「意外とできそう…」ネットで買ったアクセルワイヤーが長すぎた時に役立つ、昭和テクをご紹介!【DIYカスタムのポイント】

微妙に長さが合わないアクセルワイヤー(スロットルケーブル)に悩んでませんか? そのままあきらめてしまったり、他のを探してゴミ箱に放り込んでしまう前に「DIYで長さを変える」工作にトライしてみましょう。 自己責任にはなってしまいますが、覚えていて損はないですよ~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル
ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「買ってみたケーブルの長さが合わなかった!」なんてことありませんでしたか?
ネットショッピングの普及によって、昔よりもアフターパーツの選択肢が増えた一方で、純正品のようなドンピシャリとはいかず、商品説明にある長さと微妙に違うってパターンが増えてるような…。気のせいでしょうか?
じつは、筆者もそんな状況に陥ったわけで。アクセルワイヤーをネットで買ってみたものの、微妙に・・・ いや豪快に長さがあっていなかったのですよ。
キャブレターを交換したので、それに合う長さを選んだはずが・・・
ホラ。あきらかに長いのです。
寸法の測り間違いか? いやいや、ワイヤーのバリエーションが多かったせいか、なんか説明欄がとっ散らかっていたようで、6センチほど長いのですよ。開封しちゃったし返品も効かない。トホホ・・・。
コレ、見た目も悪いのですが、それだけじゃなくて、ハンドルを切った時にワイヤーがカウルステーに引っかかっちゃってアクセル操作が変わっちゃうんですよね。
つまりどういうことかというと、ハンドルを切ったりUターンをしようとすると、いきなりエンジンの回転数が上がる(!)という、まことに怖い仕様になっているのです。
アクセルワイヤーを短く加工してみる
そんなわけでアクセルワイヤーを短くする加工をしてみます。じつはこれ、特別な技術でもなんでもなくて、昭和の時代から手先が器用な人だったら当たり前のようにやっていた加工だそうです(昔の人ってホンっとになんでもできたよね・・・)。
ついでに言えば自転車などは自分でワイヤーの長さを調整したりしますしね。もっともバイク用はかかる力が違うので、ワイヤーそのものが太かったり作りがシッカリしてたりはしますが、基本的なやり方はほとんど同じです。
上がバイク用、下が自転車用です(ほとんど同じ)
インナー長とアウター長の関係
アクセルワイヤーの長さを変えるといっても、今回のように「全長を短くする」といった加工のほかに、アウターとインナーの長さバランスを変える、という加工もあります。
たとえば、スロットルホルダーでいくら調整してもアクセルの遊びが大きすぎる場合は「アウターに対してインナーを短く」したり、逆にアクセルの遊びが無さすぎるときは「アウターの長さを詰めてインナーの露出を長くする」といった加工方法があります。
どれもこれも基本的には、下記4つの手順。
- タイコを切断
- ケーブルを分解
- 長さ調整
- 再度組み立て
ちなみに、分解ついでに部品を交換することでストレートをアングル型にしたり、長さ調整のアジャスターを組み込んだりと、それこそ自由自在に改造することも、ケーブルそのものを自作することもできるようになるので、覚えておいて損はないテクニックなのですよ!
ケーブルの分解
ケーブルを分解する前に必ずやっておかなければならないのが「長さを測っておくこと」です! 元の寸法がいくつで、どれぐらいの寸法にするのか。インナーとアウターを別々にしっかり計測しておくことをおすすめします。モノによってはミリ単位で操作性が変わってくるので、ここはひとつ慎重にお願い致しますね。
今回は小さいほうを切ろう
寸法が決まったらお次はどっちのタイコを切るか決めましょう。ここからは不退転の覚悟。ちょっと怖いけど思いっきりいっちゃいましょう。
ワイヤーカッターでカット!
アウターのエンドキャップは形状にもよりますが、火で焙ることでカシメがゆるんで外れるパターンが多いようです。今回のキャップは薄くてシンプルなので、ライターで5秒間炙れば・・・「すぽっ」と抜けます。
長さを調整(慎重に!)
ここからはまさに「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」のココロ。先ほど測った寸法をもとに、アウターをカットします。
切ったアウターは切断面が荒れているので、千枚通しなど先端が尖ったもので潰れた内側を拡げて、
ささくれ部分はヤスリで整えます。
ここでワイヤーを通してみてスルスルと抵抗なく通ればOK。インナーとアウターの長さが計画通りの寸法になってるのを確認したら、ここから組み立て工程に入ります。
組み立て(エンドキャップの装着)
アウターのエンドキャップの取り付けは分解の時と基本的に同じで、キャップを軽めに炙って加熱してからアウターをズボッと差し込みます。
もし差し込み量が甘い時は、追加で炙ることで、しっかり奥まで差し込むことができるはずです。これでアウターケーブル完成!!
さあ、残るは難関の「タイコの作成」です。
「タイコ(細)」を新しく作ろう
今回は細いタイコを作ります。用意したのは太さ3ミリの銅パイプ。
これをダイヤモンドカッターで切断して…
ワイヤーの先端に被せます。
銅パイプの位置が変わらないように卓上バイスでワイヤーを固定すると作業が楽でしょう。
ここから半田付けをするのですが、ちょうど銅に使える板金用のハンダを使うことにしました。
まずはフラックスを染み込ませて、半田ごてでしっかり温めます。
十分温まったところでおもむろに半田を流し込みます。
「ジュッ。」勝負は一瞬でしたね。本当にあっけないぐらい。
一瞬で半田が染み込んだのですが、どうかな・・・? 全然溶け込んでる気がしなかったのですが・・・。
横から見てみると銅パイプの後ろ側のワイヤーにまで半田が染み込んでいるのを確認できたので、文句なしの強度に出来上がってるようです。初挑戦にしては、うまくいったのではないでしょうか!? ヤター!
【祝】改造スロットルケーブル完成!!
完成したケーブルをスロットルホルダーに取り付けて
車体に取り付けて、キャブレターに接続します。そして・・・いかがでしょうかっ!?
さっきまで長すぎたケーブルがすっきりカウル内に収まってくれました~。ハンドル切っても引っかかることなくスムーズに動いてくれます(ヤター×2)。
最終チェックも怠りなく
取り付けただけで安心してしまいがちですが、最後まで気を緩めずにチェックを怠らないようにしましょう。
スロットルホルダーの調整をして、アクセルの遊びをチェックします。
- スロットルにきちんと遊びがあるかどうか?
- ハンドルを切ってもエンジンの回転数が変わらないかどうか?
- ケーブルが無理なくフレームの中を通っているかどうか?
一通りチェックして問題がなければ、改めて完成の喜びを味わいましょう♪
自己責任だけれども覚えていて損はない
最後になってしまいますが、ケーブルの改造はあくまで自己責任になってしまいます。なにせ自分で加工するわけですから、長さ調整を間違えてしまったり、ハンダ付けが強度が不十分だった場合、走行中のトラブルに直結しかねないので、上級者向けといえます。
とはいえ、特殊な改造したバイクや絶版車など、自分が欲しい長さのアクセルワイヤーが手に入らないというシーンもあるのは確かです。そんな時に自分で長さを変えることができると、知っておくだけでも損はないと思いますよ~。
加工するのに手間も時間もかかりますが、シンデレラフィットのケーブルを探すのもなかなか大変ですからね! この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
燃料コックにも涙? それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。 何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~![…]
ひと昔のバイクは一年中暖機運転が必須でした 昔のバイク…と行かないまでも、1990年代末ぐらいまでのバイクは、一年中エンジンの暖気が必要不可欠でした。とくに2サイクルエンジン車は、冬はなかなかエンジン[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
古いゴムは硬化するのが自然の節理、だが・・・ ゴム部品は古くなると硬くなります。これは熱・酸素・紫外線などによる化学変化(酸化劣化)で、柔軟性の元である分子の網目構造が変化したり、柔らかくする成分(可[…]
必要なのはキャブ本体とパーツリスト! 燃調キット開発プロセスとは 日本製自動車の性能は優秀で、日本国内で役目を終えた後も中古車として世界各地に輸出され、何十年という時を経ても現役で活躍していることが多[…]
40%OFFもある! オトクな7アイテム アストロプロダクツ AP ミニタイヤゲージ:32%OFF ツーリング先やガレージでの日常点検に役立つ、手のひらサイズのミニタイヤゲージだ。とてもコンパクトなの[…]
原付でエンジンがかからない主な原因 「原付 エンジン かからない 原因」とネット検索する方が多いように、バッテリー上がりやプラグの劣化、燃料不足など、複数の原因によってエンジンを始動できなくなるケース[…]
最新の関連記事(工具)
40%OFFもある! オトクな7アイテム アストロプロダクツ AP ミニタイヤゲージ:32%OFF ツーリング先やガレージでの日常点検に役立つ、手のひらサイズのミニタイヤゲージだ。とてもコンパクトなの[…]
製品の概要と価格情報 デイトナ(Daytona) オイルフィルターレンチ 96320は、カートリッジタイプのオイルフィルター脱着専用工具。仕様は14面 64mmで、ホンダ/ヤマハ/カワサキ向けのデイト[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
フレキシブルプラグソケット:スリムな外径で汎用性をアップした、ユニバーサルジョイント一体ソケット 最初は指でねじ込んで、ネジ山が噛み合ってからプラグソケットを使うのが理想だが、雌ネジがプラグ穴のはるか[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
人気記事ランキング(全体)
世界初公開の2機種はいずれもモーターサイクル カワサキが発表したジャパンモビリティショー2025出展モデルで確定しているのは、日本初公開となる「Z1100 SE」、スーパーチャージドエンジンを搭載した[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
ENGINE:世界最速を目指してたどり着いた型式 ヤマハやスズキのような“専業メーカー”ではなかったけれど、’54年から2輪事業への参入を開始したカワサキは、基本的に2ストロークを得意とするメーカーだ[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
最新の投稿記事(全体)
防水・防寒性能も万全。オールシーズン対応のスタイリッシュパーカ:MOBLAST WP JACKET 街の景色に溶け込むことを意識した、スタイリッシュな防水パーカ。メイン生地に防水メンブレンとソフトシェ[…]
最新Z900/Z500らに共通する3眼LEDヘッドライトやファットバーを採用してデザイン刷新 カワサキは欧州で、2026年モデルとして新型車「Z650 S」を発表。つい最近、スタンダードの「Z650」[…]
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
北米レブル300にEクラッチ仕様が登場 ホンダEクラッチが世界戦略進行中だ。欧州で人気のグローバル車・CBR650R/CB650Rを皮切りに、日本では軽二輪クラスのベストセラーであるレブル250に搭載[…]
兄貴分とは一線を画す軽さと扱いやすさ ’72/’73年にZ1/2を世に送り出した直後から、カワサキは新時代の4ストモデルとして、コミューターの400RS、W1系の資質を受け継ぐZ750ツイン、Z1/2[…]