
リーンモビリティ社が発表した都市型小型EV「Lean3(リーンスリー)」は、フロント2輪・リア1輪の3輪スタイルで車体を傾けて曲がる3輪電動モビリティ。かつて話題を呼んだトヨタ「i-ROAD」の遺伝子を色濃く受け継いでおり、2026年中の発売が決定している注目の一台について紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:リーンモビリティ
バイクとクルマの“いいとこ取り”を目指したパッケージング
Lean3の最大の特徴は、そのコンパクトなサイズとモビリティとしての立ち位置だ。全長2470mm×全幅970mm×全高1570mmという車体サイズは、大型バイク並みの専有面積。駐車スペースに悩まされることはほぼないのだ。車両区分は第一種原動機付自転車(ミニカー)に該当するため、運転には普通自動車免許が必要となるが、ヘルメットの着用義務はない。
特筆すべきは、ミニカー登録であるため車検が不要という点だ。維持費の面で二の足を踏みがちなセカンドカー需要に対し、このメリットは大きい。また、法定速度は60km/hとなっており、原付一種(50cc)のような30km/h制限や二段階右折の煩わしさもないのだ。
「アクティブ・リーン・システム」がもたらす人馬一体感
操作にはバーハンドルではなく円形のステアリングホイールを使用し、アクセルとブレーキの2ペダルで操作する一般的なAT車のスタイルだ。しかし、Lean3は前2輪・後1輪の駆動方式を採用し、独自の「アクティブ・リーン・システム」を搭載。
これはコーナリング時に車体を自動で最適な角度に制御して傾ける機構で、荒れた路面でも安定した走行を実現するという。車体がバンクして曲がる挙動は、四輪車というよりもバイクのフィーリングに近いといえよう。
キャビンは完全に密閉されており、エアコンも標準装備されているため、夏場の信号待ちや冬の極寒、そして突然の雨というライダーの天敵から守られる快適性は、この車両の最大の武器と言えるだろう。
実用的で競争力は十分あり
EVということもあり、充電や航続距離が気になるところだが必要十分な性能を確保している。充電は家庭用のAC100V電源で約7時間、AC200Vなら約5時間で完了。航続距離はWLTCモード(Class1)で約100kmとされており、片道数十キロの通勤や近場の買い物といった都市部の使用を想定した形だ。
室内のレイアウトは、車体中央に運転席を配置するセンターシート方式。後部には座席のようなスペースが存在するが、日本国内の法規(ミニカー登録)上は乗車定員が1名に限定されるため、あくまで荷物置き場としての活用となる。
車両本体価格は169万8000円(税込)から。ミニカーとしては高価に感じるかもしれないが、エアコンやパワーウインドウ、デジタルメーターなどの装備内容を鑑みれば、軽自動車以下の維持費で乗れるシティコミューターとしての競争力はありそうだ。
Lean3を開発したリーンモビリティ社のCEO、谷中壯弘氏は元トヨタのエンジニアであり、2013年の東京モーターショーで公開された「i-ROAD」の開発に携わった人物だ。長年追い求めた「都市型小型モビリティ」の理想形が、スタートアップとして独立後にようやく市販化まで漕ぎ着けたといえよう。
販売体制も全国区で安心
懸念されるメンテナンス体制についても、大手カー用品店であるオートバックスセブンとの提携が発表された。2026年8月からはオートバックスでの車両販売および整備対応が開始される予定だ。EVとはいえタイヤ交換やウォッシャー液の補充などの消耗品管理は必要であり、全国展開するチェーン店でサポートが受けられる点は、新興メーカーのモビリティを購入する上での大きな安心材料となるだろう。
まとめ:都市部ライダーの新たな選択肢
Lean3は、すり抜けこそできないものの、雨風を凌ぎながらバイクのようなバンク角を楽しめる、極めて趣味性の高い実用車だ。2026年1月9日から開催された東京オートサロン2026での実車展示を経て、同年中のデリバリーが予定されている。
「バイクの爽快感は捨てがたいが、快適性も欲しい」。そんな欲張りなライダーにとって、Lean3はガレージに収めるべき新たな相棒候補になるかもしれない。都市交通の最適解を謳うこの3輪EVが、日本の道路風景をどう変えていくのか注目だ。
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