
ホンダが欧州にてミドルスーパースポーツ「CBR600RR」の2027年モデルを発表した。121PSを発揮する599cc直列4気筒エンジンと6軸IMUによる高度な電子制御を継承しつつ、フロントマスクのデザインを一新。カウル一体型スポイラーの採用に加え、CBR1000RR-R FIREBLADE譲りの高機能ブレーキシステムと3モードABSを獲得した。さらなる高みに到達したミドルSSの進化点を詳しく解説していこう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:ホンダUK
カウル一体型スポイラーで洗練されたフロントマスクと空力性能の融合
欧州で2024年モデルとしてラインアップに再投入されて以来、根強い人気を誇るCBR600RRが、2027年モデルでアップデートを受けた。最大の変更点のひとつが、フロント周りの変更だ。従来モデルで存在感を放っていた左右独立型のウイングレットを見直し、ヘッドライト下のカウル構造と一体化した新設計のフロントスポイラーを採用した。
このカウル一体型スポイラーは、デザインを洗練させてすっきりとした精悍な表情を作り出すだけでなく、レース現場で培われた先進のエアロダイナミクスをしっかりと受け継いでいる。高速走行時に必要なダウンフォースを高いレベルで維持しながら、空気抵抗の増加を最小限に抑え、車体のピッチング運動を抑制してフロントタイヤの接地感を強力にサポートする。
さらに、ライダーの腕や肩に当たる走行風の乱流を整流する効果も備えており、長時間の高速走行やサーキットでのスポーツライディングにおける風圧による疲労や身体への揺さぶりを効果的に軽減してくれる。
ライディングポジションや車体骨格の基本寸法は定評ある従来型を踏襲。シート高は820mmに設定されており、伏せやすい燃料タンク形状や整流効果の高いフロントスクリーンが、ライダーとマシンとの高い一体感を演出している。
CBR1000RR-R譲りのブレーキシステムと3モードABSがもたらす制動力
走行性能に直結する大きな進化が、ブレーキシステムおよびABS制御の全面的なアップデートだ。フロントブレーキには、ホンダのスーパースポーツ最高峰である「CBR1000RR-R FIREBLADE」と同等仕様となる、ニッシン製ラジアルマウント4ピストンキャリパーを新たに採用した。
キャリパー自体の剛性と耐熱性が大幅に引き上げられたことで、サーキットでのハードブレーキング時においてもレバータッチの不快な変化を抑え、極めて安定した制動力と精密なコントロール性を実現している。組み合わされるディスクは直径310mmのフローティングタイプで、ラジアルピストン式のマスターシリンダーが正確な制動フィーリングをライダーの指先へ伝える。
さらにABSモジュールに関してもFIREBLADE譲りの最新ユニットへと変更され、新たに「Standard」「Track」「Race」の3種類から選択可能となった。Standardモードはウェット路面から公道走行まで幅広いシチュエーションで高い安定性を発揮する設定だ。
Trackモードではサーキット走行を想定してリアリフトコントロールの介入が解除され、より深いアプローチでの制動が可能となる。そしてRaceモードではリアブレーキのABS制御自体が解除され、フロントのみの電子制御となるため、リアタイヤを滑らせながらのターンインなど、熟練ライダーによる積極的なマシンコントロールに応えてくれる。
足回りは、軽量アルミ製ツインスパーフレームにショーワ製41mm径倒立ビッグピストンフォーク(BPF)と、ユニットプロリンク式のショーワ製リアショックを組み合わせる。前後ともフルアジャスタブル仕様となっており、走行状況に応じて減衰特性を緻密にセッティング可能だ。また、速度や加速度に応じて減衰力を自動制御するホンダ電子制御ステアリングダンパー(HESD)も標準装備され、高速域での俊敏なハンドリングと挙動の安定性を高い次元で両立させている。
121PSを誇る高回転直4エンジンと大型5インチTFTメーターの先進装備
パワーユニットには、排気量599ccの水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンを継続搭載する。最高出力89kW(約121PS)/1万4250rpm、最大トルク63Nm(約6.4kgf・m)/1万1500rpmという、超高回転域で本領を発揮するレーシングフィール満載の出力特性を誇る。シフト操作をサポートするアシスト&スリッパークラッチに加え、足元の変速負荷を軽減しシフトフィーリングを3段階で調整可能なクイックシフターも標準装備している。
電子制御系はボッシュ製6軸IMU(慣性計測ユニット)とスロットル・バイ・ワイヤを中核に構成される。9段階+オフの調整が可能なトラクションコントロール(HSTC)をはじめ、ウイリーコントロール、コーナリングABS、リアリフトコントロールを統合制御する。ライディングモードは3つのプリセットモード(Fast, Fun, Comfortable)に加えて、制御項目を個別にカスタム保存できる2つのユーザーモードを備えており、ライダーの好みやコースコンディションに応じた最適なセッティングを実現できる。
コクピットには、従来の液晶パネルから大型化が図られた5インチのフルカラーTFTディスプレイを設置。表示視認性が大幅に向上したほか、ラップタイムや周回数、ベストラップ表示機能が追加されている。ディスプレイ上部には5個の白色LEDで構成されたシフトアップインジケーターが配置されており、任意に設定した回転数で点滅して確実なシフトタイミングを確認できる。
車体色はHRCのレーシング魂を象徴するトリコロールカラーの「イグニッションレッド」と、精悍でスパルタンな「マットバリスティックブラックメタリック」の2色がラインナップされた。
欧州で発表された2027年モデルのCBR600RRは、デザインの熟成とブレーキ性能の飛躍的進化により、ミドルスーパースポーツとしての完成度をさらに極めたモデルと言える。現時点で日本国内での発売時期や価格は未公表となっているが、国内ミドルSS市場を牽引する人気モデルだけに、日本仕様への順次導入と正式アナウンスを期待だ。
HONDA CBR600RR (2027model / EU) COLORS
【HONDA CBR600RR】●イグニッションレッド●マットバリスティックブラックメタリック
HONDA CBR600RR (2027model / EU) SPECS
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| エンジン種類 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒 |
| 総排気量 | 599cc |
| ボア×ストローク | 67.0mm × 42.5mm |
| 圧縮比 | 12.2:1 |
| 最高出力 | 89kW (約121PS) / 1万4250rpm |
| 最大トルク | 63Nm (約6.4kgf・m) / 1万1500rpm |
| 燃料供給方式 | PGM-FI 電子制御燃料噴射 |
| 走行モード | 5モード(Fast, Fun, Comfortable, USER 1, USER 2) |
| 駆動方式 | チェーン |
| クラッチ | 湿式多板アシスト&スリッパークラッチ |
| 変速機 | 6段リターン(クイックシフター標準装備) |
| フレーム | アルミ製ツインスパー |
| スイングアーム | アルミ製スイングアーム(ユニットプロリンク) |
| フロントホイール | アルミキャスト 17M/C × MT3.50 |
| リアホイール | アルミキャスト 17M/C × MT5.50 |
| フロントタイヤ | 120/70ZR17M/C |
| リアタイヤ | 180/55ZR17M/C |
| フロントサスペンション | ショーワ製41mm径倒立ビッグピストンフォーク(フルアジャスタブル) |
| リアサスペンション | ショーワ製リアショック(ユニットプロリンク、フルアジャスタブル) |
| ステアリングダンパー | ホンダ電子制御ステアリングダンパー(HESD) |
| フロントブレーキ | 310mmダブルディスク、Nissin製ラジアルマウント4ピストンキャリパー、3モードABS |
| リアブレーキ | 220mmシングルディスク、1ピストンキャリパー、3モードABS |
| メーター | 5インチカラーTFTディスプレイ(シフトインジケーター・ラップタイム計測機能付) |
| 全長 | 2030mm |
| 全幅 | 685mm |
| 全高 | 1140mm |
| 軸間距離 | 1370mm |
| 最低地上高 | 125mm |
| シート高 | 820mm |
| 車両重量 | 194kg |
| 燃料タンク容量 | 18L |
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