
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
最近DtoCというビジネスモデルが注目を浴びています。
既存の商品流通は、工場が生産したものをメーカーがパッケージ化し、小売店が販売するというもの。
3社が利益配分するため販売価格は必然的に高くなりますが、最近は工場が自社でパッケージ化してECサイトなどで販売するDtoCモデルが増えています。
ヘルメット業界にもその波は来ており、台湾や中国のヘルメット工場が製造から製造販売にシフトしつつあります。
台湾のアストンアジア社は今までメーカーの製造を受託するOEMがメインでしたが、現在はメーカーとして、フランスでグラフィックデザイン、台湾で設計・開発・製造を行っています。
今回は日本で代理店を務めるハトヤさんから製品サンプルをお借りすることができたので、ご紹介します。
GT-1000Fの付属品
付属品は取扱説明書とヘルメット携行用の袋のみ。袋は黒字にアストンのロゴが入っています。紐は長めですが一番搾っても肩掛けすることはできません。
取扱説明書は各国からOEM製造を請け負っているだけあり、7か国語対応でした。
シールドの外し方など日常的なメンテナンスに関しては、図解がついた日本語マニュアルも付属されているため安心です。
GT-1000Fの見ため
帽体にカーボンを採用しているのが最大の特徴と言いたいところですが、カーボン上のクリア塗装が個性的。
一般的な透明クリアと異なりパールが入っていますが、見る角度によって緑にも青にも見えます。クリアの下には綾織のカーボン目がしっかり透けて見えており、他にはない独特の見た目となっています。
カーボンの継ぎ目はセンターではなく左右一か所ずつと、顎の部分左右二か所にあるので型が4分割なのかもしれません。
面白いと感じたのは額のエンブレムです。クリアの上か下にロゴステッカーが一般的ですが、立体エンブレムが貼られています。
ASTONのロゴはヘルメット左右と後頭部に貼られていますが、後頭部にはフランス国旗デザインも配されています。
あまり派手なエアロ形状を採用してはいませんが、後ろ側アウトレット付近を中心にエッジが立っています。
ヘルメット下部には樹脂系の黒いパーツが貼られており、デザインのアクセントとしつつ印象を引き締めています。
GT-1000Fの機能性
インナーバイザー付きヘルメットですが、出し入れのノブ形状が個性的。鳥のくちばしのようなノブがヘルメット左側淵から少し上についており、ノブを前に押すとカチッという音と共にインナーバイザーが飛び出します。ノブを後ろ側に押すとシュッと収納される仕組みです。
インナーバイザーの出し入れはスライド式が多いですが、一発でシュッと出し入れできるのは使い勝手良好です。
ベンチレーションは口元一か所、額に一か所、開閉可能なアウトレットが後頭部に一か所です。
額のベンチレーションは空けると左右に穴が2か所あるので走行風をしっかり取り込めそうな見た目です。
口元のベンチレーションは顎下とシールドの曇りを取るためにノーズガード裏側に誘導されています。
シールドはタテに広く開口部が広めなので視認性が良さそうですが、曇り止め加工もされています。シールドの開閉は左下淵の突起を使う形。センターロックが苦手な人には嬉しい設計です。
標準はクリアシールドですが、スモーク、クロームシルバー、クロームレインボーといったミラー系も用意されています。お値段はスモークが3850円、ミラー系は4400円です。
顎紐に関してはDリング式。カーボンを採用した軽量ヘルメットなのでラチェットバックルより軽いDリングは歓迎したいところです。
下からの巻き上げ風を防ぐチンカーテンも標準装備となっています。ややコンパクトに見えますが効果は実際に走行してチェックします。
面白いオプション品としてはバックスポイラーがあります。もともとエアロダイナミクスを意識した形状ではありますが、更にヘルメットの揺れを軽減し、ダウンフォースを発生させることで高速走行時の安定性もアップするのだとか。
実際に使ってみて気になるようであれば追加しても良いかもしれません。
GT-1000Fの内装
内装はトップ、チークパッド左右、チンカーテンが取り外し可能。顎紐カバーは固定されているので外すことができません。
脱着の仕方で特徴的なのがチンカーテンです。一般的なチンカーテンは帽体と内装の隙間に差し込むタイプが多いですが、こちらはボタンで固定する形になります。
今回はMサイズをお借りしましたが、全体的に内装のクッションは厚め。商品ページでは言及されていませんが帽体は一つ、内装でサイズ調整しているのかもしれません。
トップ内装の頭頂部には樹脂パーツが配されており、内装がフローティングされているのも面白い特徴です。
チークパッドもクッションが厚めですがこめかみ付近は薄め。眼鏡のツルが入りやすいように工夫されています。
肌に当たる部分はアストンのロゴが入っており目を引きますが、吸湿性に優れた生地を採用しておりべたつきを防ぎます。
内装を外した帽体をチェックしてみると、耳の部分にはインカム用スピーカーホールがありました。深さはしっかりありますが、直径は4cm程度なので大きめのスピーカーは収まらないかもしれません。

後頭部にクッションが一枚貼られているのにも気が付きました。サイズ調整用のものだと思われるので大きめのサイズでは薄いか、もしくはついていないかもしれません。
重さ
Mサイズを重さ測定してみたところ、1417gでした。インナーバイザー付きヘルメットは平均的に1600g前後なので驚異的な軽さと言えます。
しかもこれは内装が分厚いMサイズの話なので、LやXLサイズは1300g前後と思われます。
サイズ・フィット感
SHOEI、Arai、Kabutoなどの国内メーカーヘルメットはいずれもMサイズでピッタリの頭ですが、アストン GT-1000FもMサイズで問題なしでした。ただ頭回りのサイズ感に関しては若干緩めに感じました
。アストンのヘルメットはフルフェイスタイプでも9800円からと激安。国内ヘルメットメーカー製品も価格が安いモデルは被りやすさを優先して、サイズ感は少々ゆったりさせている傾向があるので、アストンも同様かもしれません。
ただチークパッドのフィット感はしっかりしています。頬が潰れて喋りにくい事はありませんが、しっかりフィットしています。
GT-1000F実際に被って走ってみた
走り出して最初に感じるのは静粛性の素晴らしさです。カーボン+角度によって色味が変わる特殊塗装は原価も高いはずなので、性能面はそこまで期待しておらず良い意味で裏切られました。
チンカーテンがコンパクトで薄い事を懸念していましたが、顎下ぐらいまで弱い風が入ってくる程度で、耳の方まで風が入ってくることがなくヘルメット内の密閉度が高く静粛性に優れています。
帽体は1400gと軽量ですが、こちらは正直数値ほどの軽さは感じませんでした。おそらくサイズ感が少々ゆったりしていることが原因かと思われます。
ただ一般的なインナーバイザー付きの1600g程度のヘルメットと比べると軽く感じるのは間違いありません。重さを理由にインナーバイザー付きを諦めていた方にもお勧めできます。
しばらく走ってベンチレーションを全開にしてみましたが、口元は唇ぐらいまで風が入ってくるようになり、下道でも程よい感じでしたが、高速道路では少々寒く感じるほどだったので閉めました。
頭頂部のベンチレーションは下道ではあまり効果を感じませんでしたが、高速道路に入って70km/hぐらいからは効果を感じられるようになりました。
また当日乗っていたバイクのポジションが直立に近かったため、お尻を後ろにずらし軽く前掲の状態で上をのぞき込むようにしてみたところ風の流入量が増えました。
高速道路では100km/hぐらいまでスピードを出してみましたが、90km/hぐらいから多少ヘルメットが振られる感覚がありました。
僕は長距離走るのにも支障がない程度と感じましたが、気になるならオプションのバックスポイラーをつけてみてもいいかもしれません。
見た目だけじゃない基本性能もバッチリ
特殊塗装とカーボンが目を引きますが、想像以上に基本性能が高いヘルメットでした。
- 人とは違った見た目のヘルメット欲しい
- 3万円以下で高性能なヘルメットが欲しい
上記どちらかが当てはまるならお勧めです。ぜひ一度メーカーページをご確認ください。
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