白バイ風のバイクやコスプレって問題ない? 逮捕はありえる?【元警察官が解説】
警察官の模倣は問題ない?
警察官や消防士、医師など特殊で制服を着用する職業の模倣をしてはいけない、ということは周知のことではありますが、そのボーダーラインが曖昧だという声もあがっているようです。その職業になりきって楽しみたいのか、他人の目を欺きたいのか、ただ単に注目されたいのか、いろんな動機があるかと思いますが、そういった動機や目的によって罰則も変わってきます。
逮捕されることある
そういった模倣をすることによって、逮捕されることもあるのか、といった質問が多く寄せられているのでその点についてお話させていただきます。ここでは警察官の場合に限定して解説いたします。
結論から言うと、逮捕される可能性は十分にあります。どういった罪にあたるのかと言ったら、それは軽犯罪法違反、道路運送車両法違反、刑法違反が考えられ、その根拠付けとして、道路交通法や警察法等が関連してきます。
道路運送車両法における違反
道路運送車両法においては、「何人も、保安基準に適合しなくなるような自動車の改造、装置の取付け、取り外し等(不正改造行為)を行ってはならない」との規定があります。これに基づいて、白バイやパトカー風にカスタムすることが、その度合いによっては違法行為とみなされ、逮捕されることもあります。
例えば、車体を白色に塗ったり、青い服を着用したりするだけであれば、問題はありません。ですが、「警察」とか「公安」とか「POLICE」といった文字や警察の紋章をペイントするとか、警察車両特有の回転灯などの装備をつけるとか、そういったことをしてしまうと不正改造行為にあたるため、逮捕の対象となってきます。不正改造車両とみなされると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになりますが、過去には、書類送検された事案もあります。
軽犯罪法における違反
警察官に似た格好をすることで、誰もが逮捕されるわけではありませんが、前述したように模倣の度合いが高くなれば、道路運送車両法違反に該当します。
一方で、模倣の度合いが高くなくても逮捕される可能性があります。それはどういったときなのかと言うと、警察官であると思わせよう、誤認させよう、といった意思がある場合です。これは、軽犯罪法違反に該当します。
道路交通法において、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止すること」が定められています。これを実現させるために、警察官が交通取締りを行うわけです。なぜ、警察官が交通取締りを行うことができるのか、警察官でなければやってはいけないのか、ということの根拠が警察法に明記されています。
警察法2条において、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする」と定められています。つまり、これらが警察官の仕事にあたります。余談にはなりますが、警察学校に入校するとまず、この警察法第2条の文言を丸暗記して、いつでもどこでも言えるようにしておかなければなりませんでした。
上記から「交通取締りを行っている」と誤認させる目的で模倣した場合も、軽犯罪法違反に該当します。
刑法における違反
刑法においては、「行使の目的で公務所の記号を偽造した者、不正に使用した者は3年以下の懲役に処する」との明記があり、公記号偽造及び不正使用等罪にあたるとされています。
どうしても白バイコスプレしたいときは自宅で楽しもう
白バイやパトカーをカスタムして、警察官を模倣した際、逮捕される可能性について述べてきました。ですが、これらはあくまでも公道を走るとか、公の場に現れるといったケースに限った話。どうしてもやりたい場合は、自宅や私有地で行うといいかと思います。公道や公の場でなければ、何の問題もありません。「常識の範囲内で」と言いたいところですが、「常識」というものは、人それぞれ違うものなので、そういった言葉で片付けるのは無責任かもしれませんね。
どこまでが許されて、どこからがアウトなのか。軽犯罪法に関しては、警察官がどう判断するかに委ねられてくるので、実は明確な基準というものがありません。なので、私としては、周囲に誤解を与えない、私有地で好きなだけ楽しんでほしいな、と考えています。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(宅島奈津子)
オートバイのメンテナンスは大切 オートバイや乗用車に限らず、どんな乗り物でもメンテナンスは必要不可欠です。定期的にメンテナンスを行うことで、長く乗り続けることができるだけでなく、事故を防ぐことにもつな[…]
基本的なライディングフォーム バイクファンであれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、時に白バイ隊員は公道を走るスペシャリスト集団とも言われています。ですが、走行中はライディングフォームを意識す[…]
寒い時期のツーリング 冬はライダーにとって、本当に過酷な季節です。急激に気温が下がったりしてきましたが、オートバイに乗られているみなさんは、どういった寒さ対策をしていますか。 とにかく着込む、重ね着す[…]
みなさんは、トライクという乗り物をご存知でしょうか。ライダーであればほとんどの方が、目にしたことがあるかと思います。なかには乗ったことがある方も、いらっしゃることでしょう。 このトライク、語源はトライ[…]
交通取締りが行われている場所 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なくないので[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
突然の交通取り締まり! 違反をしていないときでも… 交通ルールを守って安全運転に努めているのに、とつぜん取り締まり中の警察官に止められてしまった経験がある方は多いはずです。 「え? なにか違反した?」[…]
しっかりとした防寒対策をすれば冬ならではの魅力が楽しめる! じっとしているだけでも寒い季節…さらに走行風を浴びるバイクって何が楽しいの? と思われる方も多いかもしれません。たしかに寒さの感じ方は、人そ[…]
一般人ほど相続に気をつけろ! “相続”は「金持ちの問題」と思っている人が多いようですが、それは大間違い! 少しでも物やお金を持っていれば、相続は誰にでも関係します。そして、一般人ほど面倒です。 お金持[…]
デイトナを制した伝説のマシンが代官山に出現! 日本が世界に誇るサンダンスハーレーのレーシングマシン「Daytona Weapon I」と「Daytona Weapon II」が、代官山蔦屋書店(東京都[…]
白バイ隊員はバイクバカ⁉ 白バイに乗りたい、白バイ隊員になりたい、と白バイ隊員を目指す警察官のなかでバイクに関心のない人はいないと言い切っていいかと思います。少なくとも私が知るなかではひとりもいません[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
振動、路面を蹴飛ばす感じ、エンジンで走らせる気持ちよさ バイクはエンジンを懐に抱えて走るような乗り物だ。単純にライダーとエンジンの距離が近いことがエンジンの存在感を大きく感じさせるだけではなく、エンジ[…]
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
Screenshot 未塗装樹脂の白化 バイクのミラーや泥除け(フェンダー)、樹脂製リアボックスなどに使われている黒い未塗装樹脂部品。ここに使われている素材の多くは「ポリプロピレン」という軽くて丈夫な[…]
スイングアームにスプールを装着できれば、アドベンチャーやオフ車でもガレージREVOが使える スーパースポーツモデルやビッグバイクユーザーのみなさんからご好評をいただいているガレージREVOは、バイク置[…]