワサキがアーバンクルーザー「バルカンS」の2026年モデルを発売する。2022年モデルの発売後、コロナ禍もあって国内導入が一時中断されて[…]
新ライムグリーンのほかグレー系2色も新ラインナップ カワサキは、4気筒600ccスーパースポーツ勢に対し37ccのアドバンテージを持つ「ニンジャZX-6R」の車体色を変更し、スマートフォンアプリの新機[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]