コーナリングやスラロームもできちゃう
走りが違う電動キックボード!? デイトナDK01はバイク乗りも楽しめる![EV試乗レビュー]

●文:[クリエイターチャンネル] 増谷茂樹
昨年の道交法改正によって生まれた新たなカテゴリーが特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)。最高速度20km/h以下の電動モビリティを対象としたカテゴリーで、年齢が満16歳以上であれば、免許不要で乗れることもあって注目が集まっています。シェアリングサービスで使われる電動キックボードが注目されていますが、バイク乗りにもおすすめしたいモデルに出会ったので紹介させてもらいます。
自転車以上、バイク未満の乗り物!?
特定小型原付のメリットは、なんと言っても免許不要で乗れること。免許がなくても乗れる動力のある乗り物としては、前回紹介したe-Bike(電動アシスト自転車)もありますが、ペダルを漕がなくてもいいという点では、特定小型原付の方が楽に走れるといえます。
走れる場所は車道の左側が基本で、交差点などは二段階右折が必要。6km/h以下での走行モードを備える”特例”特定小型原付モデルであれば、自転車通行が許される歩道を走ることもできます。ヘルメットの着用は努力義務で、法規的にはe-Bikeを含む自転車と同じといえるでしょう。
実際に乗ってみると、アクセルレバーの操作だけで20km/hの速度で移動できるのは、都市部では結構快適です。電動アシスト自転車なら24km/hまでアシストが効きますが、シェアリングサービスで使われている電動アシスト自転車と比較しても、移動の楽さという点では同等。ただ、e-Bikeといったスポーツタイプと比べると長距離移動ができないですし、移動スピードも劣るという印象でした。
レンタルのものとは違う!? デイトナの「DK01」
シェアリングサービスの電動キックボードを利用したことがあるという人もいるかもしれませんが、正直なところ”乗って楽しい”ものではないという印象ではないでしょうか?
「そういうもの」だと思っている人も少なくないと思われますが、色々なタイプの特定小型原付に乗ってみると印象が異なるものもあります。その筆頭がデイトナが手掛けた「DK01」というモデル。2024年春発売予定のモデルですが、プロトタイプに試乗することができました。
デイトナといえば、バイクのカスタムパーツのメーカーとして知られていますが、実はオリジナルのe-Bikeなども製造/販売しています。この「DK01」を手掛けたのもそのE-MOBILITYグループ。随所にe-Bike製造で培ったノウハウが注入されています。
シェアリングサービスで使われている電動キックボードは、メンテナンス性を考慮してエアタイヤではないものが装着されていたりしますが、「DK01」は12インチのエアタイヤ。サスペンション機構は装備されていませんが、径が大きいこともあって段差などにも強い作りになっています。
「DK01」の大きな特徴は足を置くステップが左右に分かれていること。足を縦に並べて乗る電動キックボードが多い中、フレームを挟むように横並びで乗ることができます。これも左右のステップに荷重して曲がれるように考えられた設計です。また、ステップ長が短いので、ホイールベースを短くする効果もあります。
バイク乗りでも楽しめる乗り味
実際に乗ってみると、アクセル操作に対して俊敏に加速する感覚が味わえます。最高速度は20km/hという制限があるので他の電動キックボードと変わりませんが、そこに至るまでのスピードが速い感じ。また、アクセルでの車速調整もしやすい。電動キックボードの中には、アクセル操作がONとOFFしかないような車種もありますが、アクセルに応じたモーターの制御が緻密でコントロールがしやすい印象でした。
そして、乗っていて楽しくなるのがコーナリングやスラロームのような操作。シェアリングサービスで使っているような電動キックボードは、ハンドル操作で曲がるのか車体を傾けて曲がるのか今ひとつハッキリしないようなハンドリングですが、「DK01」はちゃんとセルフステアが効きます。左右のステップを踏むように荷重移動すると、車体が機敏に反応するのでそれも気持ちいい。慣れてくると、タイヤを潰して曲がっていく感覚も味わえました。
これまで楽しい乗り物だとは感じていなかった電動キックボードですが、「DK01」はバイクや自転車に乗るのが好きな人たちが作っただけあって、”乗って楽しい”仕上がりになっていました。免許不要で乗れることから、電動キックボードに対してあまり良いイメージを持っていなかった人もいるかもしれませんが、乗って楽しいモデルがあれば2輪車の面白さを体感できる入口になってくれるかもしれません。そんな可能性を感じた試乗体験でした。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(増谷茂樹)
クルマと比べると遅れはあるものの、徐々に電動マシンも姿を現してきているバイク市場。ですが、同じ2輪でも、電動化がクルマよりもはるかに進んでいる領域があります。それが電動アシスト自転車。 2022年の電[…]
ホンダは先日、2030年までに電動2輪車に合計5000億円を投資することを発表。同年までに30機種の電動モデルを投入することも合わせてアナウンスしました。ホンダはこれまで、電動バイクはリース販売という[…]
クルマの世界に比べて、電動化では遅れを取っているように見えるバイクですが、ここに来てようやく電動化の波がやってきたようです。先日まで開催されていたJapan Mobility Show 2023の会場[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
ついに見つけた、生存者……! 箱根、海ほたる、日光いろは坂など、ツーリングの名所を電動化したセローで2人の少女が巡る。誰もいない、ひどく荒れ果てた終末世界をバイクでトコトコ駆け回るツーリングコミック『[…]
「世界も滅んだし、セローで旅に出よう」…225改の電動セローで“終末ツーリング” 終末世界をトコトコと。箱根の山から都内へと抜け、人々の姿がなくなった都市を散策する。抜群の機動性を誇り、今なお名車と呼[…]
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、20[…]
根強い人気のズーマー 2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフ[…]
グローバルサイトでは「e-アドレス」「アドレス125」と表記! スズキが新型バッテリーEV(BEV)スクーター「e-ACCESS(e-アクセス)」、新型スクーター「ACCESS(アクセス)」、バイオエ[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
【岡崎静夏 おかざき・しずか】ルックスはキュートなバイク女子。走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!! E-クラッチがもたらす超スムーズな変速に感動 今[…]
ラインナップ豊富な新生KLX230シリーズ カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させた。 KLX230[…]
BMWが打ち出すベテラン用オートマチック 違和感はなく、慣れという意識も必要なかった。走り出して10分もすると、僕はASA(オートメイテッドシフトアシスト)のコツを掴み、その機能をより効率良く活用する[…]
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキは、KLX230シリーズのモデルチェンジ時点で、トレッキングモデル「KLX230シェルパ」をラインナップに加えた。シェルパの名を冠したバイクとしては[…]
車体の刷新でスポーツ性を大幅強化 今回の倒立フォーク化&ラジアルマウント化のモデルチェンジでは、本来約4.5kgの重量増になるところを、MT-07ならではの軽さに拘って各部を軽量化。車体のねじれ/縦方[…]
人気記事ランキング(全体)
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
2.5次元アイドルがアンバサダー!? モーターサイクルショー開催概要 東京モーターサイクルショーの共通するメインテーマは、「いいね、バイク」。大阪のサブテーマには「バイク&ピース」、東京には「バイクっ[…]
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
その名も「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」だ! ホンダが全く新しい4ストロークV型3気筒エンジンのコンセプトモデルを公開したのは、2024年秋のEICMA(ミラノショー)でのこと。かつて[…]
最新の投稿記事(全体)
【岡崎静夏 おかざき・しずか】ルックスはキュートなバイク女子。走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!! E-クラッチがもたらす超スムーズな変速に感動 今[…]
QBRICK(キューブリック):据え置き/持ち運びどちらもOK。多彩なボックスを連結して自分仕様の収納ができる 共通のジョイント機構により、多様な形状や容量のボックスを自由に連結、分割できるQBRIC[…]
新5色ラインナップとなった2022年モデル 2022年モデルが発売されたのは、2022年6月23日のこと。2021年のフルモデルチェンジの際には、新設計の水冷エンジンが4バルブの「eSP+(イーエスピ[…]
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
筑波サーキット向けにカスタム中 「X350ウィズハーレー編集部号」は、2024年12月現在、サーキット、とくに筑波サーキットでタイムを削るためのカスタムを進めている。過去、全日本選手権に出場し、筑波サ[…]
- 1
- 2