【最終回】改造ママチャリ、中国製エンジンを積んで大疾走! クローズドコースにて走行試験〈自作モペット製作記 #9〉

自分でバイクをDIYで作ってしまおう! という「自作モペット製作記」今回にて最終回です。前回、エンジンの搭載だけでなくガソリンタンクの装着から後輪ブレーキの移設まで「走れる状態」にまでしましたが、それで完成とは言えないのです。…やはり! ここは「エンジンを始動して! そして走って!! 最後に家に帰るまでが改造ですよ~」ってことで、今回は緊張の希望にあふれたエンジン始動、そしてテスト走行編でゴザイマス!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
自作モペット計画の最終回!! これまでのあらすじ↓↓↓
バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買いしてしまったのがすべての始まり。しかもそこで、本来想定されているクロスバイクやビーチクルーザーではなく、自分がいつも普段使いしていたママチャリをベース車両にチョイス!
そんでもって、出来上がったのがコチラの車両。今回はテスト走行を行いますよ~!
これが完成形! ママチャリのフレームの谷間に、明らかに不釣り合いな金属の塊が…。
ところで「テスト走行」というには無骨過ぎる場所じゃない? と不思議に思われるのも無理はありません。しかしまだエンジンが載っただけなので、ライトもウインカーもテールランプも無装備。そもそもこのエンジンの発電量ではスパークプラグに火花を飛ばすのがせいぜいで、点灯できません。現状ではナンバー取得は夢物語、公道走行ももってのほかです。というわけで、クローズドのオフロードコースにやってまいりました。
「コイツ…動くぞ!?」ドキがムネムネするエンジン始動実験だっ!
これまで長々と改造してまいりましたが、ついにラスト! 皆様におかれましては長々と改造計画にお付き合いいただきありがとうございました。まずはエンジン始動を試みます…が、特殊な構造ゆえに簡単にはいきません。
まずセルなんて高尚なものは付いていません。キックスターターなどという高度な(?)メカニズムもないという、生粋のレーサー並みのシンプルさ。かろうじて装備されているクラッチレバーでクラッチを切り、人力でペダルを漕いである程度助走がついたところでクラッチを繋ぎます。つまり、押しがけに近いイメージですね。
とはいえここは石ころだらけのオフロードコース。ペダルを漕いで走ることすらままならないので、邪道ではありますが後輪を浮かせ、クラッチを繋いだままペダルを踏み、クランクを直接回してみます。
一発目…始動せず。
二発目…エンジン始動するも、すぐに停止。
「あ、クラッチ忘れてた」
三発目…エンジン始動するも、またすぐに停止。
「ごめん! 間違えて後輪ブレーキかけちゃってた」
なかなかにもったいつける本物の原動機付自転車だ。…いや、テストライダーがあまりに不慣れだだけですが。
四回目にペダルを踏みこんだ瞬間、意外に野太い排気音と、妙に甲高い金属音が混ざった音をまき散らしながらエンジンが始動しました!!
エンジン音がとにかくけたたましい! スーパーカブの10倍は五月蠅い。
バランサーというものが装備されてないのか、予想を上回る振動。ビビビッというか、ブブブッというか、ギンギンギンという、なんとも表現しがたい金属的なエンジン音は確かに古い空冷2サイクルの音です。
車体下方へ向けられたマフラーからも豪快に煙が吐き出されて、これでもかとばかりに2サイクルであることを主張しております。
回転数を上げながらクラッチを繋ぐと、これまた暴れるようにせわしなくチェーンが回りだして、回りくどいテンショナーを押しのけんばかりの雄々しさで後輪をギャンギャン回します。
エンジン内部からの爆発音、メカノイズ、そしてマフラーの排気音と煙、さらに車体に響くビビリ音と振動…! これだけ見ていると、まるで往年のモトクロッサーの様な獰猛さすら感じさせてくれます。
…ひょっとしてコレってすっごいパワーあるんじゃね?(ゴクリ)
その姿からはそんな予感すらするのでした。そう、音だけ聞いてるその時までは(笑)。
すっごい白煙。まさに紫煙。2ストの存在感を体現してるようです。
後輪を回す様は「獰猛」の一言。ていうか、停車状態で後輪がビャンビャン回るのって異様ですわ。
こいつ…乗りづらいぞ? そして遅いぞ!??
そんじゃ、いっちょ爆音まき散らしながら爆走デビューといきますかっ!!
センタースタンド外して、軽くアクセル捻ってクラッチを繋ぐとっ!
…ぱすん。
おっと、慣れないクラッチで失敗してしまった。再びエンジン始動して、もうちょっと回転を上げて、ウィリーしないように気を付けながらクラッチを慎重に繋いでみても…。
ぱすんっ…。
最初、起こっている状況がよくわかりませんでした。エンストする。気を付けていてもエンストする。16歳で免許とってからクラッチ付きのミッション車ばかり乗ってきてるのに! 免許歴なんて25年超えているのに!!
かなり回転を上げてキープしつつ、慎重にクラッチを繋いで…な、何とか動き出しました。
乗っているほうも、見ているほうも感動の嵐。見た目はママチャリだけどその実は50ccエンジンを搭載したれっきとしたオートバイ。
走ってる、走ってるよ…自作バイクが走ってるよ~!!!
走ってる! 自作モペットが走ってるよ~! …ただ、その姿は疾風には程遠く、そう余裕こいて走っているような??
「なにこれ、全然パワーないんだけどっ!!!」
一回りして開口一番。「パワーが無い!」
そうなんです。パワーが無いんです。とにかく遅い! スペック上は出力:1.15Kw(1.6馬力) 5,000rpm時とありますが、ちょっとそれも怪しい感じ。
先ほど走り出しでエンストしまくっていたのは、クラッチミートがシビアとかそんなんでなくて、単純にパワーが少ないから。こんなオフロードコースじゃ、発進がおぼつかないのですよ、マジで。
果敢に下りに挑んで、豪快に水しぶきを上げて大河(?)を突っ切っても、ちょっと登りになるとエンストしてコケる、みたいな(笑)。ええっと、エンジンの音と振動からくるイメージの10分の1もパワーが出てないんですけど…!
乗り慣れてくると一変! いやいや…コイツ、面白いぞ!!
5分後、状況が一変しました。「ビャンビャンビャンッ!」とカン高いエンジン音を響かせながらママチャリが爆走してます! さっき登れなかった坂も上るし、勢い余ってアクセルターンもぶちかますハイテンションっぷり。
何が変わったかというと、簡単なことです。「エンジンのパワーだけ」で走るのではなくて、「人力にエンジンのパワーを乗せる」ように走ると、まったく別物の乗り物に変わりました。
漕ぎだすと同時にアクセル開けてクラッチ繋いで、常に「人力+エンジン」で走ると、びっくりするほど走ってくれます。
なんのことはない、「バイク」として乗っていると恐ろしく非力なパワーで不安になってしまうほどなのですが、「自転車」として乗ると、電動アシスト自転車じゃ到底たどり着けないようなアシストパワーが後押ししてくれるので、まるで下り坂のように平地を爆走できるのです。
だけど、一つだけ言えるのは…「あっ、壊れそう」ということでした。
楽しさは百馬力! 見てくれ、コレが本当の「原動機付自転車」だっ!
最後の最後でやっと理解できました。本当の「原動機付自転車」とは、バイクじゃなくて自転車の延長上だったんですね~!!(←違うかもしれないけど)
頭の中で「これは自転車だ」って認識した途端に、オフロードコースを爆走するママチャリが面白いのなんのって。つっても「爆走」って言ったって、そりゃオフロードバイクからすれば蚊に追い抜かれそうな遅さなのですが、乗っている本人はパンツの中まで汗だくになりながら夢中になってペダル漕いで笑いっぱなしなのですから、その胸中は推して知るべし。
楽しいな~。こんな楽しいマシンに仕上がるとは…!!ただ、すっげー楽しいのだけど、調子こいてペースアップしたとたんにスッ転んで、危うくパンク…いや、フレーム曲げるところでした。
壊す、これは絶対に壊す自信しかない…っ!!
そんなわけで自作モペット製作記、エンディングです
これまで長々とご視聴ありがとうございました。お陰様で、自作モペット計画、とりあえずの完結です。
この手作り原動機付自転車はこの先、充電装置を増強してバッテリーを搭載、保安部品もすべて揃えて公道デビューするのですが、それはまた別の話、ということで…。
今回初めてオリジナルバイクを作るというチャレンジをしたわけですが、本当にほんとうにホントーッに楽しかったので、また別の機会には「カブエンジンを搭載した三輪自転車」とか作ってみたいな~と思いつつ、とりあえずのエンディングとさせていただきます。
ありがとうございました!!
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
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