中国製エンジンでママチャリをオートバイに! 2本チェーンは外観がシュールすぎ?〈自作モペット製作記 #7〉

自分でバイクを作っちゃう「自作モペット製作記記」第6回目。今回の作業はこれまでの集大成! …ですが、ハッキリ言って地味。なんたって、「チェーンを取り付ける」だけ、ですからして。でも、ここで破綻しないようにこれまで頭を使ってきたんですよ~!! そしてやっぱり、今回も簡単にはいきません。ぜひぜひご覧ください~!
●文:[クリエイターチャンネル]DIY道楽テツ
いよいよエンジンと後輪をつなぐチェーンを取り付け。しかし…?
今回の作業は、はっきり言って地味です。でもこれがなくては絶対走ることができないアイテムを取り上げます。それは、エンジンの動力を後輪に伝えるドライブチェーン!
と言っても、ただのチェーン取り付けと思うことなかれ。このチェーンが取り付けられるかどうかは、ここまでの作業の成果が問われるのですよ。
ちなみに、この自作モペット用エンジンに使われるチェーンは#415サイズ。
原付バイクなどに使われる#420サイズよりもひとまわり細くて、レーサーのRS125とかに使われるサイズです。日本で手に入らないサイズだったりするとお手上げになってしまうので、その点では助かりました。
余談ですが、安物の中国製のキャブレターを買うと、中のジェット類が日本では手に入らない種類のものが使われている場合があって、そんな時はセッティング用のジェットが手に入らずにお手上げになってしまうこともあるのです(経験談)。
話を戻して、早速作業に取り掛かりましょう!
チェーン取り付け前にクラッチ機構の整備が必要でした
ドライブチェーンの取り付けは基本的に通常のオートバイと同じ。エンジン本体のドライブスプロケットから、後輪のドリブンスプロケットへチェーンを掛ければOKとなります。
ところがこのドライブチェーンが曲者。自転車の細いフレームとタイヤの間を、どこにも干渉することなくうま~く通さないといけません。
このチェーンラインを意識してエンジンの搭載位置を考えたのですが、ここで問題が起きれば事前に頭を悩ませた意味もなく、苦労がすべて無駄になります。
と、その前に小トラブル発生。ドライブスプロケットが回りません。
というのもこのエンジン、ギアも何もなくてクランクから直結という仕様。クラッチを切らないとスプロケットを回せず、チェーンをうまく噛ませることができません。
それではと、スプロケットカバーを外してチェーンを外側から被せようとも思ったのですが…これも隙間が少なすぎてできませんでした。
スプロケット自体を外してチェーンを繋いでもいいのですが、どうせあとで演る予定だったので、先にクラッチレバーを取り付けてしまいましょう!
クラッチレバーをマウント…する代わりに後輪用ブレーキレバーを取り外し
クラッチレバーホルダーの取り付けは特に難しいことはなく、ハンドルに通すだけ。でも、ここで大きな課題が出てくるんですよ。
賢明な読者の皆様だったら、もうお分かりかもしれませんが、ここにクラッチレバーを取り付けるためには、ブレーキレバーを取り外す必要があるんですよ(ノ∀`)アチャー。
最初から分かっちゃいたんですけどもね(笑)。
現時点ではクラッチレバー装着を優先するので、とりあえずは取り付けてしまいますが…。最終的はクラッチ操作と、後輪ブレーキの操作を共存させなければ、とてもじゃないけど走らせることはできません。
実はこの段階では、まだ解決策を思いついておりません。ですけども、いくら頭の中で考えても、どうしようか思いつかなかったので、これから実際に作業しながら考えていきたいと思う訳です
「カスタムは会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」(←古い)ってことで、今回はチェーンの取り付けに集中いたします。
チェーンがダルダル…弛みを取るため、ナゾのチェーンスライダーを取り付け
ドライブチェーンを取り付けて、無事回ってくれたといってもこの状態。ダルンダルンです。とっても緩くて、このまま走ったら速攻でチェーンが外れてしまうでしょう。
「そんならチェーン調整すれば?」って流れになると思うのですが、そうはいかないのです。
実はこのあと、もう一本のチェーンを取り付けます。そう、それはペダル~クランクから延びる「人力で漕ぐ」駆動用のドライブチェーンで、そちらは従来のまま後輪のチェーン引きでチェーン調整をします。
「人力駆動用」のチェーン調整を後輪で行ってしまっているので、こちらの「エンジン駆動用」のチェーン調整は別途用意する必要があるわけです。
てことで、ここで付属部品の「チェーンスライダー」が登場です。
丸パイプに取り付けられるステーに上下調整式のローラーが付いているシンプルなもの。バネなどの構造はないので、自動調整ではないぶんちょっと取り付けがシビアになりそうですね、こりゃ。まるでホームセンターに売っている部品を組み合わせたよう…。 [写真タップで拡大]
ここは慎重にならざるを得ません。なんたって、チェーンの張りを調整するのもそうなのですが、このスライダーの位置によって左右方向のチェーンラインも決まってしまうので、この調整を失敗すると走行中のチェーン脱落は必至。
ていうか、こんな重要なパーツをシンプルな丸パイプ取り付けの金具だけで組み付けるのだから、ちょっと怖いですね~。これもステーの強化、または別途取付方法を改善したいポイントでもあります。
ローラー半分くらいの位置でパンパンに張ってから微調整。最終的には、後輪とフレームのギリギリの隙間をなんとか通ってくれました。スプロケットの真ん中にチェーンが掛かってくれているようで、どうやらチェーンラインもしっかり出てくれたようです。エンジン搭載位置は間違ってなかった。良かった~!
ちょっと強引にチェーンカバーを取り付ければシュールでメカニカルな姿に!
チェーンの調整ができたら、最後にチェーンカバーの装着。しかしギリギリの隙間に通したチェーンにカバーを掛けるのは至難のワザ。これには取り付けステーも何もないので、エンジン側をボルト締めして、寸法が合うようカッティングホイールで切断! 便利アイテム「インシュロック」で作業終了!
そして…こうなりましたっ!! 2本のドライブチェーンが回る、回る(笑)。
その、なんとも言えないシュールでメカニカルな動きがずっと見てていても飽きません。エンジンを搭載した時以上に、ママチャリがモペットに変身しつつあるのを実感しますね~。
次回、いよいよ完成編! 溜まりまくっていた宿題を一気に解決します
エンジンを搭載して、マフラーも取り付けて、そして後輪のスプロケットとエンジンもチェーンでつながりました。
あとは…キャブレターを装備してガソリンタンクも取り付けて、そんでもって電気配線を繋げれば、いよいよエンジンを始動して走ることができるようになります。
おおおお~! ここまでくるともう走りたくて堪りませんね♪ 次回はいよいよ完成編。これまでの宿題を一気に解消して走れる状態まで仕上げたいと思います。
今回もご視聴ありがとうございました~!! 次回の完成編に続きます。
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
自作モペット製作記に関連する記事
人気記事ランキング(全体)
止められても切符処理されないことも。そこにはどんな言い訳があったのか? 交通取り締まりをしている警察官に停止を求められて「違反ですよ」と告げられ、アレコレと説明をしたところ……「まぁ、今回は切符を切ら[…]
XSR125:技アリのロケットカウル風ビキニでよりカッコよく! 懐古的なネオラクシックやカフェレーサーは世界的なトレンドで、その流れは125ccにも波及している。海外ブランドから125ネオクラはリリー[…]
CB750/900Fと並んで進んでいた、ホンダが大攻勢に賭けた初の新エンジン! どのクルマメーカーもお手上げだったマスキー法という排気ガス規制をクリアして、ホンダが世界に認められたCVCCエンジン開発[…]
ダブルクレードルにフルモデルチェンジ〈スズキ GSX-R400R〉 GSX-Rは、’90年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 […]
A89:結局バイク専用駐車場が安心 まず、都市部などでよく見かけるのだけれども「歩道」に停めるのは違反になる。 道路上の場合は、路側帯の幅が0.75m以下なら路側帯には入るのは禁止で、車道の左端に停め[…]
最新の記事
- 本格オフロードヘルメット SHOEI「VFX-WR JAMMER」の新色が6月に発売
- 〈動画〉ベッタベタに足が着くッ!! 新型カワサキ エリミネーター・足つき性&取り回し速攻チェック
- 「eブースト」でガツンと超加速! カワサキ電動&ハイブリッドのメーターが見えた!
- どうなる電動キックボードの法改正 一番の課題は安全教育
- 【’23-’24】ニューモデル詳報!! 春の誌上モーターサイクルショーでエリミ完全解説【ヤングマシン’23年5月号は3/24発売】
- 1
- 2